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Night Street 第5章:太陽の港町

シーン1:ビッグスロープ出発の朝


ビッグスロープを出発する朝、ハンチョウたちは港で船を待ちながら、トロからの情報を聞いていた。

「どうやらシーサーアイランドにバルガという幹部がいるらしい。彼の能力で島の住民が操られているって話だ。」トロは真剣な表情で語った。

「シーサーアイランドか…そのバルガを倒せば、島の人たちも解放されるのかな?」ハンチョウは思案顔で答えた。

ピカルクが笑みを浮かべて、「そりゃ面白そうだ。俺たちの力を見せつけるチャンスだな。」と言った。

おにぎりは黙っていたが、ふと話題が変わった。「そういえば、おにぎり、お前がビッグスロープにいた理由は?」とハンチョウが尋ねた

おにぎりはため息をつき、語り始めた。「実は力の矛を手に入れるためだったんだ。村で一番非力でバカにされていたから、見返してやろうと思ってな。でも、ギャンブルで騙されて大きく負けたんだ。その時に騙されたのががキスケって猿だった。」

「なるほどな。」ハンチョウはうなずきながら聞いていた。

船が到着するまでの間、ハンチョウたちは港周辺を歩きながら、次の目的地への期待と不安を胸に抱いていた。

シーン2:束の間の恋


船が到着し、ハンチョウたちはシーサーアイランドへ向かうために乗り込んだ。船旅は穏やかで、波音とともに新しい冒険への期待が高まった。

ハンチョウは甲板に出て、風を感じながら景色を楽しんでいた。その時、ふと目に入ったのは美しい三毛猫のメスだった。彼女はメイという名前で、優雅に甲板を歩いていた。

「なんて綺麗なんだ…。」ハンチョウは思わず呟いた。

メイはハンチョウに気づき、微笑んで近づいてきた。「こんにちは、初めて見る顔ね。」

「ええ、シーサーアイランドに向かっているところです。」ハンチョウは少し緊張しながら答えた。

「私も同じよ。シーサーアイランドはとても美しい場所だから楽しみにしていて。」メイは優しく微笑んだ。

二匹はすぐに打ち解け、船の上で楽しいひとときを過ごした。映画のタイタニックのように、二匹は船首に立ったり、広がる海を眺めながら会話を楽しんだ。

「こんなに楽しい船旅は初めてだ。」ハンチョウは心から思った。

しかし、船がシーサーアイランドに到着する頃、メイは急に表情を曇らせた。「ごめんなさい、ハンチョウ。実は‥」

「え…?」ハンチョウは驚きとともに言葉を失った。

その瞬間、雄猫が現れ、メイを連れて行った。ハンチョウは呆然と立ち尽くし、彼らの後ろ姿を見送ることしかできなかった。

仲間たちはハンチョウの様子を見て駆け寄った。「ハンチョウ、大丈夫か?」ミツが心配そうに尋ねた。

「なんてこった…。彼女には彼氏がいたんだ。」ハンチョウは落ち込みながら答えた。

「まあ、そんなこともあるさ。次に進もうぜ。」ピカルクが励ました。

「そうだな。ありがとう、みんな。」ハンチョウは少し元気を取り戻し、再び前を向いた。

シーン3:道中の出会い


シーサーアイランドに近づくと、異様な雰囲気が漂っていた。ハンチョウたちは島に降り立ち、街の様子を観察しながら進んでいった。

途中、道を歩いていると、遠くから助けを求める声が聞こえた。

「助けてくれ!」声の主は岩に挟まれた猿だった。

おにぎりが険しい表情で言った。「こいつ‼︎‼︎コイツがキスケだ‼︎俺を騙した猿だ‼︎」

「でも‥見捨てるわけにはいかないだろう。」ハンチョウが言い、ミツも頷いた。

「しぶしぶ」おにぎりも同意した。

「どうやって挟まれたんだ?」ピカルクが尋ねると、キスケは困惑した表情で「お腹が空いて木の実を取ろうとしたら岩が崩れてきたんだ。」と答えた。

「もう少しだ、頑張れ!」ハンチョウが声をかけると、みんなは一層力を込めた。最後に、おにぎりが力を振り絞り、岩を動かすことに成功した。

キスケは解放され、涙ながらに「ありがとう。本当に助かった。」と言った。

「まあ、お前には借りがあるからな。」おにぎりは不満げに言ったが、内心では安堵していた。

キスケは深く頭を下げ、「実は家族が病気で入院費用を稼ぐためにおにぎりを騙したんだ。ごめん。そして、俺は何でも治ると言われている伝説の葉っぱを探しているんだ。」と打ち明けた。

おにぎりは少し驚いたが、「そういうことだったのか…。まあ、許してやる。」と応じた。

シーン4:シーサーアイランド到着


シーサーアイランドに到着すると、異様な雰囲気に包まれていた。島の住民は奇妙な行動をしており、善悪が逆転しているようだった。

ハンチョウたちは島の中心部に向かいながら、街の様子を観察した。人々は悪事を働く者を称賛し、善行を行う者を非難していた。

ある店の前で、子供たちが他の子供をいじめている光景が目に入った。ハンチョウたちはすぐに止めに入ったが、周囲の村人たちが拍手を送り、「よくやった!」と褒めているのを見て驚いた。

「なんだ、この島は?」ピカルクが不快感をあらわにした。

さらに進むと、老人が落とした財布を拾った若者が「盗んでしまえ!」と周囲に囃し立てられている場面に出くわした。ハンチョウたちはその場を見て見ぬふりをするしかなかった。

「この街、気持ち悪くないか?」ピカルクがつぶやいた。

その時、海辺で亀が人形をいじめているのを見つけた。ハンチョウたちはすぐに駆け寄り、いじめを止めた。

「助けてくれてありがとう!」人形たちが感謝の言葉を述べた。「お礼に竜宮城に案内するよ。」

ハンチョウたちは喜んでその案内を受けた。道中、海の中を進みながら、透明な水と美しい珊瑚が広がる景色に感動した。魚たちが優雅に泳ぎ、まるで夢のような光景が広がっていた。

シーン5:竜宮城の探索


竜宮城に足を踏み入れると、豪華な装飾とともに異様な静けさが漂っていた。人形たちは案内を続け、ハンチョウたちを広間へと導いた。

「ここが竜宮城の中心だよ。」人形たちが説明した。

広間には巨大な水槽があり、美しい魚たちが泳いでいた。しかし、ハンチョウたちは警戒心を抱きながらその光景を見つめた。

「何かおかしい…。ここには何か隠されている。」ハンチョウは小声で仲間たちに言った。

「確かに。気を抜かずにいよう。」ピカルクも警戒を強めた。

「ここにバルガがいるって情報は確かなのか?」おにぎりが不安そうに尋ねた。

「わからないが、確かめる価値はある。」ハンチョウは決意を固めた。

食事の用意がされ、豪華な晩餐が振る舞われた。ハンチョウたちは警戒しながらも、そのもてなしを受け入れることにした。

「こんなにもてなされるなんて…。逆に怪しいな。」ピカルクが小声で言った。

「確かに。だが、ここで何かを見つけなければならない。」ハンチョウは静かに答えた。

食事が終わると、ハンチョウたちはそれぞれの部屋に案内された。部屋は豪華で快適だったが、ハンチョウたちは警戒を解かずにいた。

「明日は竜宮城の内部をもっと探ってみよう。」ハンチョウは決意を固め、仲間たちに伝えた。

シーン6:眠りにつく


夜が更け、ハンチョウたちはそれぞれの部屋で横になった。

ハンチョウは窓から月を見上げながら、次の展開に思いを巡らせた。「ここには何かがある…。バルガの正体を突き止めなければ。」

その時、眠気が一気に襲い、ハンチョウは瞼が重くなるのを感じた。「何か…がおかしい…。」

彼の意識は次第に遠のき、深い眠りに落ちていった。

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