見出し画像

自動販売機にまつわる顧客満足とオペレーション

コーヒーが好きで、1日2~3杯ほど飲みます。

朝は、本当はスタバが良いのですが通勤途上にないので、ガッツリいきたいときは上島珈琲、そうでもないときはコンビニのコーヒー、二日酔いのときはノンカフェイン。

日中はオフィスのあるビルの自動販売機コーナーで買います。
定番は、伊藤園のタリーズコーヒー バリスタズブラック(ホット)(以下、タリーズ)、
たまにコカ・コーラのジョージア ヨーロピアン 香るブラック[猿田彦珈琲監修](同じくホット)(以下、ジョージア)。

と、ある日、伊藤園の自動販売機で、それまで2つだったタリーズの「サンプル表示および(サンプルの下にある)注文ボタン」の数が3つに増えました。

自動販売機の中の構造はちゃんとは知らないのですが、表側のディスプレイに並んでいる「サンプルまたはダミー」とその下の「注文ボタンあるいは選択ボタン(以下、ボタン)」と、内部の「商品ラック(商品を上から入れて在庫し、注文ボタンが押されるとしたから出てくる構造)」が1対1で紐ついて連動しているのではないか、と(勝手に)思っています。

~つまり、あるボタンを押すと、その商品を在庫している商品ラックから飲み物(カンやペットボトル)が出てくる、という仕組みになっていて、かつボタンと商品ラックは1対1で対応している、違う言い方をすると、ボタンの数だけ商品ラックがある、ということ~

この想定のとおりだとすれば、そのタリーズのボタンが増えたということは、中の商品ラックも増えたということで、要はタリーズの在庫能力が1.5倍に増えた、ということになります。

これはありがたい。

何故かというと、ホットといいながら、しかもボタンのところに「あったか~い」などと書いてありながら、ときどき十分に温かく(というか、ホットコーヒーなのである程度熱く)なっていない商品が出てくることが結構な頻度であるからです。

ホットコーヒーを飲みたいのに、生温かく、あるいは常温の冷たいコーヒーが出てくるほど悲しいこともないですよね。
有人のお店ならば、クレームを言って交換してもらえる(あるいは、少なくともお金を返してもらえる)だろうところ、そこは無人の自販機コーナー、どこかに連絡先の電話番号が書いてあったり、いろんな手順を踏めば返金対応などはしてくれたりするのかもしれませんが、コチトラそんなに暇じゃない(というほど多忙でもありませんが)、というか面倒なので結局「まあ、しょうがないか、こんな日もあるさ」とその常温コーヒーをデスクで飲むことになるのです。
これが、たまーに、よりはもう少し高い頻度で結構発生していたのです。

これは、思うに、タリーズは結構人気で、夕方から夜には品切れ(もしくは残量僅少)になり、翌日の朝方9~10時ごろ補充される際に、商品ラックが(ほとんど)空になっている状態で補充される可能性が高い、したがって補充のすぐ後に買うと、出てくるカンが十分に温められる時間がない(私は10時半~11時ごろに買うことが多いので、それまでに、という意味です)、という状態が多く発生していたのだと想像されます。

そこで、ボタン2つ→3つ、在庫1.5倍、に拡充。

品切れ在庫切れになる可能性が大幅に減って、したがって補充の際に「(ほとんど)空」である可能性が大幅に減って、新しく補充した(多分、上から)カンが下から出てくるまでに十分に加熱できる時間が確保できるようになったのだ。それ以降、常温コーヒーの洗礼にはあっていない。

ありがたい。

ところで、伊藤園はなんでこんなにうれしいアクションができたのか、考えてみたい。

自販機の仕組みには詳しくないのですが、

① まず、以下のいずれかの方法で、タリーズが品切れになることが多いことを認識したのだと思われる。
・自販機にあるセンサーから、オンラインで本部にデータが流れる
・補充するスタッフからの報告
(何個補充したか、あるいは無くなっていた、など)

② 次に、データを分析することで、(ほとんど)空の状態がどの程度の頻度で発生していたか、把握する。

③ それを踏まえて、自販機表側にある限られた数の「サンプルとボタン」にどの商品を何個割り当てるか((私の想定によれば)商品を入れるスロットの数とも連動)、の見直しのタイミングで「う~ん、〇〇ビルに設置してある自販機では、ホットタリーズが頻繁に品切れになっているようだから、ボタンを2つから3つに増やそう!」と判断

④補充するスタッフに変更指示がなされ、それが実行される。

というようなことが起こったのだろう、と思われます。

ボーっとしていたら、起こりえないアクションですね。
素晴らしい。


これは、オペレーションのみならず、顧客満足やマーケティング(超簡単にいうと、「ニーズのある人・欲しい人に、そのモノ・サービスをとどける」活動、そのための仕組みづくり、と言えると思う)の面でも大きな成果だとおもいます。

温かいコーヒーを飲みたいのに、常温がでてくるのはとても悲しいです。

少し味の傾向は異なるが、隣の自販機にあるジョージアに浮気したくなります(というか、実際にジョージアも時々買っています)。

ジョージアも美味しいのですが、タリーズのほうが人気があるようで(したがって、品切れ在庫切れの状態になることが多い)、ジョージアのほうは(品切れになることが少ないので)買ったときに「十分に熱くない=常温」であったことはないのです。

タリーズのほうが好みだ、とはいえ、常温のタリーズとホットなジョージアでは勝負にならない(もちろん、ホットなジョージアのほうが100倍良い)。

商品の中心的価値と周辺価値でいえば、ホットコーヒーに求める中心的価値の一つが「ホット」であることは間違いないでしょう。もちろん、それなり以上に美味しいものを求めているのでタリーズだの猿田彦監修だのを買っているのですが、味の傾向の違い、テイストの違いは「ホット」であることに比べたら小さなことです。
(やや言い過ぎ感あります。商品企画の方、すみません。)

したがって、「常温リスク」を絶対避けたい、と思ったら、ジョージアが定番になり、タリーズのボタンを押すときは「常温だったらどうしよう、ちょっとドキドキ」という感じがある、という状態だったところ、ボタンが2つから3つに増えたことで、味の好みのとおりに、通常はタリーズ、たまにジョージア、というルーティンを安心してとれることになったのです。

なので、オペレーションの素晴らしさが、ちゃんと商売にも結び付いている、ということなのです。
素晴らしい。

こうして、伊藤園の素晴らしいオペレーションのおかげをもって、引き続き楽しいコーヒーライフを過ごせるのです。
ありがたい、ですね。

ところで、
自動販売機に温度計はついているのだろうから(熱くなりすぎないように)、それを活用して、適温になったら「美味しくお飲みいただける温かさです」、加熱中は「現在加熱中です。もう少しお待ちください」みたいな表示があると、さらにいいのですが如何でしょう、メーカーさん。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?