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実況にうんざりしてレースに集中できない──アルペンスキーFIS W杯23/24 男子GS第7戦(パリセーズ・タホ、2024年2月24日)雑感

いいかげん予め分かっていたし、案の定なんだが、レースのことよりも何よりも吉田暁央氏の実況にただただ疲れた。

予め分かっていた実況

本来、実況者であるなら不要(か、むしろ避けるべきもの)であるはずの一人称の多用や自分語りを得意とする吉田氏に改めて辟易している。それだけでなく、無神経な物言い、勝手な解釈、本来の仕事の放棄、さらに相手への問いかけがほぼ常に誘導型(leading question)であるなど、呆れることが多い。

諸々あるが、この放送の中で最も顕著だったことを挙げるとすれば、1本め56番スタートのLukas Feurstein(ルーカス・フォイヤシュタイン)が2本めに残る可能性の高い26位でゴールした場面、吉田氏はいつものごとくおしゃべりに夢中で、本来の自分の仕事を放擲していた挙句、ゴール寸前というところに至って解説の吉岡大輔氏に促され、慌てて「おお!」とかなんとか声を上げたのち、言うに事欠いて、「失礼、しっかり見ていなきゃいけなかった」と、ご機嫌に(呑気に)言い放つという、これはいったい何なのか。50番台の選手の滑りなど見るに値しないから目を離していて当然、まさか来るとは思わなかったとでも言わんばかりの姿勢で、神経を疑う。そんなわけはないだろう。

そもそも実況とは画面を注視している必要がないどころか、見てすらいなくてよいものなのか。余計な駄弁りに没頭して仕事を忘れるくらいなら、もう家で観ていたらいいじゃないかと思う。こっちは、実況者の何だか分からない無駄話よりも、今まさに目の前で真剣に競技に挑んでいるトップ選手の滑りを最後の1人まで観ているわけなんだ。

さらに言えば(きりがない)、どんな癖なのか知らないが、選手の大小の失敗にいちいち雄叫ぶ「アーラーラーラー」という大仰な声にも飽き飽きしている。邪魔だし、五月蝿いし、げんなりさせられる。怪我につながるような場面では不謹慎な悠長さだし、小さなミス程度の場合にはそんなに声を張り上げられても煩わしいだけである。ただただ盛り上げているつもりなのだとしたら、勘違いも甚だしい。疑問しか浮かばない。観戦に集中できない。以前から、解説者の話は聴きたいという気持ちとの葛藤で観ていたが、もう次の吉田氏担当回からはすっぱり現地音声で観戦することにする。

ああ、いま確認したら、次の週末3日間(3月2〜3日)の放送は加藤氏担当が最初の2日間、吉田氏が最後の1日のみでいくらかほっとしたのも束の間、よく見たら吉田氏担当回の解説が岡田利修氏じゃないか。解説を聴きたいんだよな、しかしどのみち吉田氏の駄弁りの洪水のようになるだろうことは十分に予見されるしな。

選手の名前の読みの件

それから、選手の名前の読みもまだちっとも解決していないというのは、どういうわけなんだろう。前戦バンスコの回の浦木健太氏によるいくらかの修正は、あくまでもいくらかの修正に留まって、関係者はそれ以上の修正をする気がないということなんだろうか(せっかくの浦木氏の指摘が報われない事態だと思うよ)。繰り返しになる(下記前回記事でも触れた)が、関係者は現地放送を観たり、現地音声を聴いたりしないのだろうか、観さえすれば、聴きさえすれば違和感を覚えずにはいられないはずだと思うのだが。

まず、読みだとかなんだとか言う以前に、終始、「Janutin」を「ヤヌティン」と呼んでいるのは何なのか。どこに「s」があるのか。このいい加減さはどういうことなのか。「ヤヌ」まで言うと、もうヤヌ神なのか、『ヤヌの鏡』を思いださずにはいられないのか。検索すれば簡単に見つかるんだが、下の動画の冒頭で正確な発音(本人)をどうぞ。

言い始めたら際限がないとはいえ、特に実際の発音との乖離が顕著な例(前にも書いた)で、「Haaser」は「ハッセ」ではなく、「ハーザー」が近いところだし、「Della Vite」は「デッラ・ヴァイト」ではなく、「デッラ・ヴィーテ」(イタリア語読みなんだからさ)、「Maes」は「」ではなく、「」である(かつてベルギーにはシルベール・マース(Sylvère Maes、1909年〜1966年)という有名な自転車の選手がいてWikiに日本語ページもあるくらいだから、調べさえすればすぐに分かる)。嫌味のようだが、発音を確認できる動画を一応載せておく。

「Haaser」の発音(ドイツ語実況者)↓

「Della Vite」の発音(イタリア語インタビュアー)↓

「Maes」の発音(本人)↓

いくらかでも本来の発音に近いというのならまだしも、表記から想像もできない、まるで違った読みを平気で採用して連呼しているんだから気が知れない。

ついでに言えば、「Steen Olsen」という名前(実際の発音は「スティーン・オルセン」に近い)は番組上「ステーン・オルセン」と呼ぶことになっているようだが、実況・吉田氏はこれを頻繁に「セッテ・オルセン」と言い間違える(咄嗟に「Daniele Sette」の「Sette」に引っ張られているのか、スペルがまるで違うのだが)し、うっかり単発的にではなく、連続的に言い間違い続けることさえあるが、特に後から訂正することもない(かなりしつこく聞かされても、まるで何事もなかったかのように)。

雑感まとめ

レース自体は素晴らしい内容だったのに気が散って仕方がなかった(疲れたし)。最低限の真面目な言葉遣いを知り、確実な実況の仕事ができる新しい実況者(別に若くなくてもいい)が採用されるなんてことはないんだろうか。しかし、吉田氏は国内のスキー・イベントにも呼ばれて仕事をしているようなので、人気が高いということなんだろうか。自分にはさっぱり理解できない。

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