道路「掃除人」 Straßenfeger (シュトrラーセン・フェーガー)

 道路は、die Straße で、ßの文字は「エスツェット」といい、s字と異なり、いつも [s] で発音する文字である。「掃除人」は、der Fegerであるが、この言葉は、fegenという動詞から来ていて、fegenする人を意味する。fegenとは、何かの道具を使って、掃くことを言う。それでは、道路清掃人の方が訳として合っていると思われるだろうが、この言葉には、その意味がある他、特別な意味があるので、あえて、上述のような訳をした。で、何故そうしたかの種明かしをする、その前に、まずは、今日はなぜこの言葉を挙げたか、説明しよう。

 今週の木曜日、2021年5月13日の20時45分から、DFB(デー・エフ・ベー:ドイツサッカー連盟)が主催するDFBポカール(=カップ)の決勝戦が、コロナ禍に伴ない、観客無しで、しかし、会場は例年の如く、ベルリンの、あの1936年のベルリン・オリンピックの主会場となったオリンピック・スタジアムで開催された。

 ブンデス・リーガ(Bundesliga:連邦リーグ)の第一部18のプロのサッカー・チームがシーズンで競うチャンピオンシップと並び、あるいは、それ以上に関心が高い大会がDFBポカールである。なぜ関心が高いかというと、プロの40のサッカーチームと共に、24のアマチュア・チームがこれに参加して、優勝を競うからである。

 サッカーはドイツで最も人気のあるスポーツで、これを全国的に組織しているのが、DFBである。その傘下には、ウィキペディアによると、ドイツ全国で、約24.500のサッカー・クラブがあり、約7百万のメンバーを抱えていると言う。13階梯のリーグが下から系統立ててあり、そのシーズンで在籍しているリーグで優勝すれば、次の上の階梯のリーグに上がれる。反対に、在籍しているリーグの最下位になれば、より下位のリーグに落とされる。こうして、地区、郡、州と階梯が上がっていき、さらに、14地域の、その上位のオーバー・リーグ(第五階梯)、これがさらに絞られて、5つの地方リーグ(第四階梯)となる。その上の階梯が、上から数えて連邦レベルの、ブンデス・リーガ一部、二部、そして、第三リーガである。という訳で、DFBポカールには、最上の18チームだけではなく、64チーム以上の関心が向けられているのである。

 そして、今年はドイツの最強チーム、バイエルン・ミュンヘンが第二回戦で番狂わせの敗退をしていたので、関心は余計に高かった。しかも、今年はコロナ禍で、友だちと待ち合わせて、ビールを飲みながら、サッカーの試合をテレビ観戦する訳にもいかず、この日、5月13日の夜8時以降は余計に人出が減って、あたかも、道路から車が掃き取られたかのように交通量が無かったのである。

 では、既にお察しのこととは思うが、種明かしである。このような、車の交通量が無くなった状況を、今日の本題、 「シュトrラーセン・フェーガー」に絡めて言うのである。つまり、テレビの視聴率が極めて高くて人出が極端に減るような番組を俗語的にこう呼ぶのである。DFBポカールと並んで、サッカーのワールドカップで、ドイツが出るサッカーの試合のテレビ中継は、正に、この「シュトrラーセン・フェーガー」、道路「掃除人」である。

 ちなみに、今年のDFBポカールの決勝戦は、バイエルン・ミュンヘンが「南の雄」とすれば、「北の雄」ドルトムントが、「東の雄」ライプツィヒを4対1で降して、5度目のDFBポカール優勝を飾った。

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