ベリヨの日記2023.6.4~6.10
6.4 食パン
お昼は稽古、夜に関しては記憶なし。日記を書きそびれているとこういうことが起きる。それでも日記と言い張ります。
晩御飯は写真を撮ってあるので思い出せる。
昨日の残りのホルモンとタン、それにレタスと米、道端で拾った蒙古タンメンのスープをいただきました。
明日のために食パンを仕掛けてゆで卵をつぶしたやつを作った。あれの正式名称って何?卵のフィリングかな。胡椒を効かせるのが好き。
6.5 はるひ
中学の同級生、はるひが遊びに来る。今も連絡を取る友達では一番古く、唯一地元も同じだ。はるひは中古ゲームショップのバイトで知り合った人と結婚し、去年赤ちゃんを産み、清瀬の方に家を買った。ちなみに中古ゲームショップはいまエニタイムフィットネスになっている。
昨年末赤ちゃんに会うため遊びに行って以来なので半年ぶりの再会だ。
駅で待ち合わせて、スーパーで買い物し帰宅。今日は沢山具材を用意してなんでも挟んでOKのサンドウィッチパーティーだ。大学生くらいのころ、私の実家で催して以来これが我々の定番だ。そのころは地元のパン屋の食パンだったけど、今日はホームベーカリーで焼いたフランスパン風食パンだ。パンを切るのが苦手なのでパン屋でもバイトをしていたはるひに切ってもらった。
エビをガーリックパウダーで炒めたやつ、卵のアレ、カッテージチーズ、生ハム、ピーナッツバター、マーマレード、あんこ、レタス、西友のコロッケ、絞るだけの生クリーム、いちご類
(はるひが中学の自己紹介で「いちご類が好きです」と言って以来、ずっとイジりつづけている)
パンはおなかにたまるのでオープンサンド形式で。なんて贅沢なのにお金のかからないランチだろうか。ノンアルコールの缶ワインもたしなみつつもりもりと食べる。はるひはこんなにも華奢なのに私に負けず劣らず、ていうか私より食べられることがある。気持ちのいい食べっぷりでパン1.5斤がほぼなくなった。
中学時代、私は自意識過剰孤独オタクだったので好きな漫画や動画の話なんて学校の友達にはできなかった。1年ごとにクラスに2,3人の仲のいい友達を作り、その小さなコミュニティで過ごす。趣味が共通してるからと友達になるような感覚ではなかった。なんとなくの立ち位置が近い子。今よりもずっと集団での立ち位置づくりに敏感だった気がする。
はるひは中3のクラスで名前順が近いという理由で話すようになった。卒業後、ろくな部活をしていなかった私は他に連絡を取る友達はいなかったけれど、なぜだかはるひとの縁は続いた。
高校時代から演劇もいつも来てくれるし、「りよの面白さを世間に広めてほしい」なんて無責任に嬉しいことを言ってくれる。
大学で思い切って漫研に入ったあたりから私の中の殻が破れ、インターネットの人格を現実の友人にも小出しにするようになった。はるひとも好きなゲーム実況者の話ができるようになった。中学生の頃なら考えられないことだ。しかしふたを開けてみれば私たちは同じような動画ばかりを見て青春時代を過ごしていたのだ。通りで私たちなんだか話が弾んでたのね。あの頃も趣味を共有してればよかったのにね。最近ニコニコ動画のプレミアム会員になった話をしたら若干ひいてた。
はるひのリクエストでカラオケに行くことに。はるひは出産以来、8ヵ月ぶりに一人で外出しているのだという。だったらなんでも好きなことをするっきゃない。
私も歌うのは大好きで、カラオケに一人で行くこともあるがはるひはそれ以上だろう。高校からバンドを初めて、大学までずっとボーカルだった。わたしも何度かライブを見に行き、よく知ってる友人が知らない一面を見せながらステージに立っているという感覚を新鮮に味わった。ちょっと違うけど、私の演劇もこういう風に映るんだろうかなんて考えたりして。
はるひは歌が上手い。うまいって言葉しか出なくて申し訳ないけど、うまいもんはうまい。おまけに相対音感があるため即興でハモることができる。これがまた一緒にカラオケに行くととても気持ちがいいのだ。うらやましいスキルだなあ。
私たちが中高生の頃好きだったような詩的な邦ロックや最近流行の曲、90年代アニメソングなんかを代わりばんこで歌った。別に好きな歌を歌えばいいのになんとなく「こいつならこの曲分かるだろ」というラインを責め合う。生まれたか生まれてないかくらいの時代のアニメソングが体に染みついているのは衛星放送の再放送文化のおかげだろう。
3時間ほど休まず歌い、はるひが持ってきてくれたドーナツを食べて、カラオケを後にした。もう夕方、お腹いっぱいだが話したりないので散歩する。ここにダイソーできたんだよとか、ここにお高く止まったフルーツサンド屋さんができたよとか、ここの文房具屋相変わらずあのおじさん働いてるの?とか現在の地元の状況をツアーする。1時間ほど歩いて解散した。次はまた私がはるひの家に、赤ちゃんに会いに行かなくては。
はるひを送った後、自転車で池袋へ。お友達の寺尾みなみさんや小山ごろーさんなんかが働いているアパレルブランドkill remoteのファッションショーに演劇を取り入れるということで役者として出演する。今日は顔合わせと1回目の稽古だ。サミゾさんなんかもいるので安心。
脚本と演出は松澤くれは氏が担当。ナルミさんは元々松澤さんの演出する舞台のDVDを持っていたらしく名前を聞いて驚いていた。
短いシーンを4つ繋げて、時間にして5分程度の出番だが、丁寧にディレクションがつく。コミカルにデフォルメをという雰囲気でもなく、珍しく繊細に気を遣いながら演技する。なんだか自分が場違いではないかと不安になる。
3時間程度で稽古は終了し自転車で帰宅。ナルミさんは今週1週間は実家で過ごすらしく、一人の家。あ~なんだか長い1日だったなあ。
6.6 サバ
一人だとどこまでも自堕落に過ごせる。そういう性質だと自覚しているからこそナルミさんにルームシェアを提案した。ナルミさんのいない家は私にとって圧力がない。いや、ナルミさんが威圧的なわけではなく、人がいるということは少なからずその人との間にエネルギーが生まれるわけで、どんな人がいようが圧になって体に伝わってくるものだ。そして私はその圧がなければ何のやる気も起きず、固体から液体へ、そして気体へ、自分の輪郭を見失いながらプカプカと漂い続けるなにか、で、い続けることしかできない。
だから昨日の稽古のあとベッドに倒れ、夜中に目覚め、マッチングアプリの返信などをし、隣人に申し訳なく思いながらも夜すすぎをし、ダラダラとバイトへ向かった。日記に書くほどのことはない。
あ、夕飯は冷凍のサバを焼いて食った。
6.7 ぺいぺいかあちゃん~夏~
水曜定休。ふと思い立ち、母を誘って駅前中華へ。ここは街中華ではなく本格的な中華レストラン。お粥とザーサイなどの副菜の食べ放題、オリエンタルな内装、色とりどりの老人の集団などを楽しむことができるお気に入りのお店。
真っ黒な酢豚が名物だが、私は担々麺を、母は冷やし中華を頼んだ。先週母の誕生日を祝い損ねたのでそのつもりで来たが、母が払ってくれた。paypayで20%オフだからだそうだ。母はこの20%オフ期間に向けてpaypayにパワーを溜めていたので放出したいのだろう。ありがたいこってす。
商店街を散歩して、スーパーに2軒寄って帰った。八百屋スーパーでスイカが売っていた。私は無類のスイカ好きなので買おうかなと言ったらすかさず母が「メール会員だから298円だよ」とスマホを取り出した。抜け目ない。「そのかわりお母さんにも分けてね」「いいけど、それだと私は別に得してなくない?」「お母さんのおかげなんだからいいでしょ。あ、とうもろこし2個セットが安いけど1本しかいらないから1本あげるからさ。」
私は別にいらなかったけど、くれるというからもらった。くれるっていったのに後でちゃんと請求され、paypayで98円送った。
今年初のスイカもとうもろこしも美味しかった、夏。
6.8 ビビアン・ビビアン・ベイビー
たまねぎ芽吹きすぎワロタ。
2玉使ってトマトリゾット作ったら玉ねぎの味しかしなくてワロタ。
夕方、チャリで吉祥寺へ。小山ごろーさん出演の寺ノ子屋第5期公『ビビアン・ビビアン・ベイビー』を見にSTAR PINE’S CAFEにやってきた。
劇場というよりはライブハウスで、ワンドリンク制だった。
飲み物を受け取り席を探していたらもっちょさんがいた。寺ノ子屋の主宰者がもっちょさんの好きな劇団によく出ている人らしい。
公演は戦争が起きて統治支配されている世界観の日本だった。コメディチックでポップな感じを想像してたが、人がバッタバッタと死んでいく。そういうスケールの芝居と思ってなかったのでちょっと吃驚してしまった。JPOPを使ったダンスパートがふんだんに盛り込まれており、コミカルなものからコンテンポラリーなものまで様々だった。
ごろーさんは相変わらず動きが綺麗だったし、本気で踊っているところは初めて見たのでダブルデックとベクトルの違う姿を見れてよかった。少し髪を切って赤く染めていたのが可愛かった。
地上に出るとぽつぽつ雨が降ってきていた。最悪。かなり最悪に近い。急いでチャリを走らせる。急いでいるのにちょっとチャレンジしたくなってナビを見ないで帰ってみる。見知った千川通りまですいすいと出てくることができた。やるじゃないか私。
6.9 聞こえてる
今日はのんびりバイトしたかったのにそうもいかなくなってしまった。休んでいる間にあれもこれもとお遣いが溜まっており、結局1日自転車で杉並区中を駆け回ることになった。
バイトのあと、自転車を駐輪所に入れたまま阿佐ヶ谷駅のトイレで入念に化粧を直す。高円寺でマッチングアプリの男と会うのだ。仕事終わりにアポを入れたのは初めてなので化粧がボロボロだ。いきなりママチャリで乗り付けるのもどうかと思い、1駅だけど電車に乗る。そういう儀式を挟まないとなんだか気持ちが切り替わらない気がした。
1件目は彼が提案してくれたいろんなビールとオリジナルフライドチキンが楽しめるという創作居酒屋へ。カウンターに通され臨場感あふれる厨房を前に乾杯する。店員が気さくなのはいいけど、マッチングアプリの初対面同士な手前、会話を聞かれるのはちょっと恥ずかしい。ま、だれも聞いてねーか!と質疑応答を行う。料理はどれも一癖あって大変美味。大根の唐揚げ、ブルーチーズポテトサラダ、パクチーの効いたソースを添えた唐揚げ。
彼が喫煙者だという話をしたあたりで突如カウンターから「たばこは出て右のとこですね!」と声を掛けられてキョドってしまった。話聞こえてるんかい。「めっちゃ聞いてますよ、面白いんで」。めっちゃ聞いてるんかい。酒を飲まずにはいられなかった。
少し特殊な仕事と経歴をもつ彼の話を中心に会話は弾んだ。なんとなくもう1軒行ってもいいな~と思ったので2軒目は彼がよくいくという漬物屋さんがやってる居酒屋へ行った。せま~い店内の座敷席に通された。思ったより自分の靴下がダサかったので萎えたが会話やお店自体は楽しめた。阿佐ヶ谷まで散歩してそこで別れた。不思議なもので1度会うとマメに連絡する必要性を感じなく、そこからはマイペースに会話できるようになる。そこまで関係値を築いてやっと肩の荷が下りる感じだ。また中央線沿線の居酒屋に行く約束をした。
試合結果を早くナルミさんに話したかったが帰っても一人だ。不完全燃焼を感じていたらちょうど七海が電話をくれた。七海はタトゥーを入れる予定らしくデザインの相談に乗った。私も入れてみたいな、面白いから。雑談のうちの一つだが来年の年始に韓国に旅行に行こうという話になった。鼻整形しよっかな。面白いから。マリオ64みたいにグニグニ顔がいじれたら面白いのにな。
6.10 孵化するこどもたち
kill remoteの稽古に行った。代々木のスタジオでファッションモデルの方々も交えて当日の段取りを確認する。
ここのところ低気圧のせいか寝つきが悪く眠りも浅い。なれない現場だからか思ったよりも消耗してしまった。
稽古を終えたら祖師ヶ谷へゆうこりんの劇を見に行く予定だ。稽古が思いのほか早く終わり、17時の回を見ることもできたが、19時の回でナルミさんと待ち合わせていたため新宿で時間をつぶした。
東南口の広場でホワイトビールの試飲缶を配っていたので並び、貰った。
新宿でご飯と、なにか買い物をと思ったけれどどれもピンとこないし、衣装を持っていたので動く気が起きなかった。
結局祖師谷の方に移動した。祖師谷と言えば円谷プロがあるのでウルトラマンの街である。駅前にちゃんといた。
祖師谷はにぎわっていた。土曜の夕方ということもあり近隣住民と思しき人影が多かった。
会場のカフェムリウイは商店街をまっすぐ行った先。いったんそこまでにピンとくる飲食店がないかなと歩く。一人で知らない街で外食する機会なんてそうないので選択を間違えたくない。慎重に1軒ずつ確認する。
途中、感じのいい花屋さんがあった。コロナが大流行してた頃差し入れはすべてNGという公演が多かったが、いまはそんなこともないはず。ゆうこりんにあとでお花を買おう。
唐揚げ屋さんやうどん屋さんなど目には留まるものの長居ができなさそう。そうだ、一人なんだし、友達を誘いずらいタイ料理かインドカレーを食べよう!を思い立ち、足で探すのを諦め検索するも、ちょうどいい場所にない。
すっかりやる気を失いふらふらしてたら駅まで戻ってきてしまった。今度は90度違う方向へ歩いてみる。すると、検索ではヒットしなかったインドカレー屋さんを見つけた。店頭に汚いエプロンを付けた恰幅のいい店員が立っていて、目が合ったので入ってしまった。店内は暑くて、インド映画音楽がyoutubeで流れていた。広告は日本語で流れるんだな…なんておもいつつ、カレーのセットを食べた。サグチーズとバタチキ。のんびり食べて、劇場へ向かう。
劇場に向かう途中、サミゾさんマタハルさんピロゲ石井ちゃんの集団とすれ違った。今見てきたのだという。知らない街で知ってる人とすれ違うのって不思議だけど嬉しい。自宅用に切り花と、ゆうこりんに小さなブーケを買ってさらに商店街を進むと今度はバラさんとすれ違った。あれ、もう見たのかな?なんて話しかける間もなくすれ違って行ってしまった。劇場前でナルミさんと落ち合い、階段を上る。建物の屋上まで通された。なんとそこはルーフバルコニーになっており、その中にカフェムリウイは存在した。屋根がテントになっているのでこれは正確には居室ではないのだろうか、なんて気になりつつ中へ入る。ワンドリンク制だったので二人ともクラフトコーラを頼んだらあと1杯だけなんですと申し訳なさそうに言われてしまったので私は自家製レモネードにした。蓋つきのタンブラーにストローを通して渡される。なるほど、零れるリスクがだいぶ下がるな。
途中なまためさんとバラさんと可奈子がやってきた。バラさんもただ祖師谷をうろちょろしてただけらしい。BGMもなく、静かな場内だった。ごく小さい声で会話してたつもりがのちのなまためさん曰くめちゃめちゃ聞こえてたから聞いていたらしい。めちゃめちゃ聞こえてたんかい。
劇場というよりカフェの座席を取っ払っているような状態だ。さっき入場してきたルーフバルコニーを背負って劇が始まる。驚いたことにルーフバルコニーの奥の階段から役者が出てきた。はけ裏の概念が覆される体験だ。実際の建物の窓や扉を使って演技をするため、嘘がない。途中男性が煙草を吸いに外に出たけど、ほんとうに吸ってたんじゃないかなと思えた。内容は繊細でちょっとファンタジーで、グロテスクで、みんな悪くてみんなかわいそうで70分のなかにいろいろな視点の意見がぎゅっと詰まっていた。ゆうこりんは本当に演技が上手い。上手いなんて俗っぽいけど上手いもんは上手い。昨年上演の『演劇』でも感じたけど神経質な女性をやらせるとピカイチだと思う。それが本人のパーソナリティと近くないのだから不思議だ。
もう一人の女性役者は以前やみ・あがりシアターの『すずめのなみだだん!』再演版で主演だった人だと後から気づいた。
純粋そうなんだけどいろいろ考えてる、まっすぐなんだけどひねくれてる、そんな役柄と「話しづらそうだけどこの子個性的で良いな」っていう人を演じるのが本当にうまい。これはできない人にはまったくできない役だ。空気をひりつかせるのも、自然におどけてみせるのも上手でワクワクした。
男性の役者さんは演技体が映像寄りでより、リアルな距離感だったのにぐっと惹かれた。小劇場ではあまり見れないお芝居だと直感的に思ってしまった。セリフの切れ目や段取りが感じ取れず、より没入感を産む。説得力のあるビジュアルも相まって、キャラクターごとすごく好感が持てた。
実際の時間が経過するごとに窓の向こうの景色が変わることや、細かな人の出入り、部屋が変化していくことなど細かな演出にこだわりを感じた。
脚本を初めて書く人だと聞いていたのでクオリティに驚いてしまった。なんだか悔しいな、これ私が思いついたことにならねぇかななどとよこしまな考えを抱きさえした。この劇場で、この人たちがやるのにふさわしい演目だった。天晴。
大満足で観劇を終え、お花を渡して劇場を後にした。17時の回を見て飲んでた人々と合流し新宿で飲むことに。観劇の感想に花を咲かせつつ、みんなの近況なんかを語り合った。
長い一日だったけど、演劇チャクラがたっぷりチャージされた。うちも今年の公演の計画そろそろ立てようかな。