信号連立政権  Ampelkoalition (アンペル・コアリツィオン)

 信号は、die Ampel、連合政権が die Koalitionである。なぜ、「信号」かと言うと、ドイツでは、政党にはそれぞれの党のカラーというものがあるからである。それで、信号の色は?となると、日本では「赤・黄・青」、ドイツでは、「赤・黄・緑」となる。だから、ドイツでは、「ほら、今、緑になった。渡ろう!」という話になる。

 赤色は労働者政党の色であるから、SPD(エス・ぺー・デー:ドイツ社会民主党)、黄色は、FDP(エフ・デー・ぺー:自由民主党で、日本の同名の政党と友党)、緑色は、その名の通り「緑の党」で、この三党が連立政権を組むと、「信号連立政権」と呼ばれる。未だ連邦レベルでは成立したことはないが、州レベルでは既に幾つかの州で成立している。

 また、「C付きの政党」と言えば、CDU(ツェー・デー・ウー:キリスト教民主同盟)で、この党はキリスト教倫理を党綱領の基盤に置いている政党なので、聖職者の色を採って、この政党のカラーを黒色としてある。ドイツとは関係がないが、スタンダールの小説『赤と黒』の、黒色の喩えも蓋し同様である。

 さて、このCDUが連立政権に入るとどうなるか。可能性としては、「黒・赤・緑」と「黒・黄・緑」が考えられるが、それぞれを国旗の旗の色のコンビネーションに従って、「ケニア連立政権」、「ジャマイカ連立政権」と呼んでいる。こちらも未だ連邦レベルでは成立したことがないが、「信号連立政権」同様、州レベルで幾つか成立している。

 今年2021年はCDUのメルケル首相が16年間続けた連邦首相の座から降板する年で、連邦レベルでは総選挙、州レベルでも州選挙が幾つも行なわれる選挙の年である。さて、どんなカラー・コンビネーションが出来上がるか、筆者も興味津々のところである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?