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ファシリテーションでできること~あえて語るファシリテーション3.0

1:はじめに:ファシリテーションアドベントカレンダーと私

 ファシリテーションとのかかわりは、10年ほど前、NPO法人国際ファシリテーション協会の本間直人さんから概念を教えていただいたことに始まる。お兄様の本間正人さんと本間直人さんの講座を中心にファシリテーション講座やセミナーに通った。現在、1対1の「壁打ち」(プランのコンサルティングやキャリアコンサルティング)はさせていただいているものの、1対他のファシリテーターということはこれといってしていない…

それなのになぜ無謀にもこの「ファシリテーター Advent Calendar 2020」に参加したか?その理由は2つ。

理由1:幼いころからの「赤白問題」をハラオチさせたい
 幼いころから、紅組と白組で紅組が勝ったから嬉しいとか(赤か白問題)、子ども(あるいは経験の浅い人)は無条件に経験のある人のいうことを聞かないといけないとか、あのグループは私たちとは違うから関わっちゃだめだとかが区別することがさっぱりわからなかった。理由は深く聞いてはいけないとはわかっていたが、心に秘めてきた。育っていく過程で区別をすることで比較や勝負ができ、勝ったのは嬉しいことで、戦争の歴史とか人類はそうやって進化してきたんだと納得した(あくまでも他人事…)。自分なりに「年齢文化立場を超えて混ぜ混ぜすると何かが解決できるのでは?」とMUDDLERを立ち上げたが、実際は難しい面もあった。ファシリテーションを知った時、この問題が解決できるんじゃないかという予感がした。なので「場を仕切る」というのはぜんぜん興味がないのである(ごめんなさい)。

理由2:〇〇のサイン
 私が2020年11月にフリーランスになった時に心に決めたことがある。

「フリーランスは自分で時間が自由にできるのだから、3秒で直感がわくわくしてやりたいと思ったら基本する!」

 このカレンダーの存在を知った時、直感センサーが反応した。思い返し「ファシリテーターじゃないし…」と本間直人師匠にご相談したところ「いいんじゃない」という回答で、空気を読むとか背景を読むというのは基本苦手なので、あえてそういうキャラクターの設定をしているので(フリーランスだし!)、無謀だが参加してみることにした。

 改めて、カレンダーを拝見すると参加しているのはそうそうたるファシリテーターのみなさま!であるが、テーマは自由なもよう☺大丈夫、私もどうにかなる気がしていて書き進めることにした(大胆…)。

2:「ファシリテーション」とは?

 Wikipediaでは、「会議等の場で、発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、組織や参加者の活性化、協働を促進させるリーダーの持つ能力のひとつ」 NPO国際ファシリテーション協会では、”グループの可能性を最大限に活かす力“と定義されている。私はNPO法人国際ファシリテーション協会の定義が好きなのでそれに沿って進めていく。

ファシリテーション講座で学んだことは以下である。
①ファシリテーターの個性はいかしてよい。百人百様。
②可能性に正解はないから準備はして、最善を探っていく。

 ファシリテーションを”グループの可能性を最大限に活かす力“とすると、以下の2つを満たすものがよいファシリテーションと考えている。
①グループで生み出したアウトプットの量・質
 グループで何を生み出せるか。これが決まった、この言葉が生み出せた、こんなことがわかった、こんな絵になったなど「目に見えるもの」もあれば、みんながすーっとおちた、大笑いしたとか「目に見えないもの」もある。
②グループ及び参加者ひとりひとりの力が発揮できたか(満足度)
 みんなが思ったことが言えて、あっている間違いとかがなくて、よかったねとなってそれぞれが元気が出たり、今日ちょっとこれやってみようかとか、グループとしてなんかやっていこうか、みたいなことではないかと思う。

 

3:突然だけど、勝手に私が思う苦手なファシリテーションの場面

 ところで、すごく私見に満ちているが、私の苦手なファシリテーションの事例である。

事例1:バックグラウンドがわからないのに、いきなり自己紹介してくださいといわれる
 背景がわからない自己紹介が苦手だ。著書での自己紹介とかだとテンプレ文があるし、読んでる人も著書紹介にそこまでの個性を感じないだろうからいい。誰がいるかわからないし、誰が何がNGで何がGOODかわからないし誤解されても困るのになにをいえと。私の〇年の人生はそう簡単に語れないのだけどと。(準備するようにというお作法も理解はしている)
 今日食べた朝ごはんを言いましょうとか好きな色は何かとか同一の基準があるといい。ないと心理的安全性を欠いたまま場に入ることになる。

事例2:同調圧力強い!うちわのり
 場にいる以上、講師とスタッフ、参加者の区別はあるが、差別はないという信念を持っている(表立っては出しませんが…)。講師2名でうちわの話をするセミナーであれば漫才みたいでそれでいい。スタッフがいっぱいで他の方をおもてなししたい!というならそれも素敵。でも参加者の一部が何となく、このグループで結束固いです!この専門用語を当然知ってますよね(知らないなんておよびじゃないオーラを出しつつ)とか、場とずれている発言をなかったことにされると当惑し、マウンティングされたような疎外感、敗北感を感じる。自分のグループがいい気持ちはわからなくはないが、ひとを招いた以上そういう話は終わった後の打ち上げの場でこっそりしてほしい。

(とアンケートには決して書けない小心者のわたくし、だから主催者には永遠に知らされない…)

 私は以上のポイントたちが気になって仕方ない。しかし、時間進行が気になる人もいれば、発言できなかったとか、目にみえる結果が出ないと満足しない人もいるだろう。各人でアウトプットや満足度が違うからだ。いろいろな気になるポイントがあることを同意し、ようは、お互いに気持ち良い終了感があればいいとおもう。

4:ファシリテーター3.0

 ということで私の素敵と思うファシリテーションの話。
 さらに話が飛んで申し訳ないが、学生時代はマーケティングの専攻だった。アメリカのマーケティング協会の定義では「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」という。価値創造やプロセスというのは、ファシリテーションに似ているので、あえて引用した。

 コトラーが提唱したマーケティング3.0という概念があるが、マーケティングは社会の変化に従って進化してきた。

マーケティング1.0
 製品開発計画や流通チャネルの策定、販売促進等を複合的に組み合わせる「マーケティングミックス」という言葉が登場したのは、1950年代、現在でも基本とされる「4P(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)」が登場したのは1960年代の販売量やコストの削減等、製品が中心だった当時のマーケティング。

マーケティング2.0
 1990年代、不況による消費冷え込みに伴い、時代は需要過多。これまでの製品を中心としたマーケティングでは通用しなくなり、マーケティングのコンセプトは「製品を売ること」から「消費者が何を望んでいるか」にシフト。今日も主流とされている「消費者志向」こそが、「マーケティング2.0」の基本概念。「STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)」がマーケティングにおける主役となり、いかに競合との差別化を成功させるかが大きなテーマ。

マーケティング3.0
 消費者満足や事業の差別化といったテーマもあるものの、「どんな社会をつくりたいか」がコンセプト。その背景は、消費者の価値観の変化とソーシャルメディア普及等の生活環境の変化と、限られた資源、格差等、社会問題の深刻化である。

 それに従うと、ファシリテーション1.0~3.0におきかえると、以下のようなものになるのではないかと提案する。

ファシリテーション1.0
 ファシリテーターというヒーロー(正)が参加者(悪)を説き伏せていくとまではいわないが、正解や結論があるファシリテーションで決まるまでの効率さがよしとされる。進捗確認やYESNOを決める場合には有効である。

ファシリテーション2.0
 有能なファシリテーターが華麗な技を駆使し、アウトプットと参加者の強みを引き出し満足度を高めるファシリテーション。ひな壇番組みたいにファシリテーターも参加者のレベルが高いと最高のエンターテイメントになる。

ファシリテーション3.0
 ただ私はこういうファシリテーションが好き。みんなが自由にやりたいようにいられて、まるでお互いに持ってきた残りものを合わせたら異種格闘技料理のフルコースができて、「こんなこんなフルコースはなかなかなかったね!」「あのあれとあれを間違えたハプニングがあってこの味が出たね~」「また作りたい」というファシリテーション。こういうところからイノベーションや世の中を変えるものは生まれていくとわくわくする。だってノーベル賞を受賞した研究のきっかけでも「間違えたんですよね」ということよくありますよね?

5:終わりに

 最初から最後までファシリテーション専門家でもないのにとうとうとお恥ずかしい。ただ、新型コロナウイルスにより、オフラインが前提のことが多かったのがオンラインに一気に進み、ファシリテーションもオンラインの場が増えた。オフラインの相手の行間が見える良さもあれば、オンラインの地域を超えてつながれる良さもある。現代はVolatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という「VUCA」の時代がさらに進んでいる。ようはこれからの時代、誰も正解を知らないし、どんな立場だって生み出せないのである。

 ファシリテーターのみなさまを始め、ファシリテーションがどんどん発達し、多様な価値観がおもしろい!と思えるようになって、ヨノナカがもっと居心地よくなるなと勝手ににやにやしている。



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