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個人の収入を最大化する為の複合型収益構造

お金に汚いデザイナーがコロナ以前に考えていた事

1日最低8時間も会社に拘束されてしまう会社員はリスクでしかない。コロナ禍に世界中が巻き込まれる以前、僕はそう考えていた。そして2019年の師走にこのnoteのドラフトを書き、読み直すこともないまま半年がとっくに過ぎていた。以下がその時の浅はかな考えだ。

10年間自営業をしてきて欠かせない生存戦略のルールが2つある。第一に1つのキャッシュフローに収入の殆どを依存するのはどんなに商売が繁盛していても危険信号だという事。この世は諸行無常。高度経済成長期ならまだしも、明日何が起きてもおかしくないこの時代にクライアントやお金を得る手段が一つしかない事はギャンブルと同じだ。言ってみれば一つの企業で定年まで勤め、その後を退職金と年金で生きる人生計画など、もはやカイジの鉄骨渡りに等しい。第二のルールは、売り上げは前年度より増えていなければならない。売り上げが前年度と同じだったら赤信号、下回ったらもう手遅れでそのキャッシュフローの依存率を下げるか、見切りをつけて新しいキャッシュフローを作り出す必要に迫られる。今年は駄目だったけど来年は頑張ろうなんておめでたい考えでは自営で生きてはいけない。来年頑張ってもそのリターンが得られるのは再来年になるのがビジネスの常識。翌年の業績アップを作り出すためには前年度である今の種蒔が必要不可欠なのだ。これが分かってないと再来年を迎える頃には資金がショートして撤退する人は多いだろう。この2つのルールは景気が良く経済が成長してる時期には重要性を感じる事はないが、内需が爆発的に縮小していく今の日本人にはサラリーマンであろうがフリーランスであろうが必須のルールとなっていくだろう。すなわち公務員にでもならない限り複数のキャッシュフローから成る収益構造を構築しなければ収益は目減りしていくばかりで、最終的には生存する事すら危機に晒される。

そこで私は下記の複合型収益構造を作り出す事で個人の収益が最大化できるのではないか?と考えた。この考えに至ったのは一重にインターネットのもたらしたSNS文化とギグエコノミーが日本古来の百姓経済圏に似ている点に気づいたからだ。百姓とは名の通り百の職業を意味した名前で、それぞれの農家が自分が持つスキルを活かして大工や鍛冶屋、医者などあらゆる生業を兼業しながら、お互い助け合って農業というその地域の基幹産業を経営していた。おそらくこれからしばらく(多分30年間ぐらい)日本人は以前の百姓の働き方へ似た生活、楽して暮らせる程裕福ではないがコミュニティは維持できる生活に戻って行くのではないだろうか。それぞれの複合型収益構造が繋がりあってローカルコミュニティを作り、その中で物やサービスを提供しあって持続可能な地域産業を完成させるのが日本の未来の在り方になるような気がする。 

複合型収益構造10則

1, 本業、自営事業 
2, 時間契約雇用(安定、固定時間拘束) 
3, クラウドソーシング、スキルシェア(本業の廉価版) 
4, 物販 
5, ソーシャルビジネス(社会貢献活動) 
6, オウンドメディア運営 (ブログ、キュレーション、企画編集) 
7, ロイヤリティービジネス(著作権利用) 
8, インサイトシェア(コラム、書評、コンサルティングなど) 
9, パフォーマンス (タレント活動)
10, 投資、資産運用

1, 本業、自営事業 

いわゆる自分に合った職業で、かつ自分に直接売り上げが入る仕事。私の場合はデザイナーですが、これを読んでいる人それぞれ違うでしょう。しかし共通点は自分の好きな事、得意な事、学んだ事など人生で一番長く関わって来た事のいずれかである必要があり、まずは天職、ライフワークを決めましょう。ここで言う天職、ライフワークとは何か特別な才能や努力を必要とする様な大袈裟なものではありません。自分の人生を振り返って一番時間を費やした事、職業を指します。人間誰しも働かないで生きていける人はごく僅かです。例えば10年間ずっとアルバイトでコンビニの店員をやって来たなら、コンビニで働いた事のない人より絶対的に店員としては優れています。想像してください、有名大学を出て新卒でコンビニの運営会社へ就職したバイト経験の無い社員と無名大学を出て就職が決まらず何となく10年続けたコンビニのバイト店員ではどちらがその店舗にとって優秀な人材と言えるでしょうか?そもそも優秀な人材の定義が多面的すぎて難しいですが、多くの業種において業務が遂行できる、即戦力であると言う観点が仕事ができる人として一般的に評価されているのではないでしょうか。教育しなくても任せられる人材を企業は欲しています。しかしここで重要なのは他人や世間一般の評価ではなく自分は自分をどう評価するか?なのです。コンビニのアルバイトはどこまで行ってもアルバイトだと考えてませんか?それは職業を自分で作らないからではないですか?プロコンビニ店員として10年間で培ったスキルを時給2000円で他のコンビニ店へ売り込んだ事がありますか?店内での効率的な動き方をマニュアル化して書籍販売してみようと思ったことはありますか?多くの日本人は求人募集している会社や職業斡旋業者から紹介された会社にしか入れないと思い込んでいます。実際はその会社で働く社員より優秀で且つ安い報酬であることが証明できれば、会社は喜んで一人解雇してあなたを代わりに迎え入れてくれるでしょう。自分の人生を何も無い、意味がない、負け組だと否定する事は止めましょう。その考え方はこれまで費やして来た時間のもたらす複利をゼロにする事になり、その重大さを理解できない事は他の複合収入にも影響してきます。ここで人生を振り返って棚卸をして天職を決めましょう。一度決めたら変更したりしてはいけません、重要なのは途中で辞めない事と、すべての経験は価値を持つと認識する事です。

2, 時間契約雇用

フリーランス、個人事業主として生きていく事において最も難しい課題は、いかに収入を安定させるかという事。安定した収入というのは一定の固定化された拘束時間を意味します。時間契約雇用とはアルバイトや、非常勤講師のように、決まった時間を時給換算で働く事。あまり長時間拘束されてしまうと他の複合収入にかけられる時間がなくなり、雇われ仕事の比重が大きくなって自営しているメリットが得られなくなるので、一日最長でも5時間までが目安でしょう。それを超えた労働時間になるのであれば会社員と同等の社会保障を得られるメリットもあり、独立するリスクをかなり抑えてくれるでしょう。独立したての頃はもちろんですが、本業がうまくいって生活費に困らない状況になったとしても少しの時間でもこの手の収入源は確保しておいた方が賢明です。なぜなら会社を設立して雇用主になるぐらい事業が拡大していれば別ですが、個人事業レベルで一生安泰な職業など無いからです。おそらく今後は社会の働き方に対する考えも柔軟になり、4時間労働でも正規社員契約ができるような企業や法整備ができてくると思います。今後はより複合収入を得やすい社会環境になるのは間違いありません。

3, スキルシェア(本業の廉価版) 

デザインの業界で言えば、ランサーズなどの報酬の低いスキルシェアサービスを利用するのもキャシュフローを増やす一つの手です。最大の利点は初期投資がほとんどかからず、自分のスキルのみで直ぐに利益を出せる事。ここでのポイントは本業ほど時間をかけずに、安くサービスを提供する事です。あくまで本業の廉価版というポジションを維持しましょう。ここで最も重要なルールは、時間・場所を拘束されない完全オンライン取引で完結できる仕組みから外れない事です。スキルシェアと本業でのサービスのクオリティに差を付けられないと、それはただの安売りでしかありません。例えば本業で3案提案、修正無制限でデザインしているとしたら、スキルシェアでは1案のみ提案、修正1回といったように、報酬の低さに合わせて作業量や質を制限しましょう。そもそも吉野家に食べに来た客にA5ランクの和牛を使って牛丼を提供する事はお互いにとって全く意味がありません。 

4, 物販 

1日は24時間、そのうち労働時間は8時間とされています。全ての収入源を労働に対する報酬、いわゆる賃金に委ねる事は不可能です。そこで、物を販売することを考えましょう。在庫を抱えるリスクはありますが、オンラインショップであったり小売店に卸したりすれば、自分がほぼ動くことなく利益を出せるように計画する事ができます。独自で商品を製造する事も可能ですし仕入れて売ることも可能です。オリジナルの商品が作れれば理想的ですが、基本的に原価や仕入値よりも高く売ることをが出来れば商品は何でも構いません。安く仕入れて高く売れる物を見つけたり、作ったりすれば良いのです。もし『株式会社いろどり』や、『PET ROCK』のビジネスモデル事例を知らない方は、一度調べて見よう。可能性は無限に存在しているし、SUZURIなど画像を登録するだけで物販を始める事ができる便利なサービスも存在している。

5, ソーシャルビジネス(社会貢献活動) 

社会問題を解決したりボランティア活動をする事は自己の収益を伴わないように思えますが、社会全体で見ればとても大きな利益を生み出しますし、共感と評価に価値を見出し始めているSNS社会の現代において社会活動は半永久的に莫大な財産となります。10日間のボランティア活動が10億円のお年玉プレゼントより影響力がある事に気付いていない人が多いのではないでしょうか?
プロボノという言葉もメジャーになりつつあり、特にデザイナーの場合、問題解決能力の高さは優秀さの証明でもあります。社会問題を解決する事は究極のデザインとも言えるでしょう。それに加え、社会問題はすべての人間の共通した関心事ですので、デザインに関心、興味の無い人達へも認知度を広めることができます。繰り返しますが人々の共感、評価は収入と同じ価値を持っています。

6,メディア運営 

ここでのメディア運営の目的は人を集める事を意味し、広告スポンサーが着くような媒体を作り出す事。つまり広告収入を収入源の一つにするという事です。ブログやキュレーションなど、得意領域においてメディアを運営する事は自身の知識のシェアと共にPRの役割も果たします。これが収入源として確立されるぐらいになると、本業の認知度や価値が自然に向上します。また横の繋がりも広まっていき、逆に新しい知識や情報を提供される機会も増えていきます。このようなコミュニティ的相互作用は、自分ばかりではなく他者の収益へも貢献できるようになるでしょう。

7, 著作権利用 

ライツマネージメントによる収入源です。印税やロイヤリティ契約がそれに当たります。例えばストックフォトのように一つの作品が利用数によって収益を増大させる形式のものです。そのほかには書籍、特許などが可能性としてあげられ、創り出してしまえばその後は勝手に収益を運んでくる仕組みの事を指します。初期労働を除けば不労所得を得る事になります。今後の利用規約によってはか変わってくるかもしれませんが現時点ではYouTube動画はこのカテゴリーに入るでしょう。今後のデザイン業界は、著作権譲渡型と著作権保持型のポリシーのデザイナーに別れていくと思います。それに伴いデザイン料を無料としてデザインの利用量に伴ってライセンス料を請求するようになるでしょう。

8, インサイトシェア

記事を執筆する事で原稿料を得る収入を意味します。自分の本業やそれに関係した独自の視点を評論する事で価値を生み出します。それまでの経歴がユニークで人と違っているほど需要が見込まれます。コラム、書評、企画、コンサルティングなど文章だけで完結する仕事からの収入です、税務的には原稿料のカテゴリーになるかもしれません。

 9, パフォーマンス 

講演会でのスピーチや、ディスカッションのパネラーなど聴衆に向けて話をする事で報酬を得る方法です。制作物ではなく自分自身が商品となるいわばタレント的活動を指します。例えばyoutuberはこのパフォーマンスを意味しますが。作った動画が作品という価値を持ち収益構造7の著作権利用と同じ働きを持つ為、成功すると飛躍的に収益が伸びる事から多くの人が魅力に感じているのでしょう。

10, 投資

投資はお金に働かせて収益を増やす方法を意味します。株や仮想通貨、ソーシャルレンディングなどを利用して利益を増やす事で生まれる収入源とします。資産は6%で運用できれば優秀と言われているので、例えば半分の成果の3%で3万円の利益を出そうとすると100万円の資産が必要になりそれなりの準備は必要ですが、例えうまく運用できなかったにしても株に関しては配当もあるため資産を増やすためには今のゼロ金利の銀行口座へ預金するよりもはるかに効果があります。

コロナ後の今、思う事

コロナ以前は、1日8時間も会社に拘束されてしまう会社員はリスクでしかないと考えていたが、活動的である程3ヶ月分の借金をいきなり背負い込む確率がかなり高いこのコロナ渦の状況は、もはや個人事業主には死活問題である。実際こんな状況を想定した事は一度もなかったし、自分の思慮の甘さを痛感してもいる。世界情勢を見ながら今言える事は、主に都内で活動する個人事業主でこの先2年くらいは、最低3ヶ月無収益で事業継続できる資本と突然コロナに感染して1ヶ月仕事に穴を開けてもクライアントに損害を与えない事業を持っていない限り個人事業主は諦めて今すぐ就職すべしと言うこと。もちろんもう既にコロナに感染して完治した人はこれまで通りの生き方で構わないと思うのだが、これから独立したり個人事業主になろうと思ってる人は特にお勧めしない。世界は変わったという有名な投資家もいるが確かにこれまでの状況とは全く違うし、どう考えても会社員の方がリスクは低い。とはいえ、複合型収益構造10則は個人事業主に限らず、これから職を失ってしまう人や、内定をもらえない学生、もちろん普通の会社員など多くの人に自分の可能性を見出だす創造力の助けになると思い今回推敲してみた。すべての人がすべての収益構造で利益を出せる訳ではないが、インターネットの普及によりすべての人がすべての収益構造をさほど初期投資をせずに持てるようになっているのは事実である。自分自身も利益を得ている構造はまだ3つしかないが、現在2つを準備している最中なので全て完成した時に改めてケーススタディにしてまとめてみようと思っている。

以上走り書き程度の内容ではあるが、デザイナーとして生きていこうとしているビギナーの人たちには前回の記事と合わせて参考にして貰えると幸いです。


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