ブランド品消費の肯定的、否定的作用

自分を表すための「ブランド品シンドローム」

多くの女性が、ブランド品の一つくらいは持っているか、購入したいと思ったことが一度くらいはあるだろう。なぜ人々はブランド品に熱狂するのだろうか。おそらくブランド品が持つ商品の質が良いからだろうが、それよりも、人々はブランド品を通してこの世に自分が誰なのかをもう少し速く、かつ容易に知らせることができるからである。いわゆる「ブランド品シンドローム」は、自分自身を表に表すための強力な欲求の産物なのである。

このように、ますます現代人は消費を通して自分の成功と地位を誇示して楽しんでいるが、このようなブランド品消費は肯定的に作用することもあるし、否定的に作用することもある。米国初の服装コンサルタントとして有名なジョン・モロイ(John T. Molloy)の「成功する男の服装」という本を読むと、服によって業務効率に差が出ることがわかる。

高級感のあるスーツとネクタイ、靴、アクセサリーを身に着けて秘書にタイピングとコピーを指示した場合、秘書の84%が10分以内に業務を終えたが、素朴な服を着て同じ実験をした時は、時間が2〜3倍もかかった。また、ホテルの入り口を入っていく高級服を着た客には94%の人が譲ったのに対し、みすぼらしい服を着た客には18%の人だけが譲った。このように私たちの生活においては、服が翼の役割をしているのである。結局、人々がルイ・ヴィトン(louis vuitton)のバッグのようなブランド品を身に着けようとするのは、単純な商品の消費ではなく、イメージを消費しているのだと見なすことができる。

過度のブランド品消費に対する執着

しかし、過度のブランド品消費に執着して現れた現象の中には、いわゆる「味噌女シンドローム」がある。「味噌女」は過度にうわべの装飾に没頭し、ブランド品のバッグで装い、テイクアウトカフェやレストランを訪れることを楽しむ、虚栄心に満ちた思慮が浅い20代の女性を指す。参考までに、ブランド品消費に関連して、値が高ければ高いほど商品をより消費する現象をヴェブレン効果(Veblen effect)といい、値が下がるとむしろ需要が減少する現象をスノッブ効果(snob effect)という。味噌女は、ヴェブレン効果とスノッブ効果を誘発する満腹の俗物(snob)なのかもしれない。これは、消費が合理的判断ではなく、感性的、非合理的に決定されることを示す代表的な現象である。

一方、味噌女は、1990年代の映画「ブリジット・ジョーンズの日記」をはじめとして、「ショッパーホリック」、「セックス・アンド・ザ・シティ」、「プラダを着た悪魔」のような書籍、TVドラマなどによって急速に拡散したチックリット(chick-lit)文化がその根底となっている。チックリット(chick-lit)は、若い女性を指す俗語”Chick”と文学”Literature”の合成語で、20〜30代の女性をターゲットにした英米系の大衆小説を意味する。

若い女性がこのようなチックリットにはまる理由は、チックリットのヒロインが、漠然と白馬に乗った王子を待っているシンデレラ式人生ではなく、外見、能力など自分の才能を積極的に開発して成功を追求する、はるかに魅力的で現実的な姿を見せてくれているからである。このようなチックリット文化は、メディアの発展とともに、若い世代の価値観や消費嗜好として定着しつつある。

付加価値を悟った誇らしい人

しかし、ブランド品消費を通して自分自身を誇示することもいいが、むやみに他人を模倣して流行を追うのは、外部の色に自分の体の色を合わせようとするカメレオンのような生にすぎないともいえる。哲学者ハイデガー(M. Heidegger)は他人の目を意識して生きる自己喪失の姿を「他人の独裁」と表現した。これとは逆に、他人によく見せようとする欲求を自制して、自分に必要なものを考えて、合理的な消費をする人は、「プラブ(PRAV:Proud Realizers of Added Value)族」、すなわち、付加価値を悟った誇らしい人と呼ぶ。商品の付加価値だけでなく、生活や人生の付加価値がどのように創出されるかを悟り、「聖三位にとって誇らしい人(Proud Realizers of Holy Trinity)」になることを目指したい。

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