歪曲された新大陸発見の夢

キリスト教の福音伝播よりも金を探したいという熱望が強かった探検家たち

「叶うことのない夢を見て、実ることのない愛をして、勝つことができない敵と戦い、耐えられない苦痛を耐えながら、つかむことのできないあの空の星をつかもう」と叫んだドン・キホーテ(Don Quixote)の故郷スペインは、一時、世界で最も裕福な国であった。

15世紀、ヨーロッパの多くの探検家たちは新しい世界に向けて航海に発ち、新大陸を発見して、15世紀から17世紀まで大航海時代が大きく開かれる。私たちがよく知っているコロンブスやポルトガルの王子エンリケ(Henrique、1394〜1460)、アフリカ喜望峰を回ってインド航路を開拓したバスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama、1469〜1524)が、まさにこの時代の主人公たちだった。

実は、彼らが新世界に向けて大航海を始められたのは、ルネッサンス時代を経て発達した航海技術や地理に関する知識のおかげだったと見ることができる。当時、ヨーロッパの多くの探検家たちは新しい世界に向けて航海に発つようになるが、彼らが冒険をするようになったのには、いくつかの理由があった。まず、新しい世界を見つけて英雄になってみたいという夢があったし、それよりもっと大きいのは、異教徒をキリスト教に改宗させたいという情熱だった。

しかし実際、探検家たちは、キリスト教の福音伝播よりも金を探したいという熱望がもっと強かった。コロンブスは、自分を後援していたフェルナンド王とイサベル女王に最初に送った手紙の中で「この地に大量の金があるということは疑いの余地がない」と記している。そして、コロンブスがエルサルバドルに到着した1492年10月12日から再びスペインに帰港を始めた1493年1月17日まで、コロンブスの日記には、金という言葉が65回以上言及されている。

結局、1492年コロンブスがアメリカ大陸に最初の一歩を踏み出した後、スペインは50年にわたる征服行為を通じてアメリカインディアンたちが所有していた宝物の大部分を手に入れるようになった。スペイン軍は彼らから搾取した金や銀はすべてヨーロッパに運搬し、結局それによってスペインは世界で最も裕福な国になった。当時、スペインに搬出された銀の量は、スペインとアメリカ大陸を結ぶ大きな橋を作って余るほどであった。

凄惨な悲劇に終わった探検家たちの夢

しかし、金に対する欲があまりにも大きかったせいだろうか。スペイン人は金を手に入れる過程において、冷酷で無慈悲な略奪を行ない、狂気を表した。一例として、インカ文明を占領する際、先頭に立ったスペインのフランシスコ・ピサロは、大砲と銃を前面に出し、恐怖に血の気が引いて無防備な状態だったインカ文明のインディアンたちを無慈悲にも蹂躙した。彼は当時インカ帝国の皇帝であったアタワルパを捕らえて殺したが、アタワルパが死ぬ際、彼は涙を浮かべてピサロにこう尋ねた。

「私と私の子供たちが一体どんな過ちを犯したから、このような運命に遭わなければならないのですか。しかも、あなたの手によってこのような運命に遭うとは。私の民たちはあなたに親切を施したし、私はあなたと私の宝物を分かち合いました。私はあなたに恵みだけを施しました」 

これにピサロは何も答えず、後ろを向いた。彼が後ろを向いて沈黙していたのは、一体何のためだったのか。それはまさに金のためだった。後日、ある司祭が先住民を改宗させるために、ピサロにもっと多くの仕事をしてくれるよう要求した時、ピサロはこう答えた。「私は決してそのような理由でここに来たのではありません。私は彼らから金を奪っていくために来ました」

このように金に目がくらんでしまった探検家たちからは、最初、航海を始めた当時持っていたキリスト教改宗という純粋な気持ちは消えてしまった。彼らは金を略奪する過程において、先住民を奴隷に転落させたが、そうしながらも、彼らを改宗させ、キリスト教の祝福をもたらすための行動だと自らを合理化した。

しかし、神様は罪を犯した者たちを決してそのままにはしておかれないようだ。多くの探検家や征服者たちは、結局、不幸な最後を迎えたが、ピサロもスペインに帰ってきた後、自分を敵対視していた人たちによって20年の間、監獄に閉じ込められた。そして年老いた病気の体で監獄から釈放され、自分の家で食事をしている途中、反対派の人たちに暗殺されてしまう。 

「将来つくりあげることのできる世界を想像する私が狂っているのか。それとも世界をあるがままにだけ見る者が狂っているのか」と叫んだドン・キホーテの故郷スペインで、現実に安住せず、夢をあきらめなかったドン・キホーテの情熱は、あまりにも行き過ぎたものだったのだろうか。このような情熱によって未知の世界に向かって旅立った探検家たち、彼らの夢は白昼の物質に過ぎない金によって、このように凄惨な悲劇に終わってしまったのである。

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