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海外選手の名前の読みの法則の謎(J SPORTSのアルペンスキー放送で数年越しにやっと溜飲が下がる)──スポーツ観戦雑感

2022年1月あたりに書いていたらしいのだけれど(自分が)、すっかり忘れていたこの記事。

やっと、昨日(2024年2月10日)の放送で溜飲が下がる思いがした。アルペンスキー・ワールドカップ男子GS第6戦バンスコ(ブルガリア)の解説に来た浦木健太さんが、ようやく「Daniel Yule」の読みを「ダニエル・ユール」だと指摘した……(上掲拙記事参照)。本場の発音とかなんとかいう問題ではなくて、特にこの名前はスペルそのままの読みである。しかもユールに限った現象ではないし、一体、誰なんだろうか、このJ SPORTSアルペンの選手の名前の読みを担当した人は。

特にここ数年、放送を観るたびに一視聴者として非常に気持ちの悪い思いをしていたのだけれど、海外選手を直接知っていたり、海外チームと交流があったり、親しく話したり、現地語をわかっていたりする元選手の解説者の皆さんはずっと気味の悪い思いをしていたのではなかろうか。

前回放送時のシャモニー(フランス)での男子SLなんて、2本め1番スタートの選手(ダニエル・ユール)がそのままトップタイムで残り続け、明らかにバーン状況が試合結果を左右したとはいえ、とうとう優勝までしたために、ひとり大興奮の実況・吉田暁央さんが「ダニエリ・ユーリ」を執拗に連呼し続けて番組終わりまで完走し、ひたすらうそ寒かった。

音声切り替えなしでも、会場で高らかに紹介されている優勝者の名前が、そしてインタビュアーが優勝者にマイクを向けながら呼びかけている名前が、どれも確かに「ダニエル」だの「ユール」だのと聞こえていたけれど、耳に届いていないのか。そもそも番組関係者は現地音声で試合を確認することはないのだろうか。

もっと言えば、拙記事でも触れたけれど、かなり以前に「Alexis Pinturault」の読みを、解説陣からの違和感の指摘を受けて、元々使っていた「アレクシ・ピントロー」から「アレクシ・パンテュロー」に変更した時点で全選手の名前の読みを総点検すべきだったのではないかな。少なくともスポーツを扱う他のメディアでは一定の基準で常識的な読みが充てられていて、J SPORTSだけが独自の読みを使っている状態だったのだから。しかもJ SPORTSサイト上の主な選手紹介のコンテンツの方では一般的な読みが記載されているという乖離もあった。

しかし、今回、できる限りの選手の名前を修正しようという姿勢は伺えたものの、イタリアの「Della Vite」は「デッラ・ヴァイト」のままだったし、オーストリアの「Haaser」も「ハッセ」のまま(特にこれはなぜそう読むのかが不思議)だったし、ベルギーの「Maes」も「ミーズ」のままだったな。「デッラ・ヴィーテ」だし、「ハーザー」だし、「マース」なんだけれどな。恐らく、このあたりの名前に、浦木さんがさらに精査を加える意向であるようだったので次回以降が楽しみではある(やっとこのストレスから解放されそうである)けれど、そもそもこの仕事は本来、番組側ですべきことだったと思う。浦木さんにその作業の対価は提供されているのだろうか。なにか、浦木さんの自発的な親切に都合よく甘えた格好になっていなければいいのだけれど、本当に。

それにしても、昨日の試合の実況担当が加藤暁さんで安堵した。吉田さんの選手に対するなんとも失礼な物言いや、必要のない感嘆詞の多用、自説の開陳に勤しんでさっぱり実況をしない、解説者に自由に話をさせないあの話ぶりを聞かされるのにはほとほとうんざりしている。どうして世界トップ選手の試合を見ている時に、競技者経験のない人物の御説を延々と拝聴しなければならないのか、さっぱり分からない。しかも表現の誤用も非常に多くて、聞いていて自然と疲れる。音声を切り替えるか、ミュートにするかしたいが、解説者の話は聴きたいという、この実に無駄なせめぎ合いは果して自分だけのものなのだろうか。

そして今日(11日)も引き続き、実況担当が加藤さんである。解説が岡田利修さん、皆川賢太郎さんのお2人で、しっかりと話が、目の前のトップレーサーの滑りについての解説が聴けそうな回である。

本当に、浦木さんには感謝しかない昨日であった。

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