黄金期の焼印(52日目)

カープが巨人に負けたので何も書く気が起きない。

9回、追い上げたが及ばず7-8。
まだまだ優勝争いはどうなるかわからないが、ギリギリのところで決壊しないよう繋ぎ止めてきた投手陣の網が、この夏場で明らかに綻び始めてきたのを見るに、半ば諦めに近い気持ちが生まれてきている。

そもそも3連覇してきたチームとはいえ、ファンからすると不思議と盤石に見えなかったものだ。
隙のないチームというより、ところどころ空いた穴を新しいヒーローが埋める、という状態が奇跡的にずっと続いてきた印象がある。
今年は起爆剤としては小園、一気に頼れる風格が出てきたのが大瀬良と九里のドラ1・2コンビ、ひたすら穴埋めで支えてくれているのが遠藤と菊池保といった具合だろうか。
去年はここ数日の表層的な敗因でもあるアドゥワやフランスアが突如現れて、8回の男ジャクソンらの不振の穴を埋める獅子奮迅の活躍を見せてくれたわけだが……。

そもそもベテランが少ないチームなだけに、基盤となっていた黒田と新井が引退し、エルドレッドが退団し、その過程で新たな核となっていたタナキクマルの田中は絶不調、丸はFAでよりによって巨人行き、守護神中崎も勤続疲労となれば、ここまでよくやってきたもんだという気にすらなる。

ただ、2014年からのにわかファンとしては、確実に黄金期と将来呼ばれるであろう、いちばん眩しかった季節が変わり始めていることをどうしても肌で感じざるを得ない。

終わりの見えない苦境との付き合い方は、今年のジェットコースターの下り坂の洗礼を受けて体得しようともがいているところだが、否応なくチームが変わっていく結果を引き受けることにはまだ慣れていない。

新井とエルドレッドがいないのが寂しい。
田中が代走・守備固めで7回あたりから出てくるのが寂しい。
ランナーは出してもなんだかんだで抑えてきた中崎が勝ちを消してしまうのが寂しい。
丸が巨人でも成績を落とさず中軸として活躍しているのが寂しい。

懐かしむにはまだ早いとわかってはいるのだけども、すでに自分の中に、消せない焼印のように、"自分的最高のカープ"の姿が刻まれていたことに気づいてしまったのだ。
そうである以上、その過ぎ去りつつあるカープは永遠に懐かしいものと化しつつあるのかもしれない。

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