マイノリティの断末魔 閉ぢていざ鮎甘き夕食を
「巻末はハドリアヌスの断末魔 閉ぢていざ鮎甘き夕食(ゆうげ)を」
塚本邦雄の短歌である。この歌が示しているのは、文学が生活の中でどのような位置を占めるかということである。
古代ローマの権力闘争を描いた小説(辻邦生の『背教者ユリアヌス』であろうか、調べていないからわからないが)をキリのいい所まで読み終え、夕食をとるという、パラフレーズすればなんてことない、生活の一コマでしかない。
血みどろの文学世界と楽しい夕食は、はっきりと区切られている。文法的にもそうだし、一文字分の空白もあ