頭か数か Kopf oder Zahl? (コpフ・オーダー・ツァール)
頭は、der Kopf である。ここでは、pfの文字のコンビネーションの発音が難しい。「プフ」としてしまうと、全くドイツ語の発音から離れてしまう。それで、上では、「pフ」と表記したのであるが、まずf音は、下唇を上の前歯で噛んで発音する。この要領で、口と唇を準備するが、その際に上唇も下唇に付けてしまう。よって、上唇と前歯をいっしょに下唇に接触させる。こうやって、口と唇の形を作った上で、p音を発音しようとすると、「pu」になってしまうので、むしろ f 音を直接発音するつもりで音を出した方がいいであろう。
終助詞の「か」は、ドイツ語の接続詞 oder に対応できる。音節の〆で-er となる時は、例の通り「アー」と発音したい。
数が、die Zahl である。z音は、例の通り、「ツ」音、hの文字は、ここでは、長母音を指示する記号と考えたい。
さて、今日2021年7月6日の、西ヨーロッパ時間で21時から、サッカーのヨーロッパ・カップの第一準決勝が、イタリアとスペイン間で戦われる。アメリカン・フットボールと同様、サッカーでも、どちらの陣地側で戦うか、キックオフをどちらがするかで、いわゆる「コイン・トス」が行われる。その際、両チームのキャプテンは、英語であれば、「heads or tails?」と複数形で聞かれる。「頭か尻尾か?」と、英語では「尻尾」となるところが面白いが、これが、ドイツ語では、「頭か数か?」となる。
古代ローマ帝国の硬貨を見ると、一方の側に、恐らくいつかのローマ皇帝の顔が、別の側には船の図柄が描かれている。ここから、「頭」という表現が来ているのである。
で、この「頭」側が硬貨の表側となるかというとそうとは必ずしも言えないのである。大体今のドイツのユーロ硬貨で「頭」、別に言えば、「顔」が出て来そうなのは、2ユーロ硬貨で、ネットのサイトによれば、これは、裏側に当たる。表側に、2の数字が出てくる。よって、「頭か数か?」とする時には、必ず事前にコインの裏・表側を見せて、確認してからでないと、コイン・トスはできない。
ユーロ硬貨では、EU共通の数字が出てくる側を表側とし、裏側は各国が自国でディザインをするということになっている。それで、2ユーロ記念硬貨の裏側には「頭」が出てくる可能性がある。実際に、2018年発行の硬貨の裏側には、元連邦首相のヘルムート・シュミットの顔が描かれている。今のところ記念硬貨の裏側には、他に、ドイツ連邦各州を代表する有名な建物がディザインされて、2006年以来、出されている。来年2022年1月末には、最後の第16州目のテューリンゲン州の2ユーロ記念硬貨が発行されることになっている。
ドイツの1及び2ユーロ硬貨では、裏側に、ドイツの主権を体現する「鷲」が形象化されている。10,20,50セントの裏側には、ブランデンブルク門が描かれており、これは、ドイツの分断と統一の歴史をシンボライズするという。1,2,5セントの裏側には、ある植物の枝が描かれている。
枝の左右両側にまず二枚ずつ、さらに左側に一枚で、合計五枚の葉が付き、その五枚目の葉の反対側にどんぐりが二つ描かれている。つまり、この植物は、ヨーロッパ・ナラの枝なのである。なぜ、これがナラの枝なのかは、別の投稿を待つとして、このオーク・リーフのイメージは、ドイツでは、EUの通貨統合がなされる前にも使われていた。
つまり、通貨単位としてのドイツ・マルク(Die deutsche Mark)であり、そのマルクの下の単位がペニヒであった。1、2、5、10ペニヒの裏側には、例のオーク・リーフのディザインがなされてあり、それは、枝の一番先に一枚、さらに両側にそれぞれ二枚ずつで、合計五枚の葉が付いたナラの枝が描かれてあり、50ペニヒの裏側には、ナラの苗木を植林する女性の姿が描かれてあった。戦後、戦中の物資不足で山々の木を伐採して、燃料にしたため、木材資源が枯渇していた終戦直後には、ドイツは早速植林運動を始めていたのであった。
さて、ペニヒは、ドイツ語で、Pfennigと書く。この投稿の最初を読まれていた方は、これをどんな風に発音したらいいか、ここで、お分りになるはずであろう。
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