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シンガポールのコミュニティクラブの料理教室に参加してみた Week1

note移行後の初投稿がCOMEMOじゃなくて関係各位には本当に申し訳ないんですが、書きたい気持ちがある時に書くのが一番なので、レポートします。

このたび、職場の同僚から紹介されて、シンガポールのコミュニティクラブで開かれる料理教室に参加しました。コミュニティークラブとは、日本でいうところの自治体の公民館みたいなもので、スポーツジムや会議室、教室、読書・自習室、ダンススタジオや今回のような料理教室に使えるキッチンなどの設備があります。スタバなんかのカフェとか民間の飲食店が併設されてる場合もあるみたいですね。

今回自分が参加したのはChinese Restaurant Cooking初級編というクラスで、全4回で1タームです。受講料は4回で8000円弱なので、高島屋に入っているABCクッキングスタジオが12回で9万円弱するのに比べると、かなり良心的です。加えて材料費が1回あたりメニューによって400〜600円くらい別途かかりますが、本当に実費レベルです。この辺の値段はレッスン内容や開催するコミュニティークラブによっても違うと思いますので、詳細はonePAというウェブサイトでCookingを検索してみてください。料理に限らず、英語で多少会話ができて、習い事をやりたいけど、日本人会で日本人で固まるのは気疲れする、という方にもおススメです。平日・休日問わずおびただしい数のコースがあり、SingPassのアカウントがあればオンラインで申し込みできます。コミュニティークラブ現地での申し込みももちろんできます(自分はそうしました)

自分が受講したクラスはSkillsFuture Creditというシンガポール国民向けの職業訓練補給金を利用可能でした。実際にレッスンが職業訓練と言えるほどのものであったかはさておき、シンガポールのSkillsFuture Creditは生涯学習・キャリア開発を目的として満25歳以上の全国民にS$500を支給する制度で、無期限で利用可能かつ政府が折に触れて補給してくれます。日本の教育訓練給付や職業訓練給付が雇用安定のための福祉的な側面が強いのに対し、シンガポールのSkillsFuture Creditは自己啓発推進という趣旨のようですね。生涯学習は日本でも盛んに提唱されてますが、大人になってから自腹切って何かを学ぶには相当意識の高さが要るので、シンガポールのようにとりあえずお金を与えて大人になってからも学習する習慣を身に付けさせる、というのは現実的かつ実行力のある施策のような気がしますし、それで国力を高められるとあらば非常に合理的です。

閑話休題、レッスン会場のコミュニティークラブのキッチンは学校の家庭科室さながら、IHヒーターが多数配備されており、食材・調味料・調理器具・食器・タオルなどもすべて用意されているので、手ぶらで行っても大丈夫でした。今回のクラスは2人一組で実習するので友達同士や夫婦・恋人同士で行けば、知らない人とペアにならなくて済みます。出会いの場となるかは知りませんが、1人参加の若い女性は複数名いました。なお日本人以外も含めて外国人は自分達だけでした。

今回挑戦するメニューは、Salted Egg Yolk Chicken(牛油黃金鸡)とButtered Pork Chop(奶油猪扒)の二品です。Salted Egg Yolkは塩漬けにした卵黄で独特の風味とコクがあり、シンガポールでは色々なものの味付けに使われていて、スナックなどの味でも人気です。シンガポールのマクドナルドのポテトのフレーバーにも使われたくらいみんな大好きみたいです。「Salted Eggを知らない人は?」と聞かれて手を挙げたのは自分だけだったので、先生が殻を剥く前の状態のものをおみやげに1個くれました。外側が真っ黒になっていて、ピータンみたいです。

レッスンは先生がポイントを説明しながらお手本を作るので、それを真似しながら各自の調理台で再現する、という流れで進みます。今回は初回のInductionということで、比較的工程が少ない簡単なメニューでした。先生は年配のチャイニーズの女性で、英語6割、中国語4割くらいで説明してましたが、英語で書かれたレシピのプリントもくれるので、基本的には先生の手元に注目してれば問題ありません。外国人は我々だけだったので、アシスタントの人が先生の中国語を英語で言い直してくれたり、調理中もよく声をかけてくれたので助かりました。

説明を聞くと、まぁかなり簡単なメニューでしたが、それでも周りを見てみると、若い女性や年配の男性などでニンニクやしょうがのみじん切りもままならなかったり、フライパンの火力の調節に難儀して煙をもくもく上げていたりと、シンガポーリアンがほとんど料理をしないというのは、どうやら本当らしい、と改めて実感しました。

二品目のPork Chopです。これも衣を付けて揚げ焼きした肉に、エバミルク(無糖練乳)とバターベースのソースを和えるという、一品目と似たような調理方法でした。先生曰く、この二品の味付けはいろんな肉や魚介に応用が効くので、ぜひアレンジして作ってみるとよいとのこと。

この辺りの味付けは、煮炒(Zi Char or Tze Char)料理と呼ばれるシンガポール・マレーシアの大衆中華料理の店でよく見られるようです。煮炒料理とは中国の地方料理ともやや異なり、潮州・海南・福建・客家料理をベースとした、いわゆる一般家庭の日常の晩ごはんに出るような庶民料理で、ホーカー(屋台)やコピティアムでも定番のジャンルです。日本人に有名なシンガポールの店でいうと、ペーパーチキンが美味しいHillman Restaurantやシャンパンポークリブが名物のPor Kee Eating Houseなんかが煮炒料理屋です。余談ですが、前出のHillman Restaurantは日本人の間では異様に知名度が高く、いつ行っても店内は日本人だらけという不思議な店です。煮炒料理なのにローカルの間ではさっぱり知られておらず、行ったことのあるシンガポーリアンからすると特に可も不可もなく、という評価でした。なんでもその昔、日系航空会社の職員がシンガポールに寄港滞在中に通っていたことからシンガポール日本人社会の中で広まったという説を聞きました。(真偽不明)そんなヒルマンは大阪に進出しており、気付いたらなんばの他に梅田にも二店舗目を出してました。シンガポール同様リーズナブルな価格設定のようなのでお近くの方はぜひ一度行ってみてはどうでしょう。東京なら荻窪の馬來風光美食という店で煮炒料理を味わえます。ちなみにヒルマンのシンガポール国内の支店はなぜかマンヒル(Manhill)という名前で営業しています。業界人か。

一品目の先生のお手本です。やや写真映えを意識した盛り付けです。

シンガポールで自炊はしているものの、ローカル食材の使い方が分からず、日本で慣れ親しんだ料理ばかり作ってしまいがちだったので、今回カレーリーフやソルテッドエッグヨークなどの食材の使いどころ、風味を学べたのは良い機会でした。残り3回のレッスンも楽しみです。あと手ぶらでも良いのですが、結構油も跳ねて匂いもするので、エプロンはあった方がいいのと、作った料理を持って帰るタッパー、調理中に使うキッチンペーパーなんかは持参した方が良いかもしれません。

最後に今回のレシピを日本語で、先生から教わったコツも併せて記載します。

Salted Egg York Chicken(牛油黃金鸡)

<材料(4人分)>
鷄もも肉600g(むねや手羽でもOK)
ソルテッドエッグヨーク 3個分(無ければ卵黄と塩でOK)
卵黄 1個分
カレーリーフ 12枚くらい
バター 50g
にんにく 大さじ1
唐辛子 2-3本(※相当辛いので日本人向けなら1本で充分)
しょうが 大さじ1
酒、塩、コショウ、砂糖、片栗粉、サラダ油

1. 鶏肉を包丁の背などで叩いて柔らかくし、砂糖小さじ1、塩小さじ1/2・コショウ小さじ1/4・酒大さじ1を付けて揉み込み、卵黄を和えて片栗粉をまぶす
2. にんにくは皮を剥いて中心の芽を取り、唐辛子は開いて種を取り、しょうがは皮を剥き、それぞれみじん切りにする
3. フライパンにサラダ油を多目に(平らにしたフライパンの底が隠れるくらい)注ぎ、熱する
4. 油が温まったら(カレーリーフを1枚入れてみて細かい泡が出るくらいの熱さ)1.の鶏肉を皮目を下にして弱〜中火で焼く。薄く色付いたら裏返して両面焼く。焼き色を見ながらこまめに返し、焼き時間はトータル3〜5分くらい
5. 肉に火が通って焼き色が着いたらクッキングペーパーに上げて油を切る。フライパンに残った油は除ける
6. 油を追加せずそのままフライパンにカレーリーフ、バター、にんにく、しょうが、ソルテッドエッグヨークを投入し、弱火で炒める。ソルテッドエッグはヘラなどで潰し、溶けるまでソテーする
7. あらかた混ざったら唐辛子を入れる
8. ソースが泡立ってきたらチキンを戻し、ソースと絡めて軽く温めたら皿に盛り付けて完成(チキンをソースと和える前に一口大に切っても良い)

Buttered Pork Chop(奶油猪扒)

<材料(4人分)>
豚ロース肉 600g
卵白 1個分
エバミルク 大さじ4(無糖練乳 無ければ生クリームやココナツミルクでもよい)
バター 50g
にんにく 大さじ1
唐辛子 大さじ1/2
酒、ナンプラー、塩、コショウ、砂糖、ごま油、片栗粉、サラダ油

1. 5mm幅くらいの厚さにして叩いた豚肉に塩小さじ1、ナンプラー大さじ1、コショウ小さじ1/2、酒大さじ1、ごま油小さじ1を揉み込んでから、卵白を和え、片栗粉をまぶす(卵白は必ず下味をつけた後に加える)
2. 多めの油で豚肉の両面を中〜強火でカラッと揚げ焼き(焦げないように)
3. 焼き揚がったら肉を除けて、油を捨てる
4. 弱火でバター、にんにく、カレーリーフをソテーし、砂糖小さじ1/2と胡椒小さじ1/2を加えた後、唐辛子も加え、エバミルクを注ぎ、とろみが出るまで煮詰める
5. ソースが出来たら豚肉をフライパンに戻してソースと和えて温め、皿に盛り付けて完成


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