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在宅鍼灸師の多職種連携 褥瘡編(後編)

HAMTマガジンで「多職種連携」担当のすぎやんこと鍼灸マッサージ師の杉下辰雄です。いつも購読していただき誠にありがとうございます。

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前回、褥瘡編(前編)として、治療院勤務の鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師にとって、普段は関わることが少ない「褥瘡」いわゆる床ずれについて触れました。

今回は、後編としてそんな褥瘡の中でも特に治癒が困難とされているポケットが形成され、なおかつ糖尿病の既往がありながら治癒した症例についてお伝えします。

今回紹介する症例は、日本褥瘡学会誌 第16巻3号に「糖尿病性壊疽による両側大腿切断後に発生した仙骨部褥瘡に対して在宅ケアチームで治癒に至った1例」として掲載されていますので、興味のある方は検索してみてください。

なお、上記症例発表にはマッサージによる介入については触れていませんので、当時関わっていた経験に加え、その後の経験から褥瘡への鍼灸マッサージ師の介入についてお伝えします。

褥瘡を伴っての在宅療養

今回ご紹介する事例は6年以上前に実際、僕が関わっていたケースです。日本褥瘡学会でも発表された症例ですので、概要については一部変更をして文献を引用をさせて頂きます。そして、鍼灸マッサージ師を含めた多職種連携に関する視点から、お伝えしたいと思います。

【症例】80代 男性 日常生活自立度 C2 認知症自立度 Ⅲ a 要介護5
【既往歴】糖尿病性壊疽による両下肢大腿骨中間部切断術
【現病歴】X-1年 右下肢切断術後在宅療養開始。仙骨部褥瘡NPUAP分類ステージⅡに対しては解放性湿潤療法で処置をしていたが、改善と悪化を繰り返していた。X 年 急性上気道炎をきっかけに仙骨部褥瘡が悪化。ステージⅢとなったため入院も検討されるも本人と家族の強い希望のため在宅を継続。同年、褥瘡往診依頼。 

日本褥瘡学会誌 第16巻3号「糖尿病性壊疽による両側大腿切断後に発生した仙骨部褥瘡に対して在宅ケアチームで治癒に至った1例」一部改変

患者さんの状態を表す評価に「日常生活自立度」、「認知症自立度」があります。


参考文献:1)厚生労働省「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」の活用について

上記の表から、この患者さんは日常生活自立度としては、寝たきりで寝返りも打てない、そして認知症自立度としては日中を中心として日常生活に支障を来たすような症状、行動や意思疎通の困難さが時々見られ介護を必要としていることがわかります。

また、褥瘡のステージにNPUAP分類という国際的な基準があります。主に褥瘡の深さを表す評価方法で、最近ではDESIGN-R®を用いるのが一般的です。
以下に違いについてまとめました。

日本褥瘡学会,編:在宅褥瘡予防・治療ガイドブック 第3版.照林社,2015,p.26-7.より引用

この表から、仙骨部にできた褥瘡がおよそ一年かけてステージⅡの部分欠損からステージⅢの全層組織損傷が進行したということがわかります。

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