2023年11月前半の日記

・前の日記からずいぶん間が空いた。その間それはもういろいろとあり、今もいろいろとあるのだけど、そもそも生きているだけでいろいろあるものではある。

・11/11(土)は文学フリマ東京に行きました。
 旧作をまとめた短編集のプロトタイプを雑に作ってβ版として売ろうかとも思っていたけどそれすらも断念、どうにか寄稿した『ビンダー vol.8 特集|宮崎駿』を委託販売させてもらうことで格好をつける形に。
 その委託分の受け取りも、我がホテルニューオバケが第一展示場、ビンダー発行元のククラスが第二展示場と分かれており、開場間際に行こうとしたら12時まで行き来ができないことが発覚してnoirseさんにすっかりお手間をかけてしまった。しかも混雑ぶりに前倒しスタートが決定、ギリギリ設営は済んだもののてんやわんやで開場を迎える。
 いざ始まってみると、新作もなくロクに告知もできなかった零細個人サークルにとっては大変まったりとした雰囲気で、それはそれで気分にマッチして良かった。最初に並ぶ人たちの大半は、急がないと売り切れる大手にまず一斉に回ると思われ、いきなりうちに来たりいきなりブラついて掘り出し物を物色するムーブをする方はそうそういないのであった。そんな中いしあいひでひこさんがいの一番に来てくださったのでありがたい。
 エレガントザリガニこと大木芙沙子さんが会いに来てくださってヒャー。「鶴丸さんの分身」をお褒めいただき差し入れまでいただいてしまい恐れ入る。実はちょうど短編集『花を刺す』をちびちび読んでいるところだったのだが言いそびれてしまった。
 来てくれた友達に無理やり店番をお願いし、少しだけ会場を回る。代わりに読む人ブースへ行ったらちょうど友田さんだけでなく松尾模糊さんもいらした。お会いするのは2度目だがジョン・レノンとヴィニ・ライリーを合わせたような雰囲気でかっこいいとまた思う。リディア・デイヴィスをおすすめいただく。たしか我が家に積んであるはずなので発掘したい。
 そこにまさかの小山田浩子さんもいらしてお話しさせていただく。寄稿者が偶然揃うのもアガるがまさか広島在住の小山田さんとお会いできるとは。広島カープファンとしては『小島』を早くゲットせねばなりませぬ。
 バゴプラブース近辺に行ったら、井上さんと谷脇さんと暴破運さんは不在だったものの、齋藤さんと堀川さんにご挨拶できた。齋藤さんはあとでビンダーも買いに来ていただいてありがたすぎた。また大阪遊びに行きたいなあ。
 ビンダーブース近辺ではnoirseさんと志津Aさんと湯川さんに会えた。セカンドアフターのバックナンバー100円は安すぎやしませんか。寄稿した「物語のようにふるさとは遠い」は正直これまで書いたものの中でも屈指の力及ばず感があったのだけど、編集のお2人ともに「ラストにグッときた」とのご感想だったので、なんとか果たすべきものは果たせたのかもしれない。現代文化研究会ではスズキロクさんと矢野利裕さんにもどうにか挨拶できた。他にも伊藤になる前からの友達にもちらほら会えた。
 電車を乗り過ごして文フリに来られなかった佐藤柿杵さんと無理やり浜松町で待ち合わせてビンダーを買ってもらい帰宅。いろんな方とお会いできて嬉しかった一日でした。新刊を出せずとも出続けているのは、ひとえにこの時でないとなかなか会えない友達に会えるからなんですよね。

・文フリ東京は今回も過去最高の来場者数だったそうで。最近とみに実感するのは、この規模感になるとブラブラ回って探すのはもう不可能、ということで。そうなると事前に気になるところをリストアップしてピンポイントで回る、という歩き方になり、必然的に事前告知のウェイトが大きくなるんですよね多分。そしてそれはSNS上でのプレゼンスが大いにものを言うわけで、知名度を武器に来場者の限られたバジェットを奪い合うある意味たいへん資本主義的な空間となってきた今、以前のようなまったりしたセレンディピティを期待するのはなかなかハードルの高い世界になってはきたのだなという実感は深まりました。(その点からも、見本誌コーナーの復活はとても嬉しいことだった)
 ただそれが悪いことだともあんまり思わないし、別の論理が介在する余地がないかといったらその余剰はまだまだ残されているとも思う。次回からの有料化と来年冬のビッグサイト移行が何をもたらすかはわからないけども、文字ものの本を求める人がこれだけ一堂に会する場があるというのはやはりそれだけで嬉しいことです。
 来年はいいかげんそろそろ新作短編集を出したいので、その際はもうちょい気合い入れてがんばります。

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