イカルスの墜落のある風景

ブリューゲルの絵では
イカルスの墜落した季節は
春だった

農夫が一人
自分の土地を耕して
年のめぐりの拵えた

壮観なものが
余すことなく
海岸沿いで

ぎらぎらと目覚めていた
頭の中は
自分のことで一杯だった

太陽に汗ばみ
同じ太陽が
蜜蝋の翼を溶かした

沖の方で
とるに足らない
水しぶきが起こり

誰もそれに気づかなかった
それは
溺れゆくイカルスだった

ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ

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