6月某日

梅雨という言葉を聞いてから随分経つけれど、雨らしい雨が降らない。田植えを終えたばかりの田んぼは大丈夫なのだろうか。大きめの入稿を終えて、ほっとひと息の今日、夕方の散歩が終わって自宅に帰ると玄関に、かたつむりのような形状で、うごめくも茶色の何かが転がっていた。虫博士の子どもの出番である。「たぶん、蝉。抜け殻に似てるもん」。地べたに転がっていたので、今土から出てきてこれから木に上るところなのだろうか、それとも木から落ちたのか。あるお宅で蝉が殻から出てくるのを何度も見ている子どものほうが断然詳しく、口が出せない。木につかまらせてあげようかと思ったが、あまり人の手が介入しないほうがいいような気もして、結局はそのままにして帰った。がんばれ、蝉。

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