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Back to the Basics!

「基礎からやり直せ」というのはどの世界であれよく云われることですが,実は大事とはいえ,この言葉ほど苦しんでいる学習者をより苦しめているのかもしれないとときどき思います.

実は,「基礎とは何か」というのはすごい難しい問だからです.英語に関してもそうで,何をもって基礎とするかは本当ははっきりしていません.そもそも基礎の大切さを解く指導者側の人たち自体が自分がどうやって基礎を身につけたかはよくわかっていないのです.それぐらい学習者にとっての基礎を確立する作業というのは難しい訳です.

英語の場合も山ほど「基礎からのやり直し」を謳った本が出ていますが,それをやったところでできるようになるかは疑問です.それらの本が良くないとか,間違ったことが書いてあるとか,いい加減に出されたとかそういうことではないです(そういう本もあるかもしれませんが,それはここでの論点とは違います).ひとりひとりの学習者のニーズによって基礎の中身が決まってくるという事です.

学校や試験のための勉強だったっら,そこでの成績にリンクしていくことがニーズになるでしょう.試験対策本は指導者や出版社側からすれば何を示せばよいのかはっきりしていて,このシンプルさがウケています.もちろん,その試験で問われる英語力自体はその対策を続けて結果がでればある程度は得られることにはなるでしょう.

で,それ以外の英語力というと「発信力」とか「ちゃんと(深く)英語がわかっているか」という微妙な話になってきて,よくわからない学習者からみるとどこから手をつけていいのか,どこで方向性が合っているのか確認するのか,やる前から気持ちを削がれるような感じを与えることもあると思います.

さらに,学習者も指導者も完全な初心者ではないとき「これぐらいはできるだろう」という過去の学習体験(による遺産からくる)期待(expectations)もほとんどの場合は負に影響します.ほんとうはまっさらな状態(tabula rasa)ぐらいのほうがよいのですが,なかなかそういう気持ちにはなれないのが大人です.

個人的には,間違っていようと好きなことをやっていればよいと思います.まあ,時間がとれるならばそれと並行してやってくれてもと思うのが『Words for Productionアウトプットのための英語語彙ワークブック』です.大学の出版部門から出された地味な本(本当はムック本にして値段を抑えたかったのですが,そこまでしてくれる出版社を見つけられなかったのでこうなりました.ちょっと高いと思われるかもしれませんがそれは我慢してください)ですが,いわゆる知識面での基本はほぼ全部ここに入っています.だから,オンライン英会話なり,自分にあったレヴェルのもののインプット(多読・多聴)するなり,なんでもよいと思うのですが,それと並行して自分のペースでこのワークブックを1冊こなしていけば,趣味の英語としてはそれで十分バランスがとれたものになっていると思います.

『ゼロから覚醒 はじめよう英作文』はこれ以上ないほどやさしく書いたライティングの本ですが,これをやるだけの基礎知識がないという人にも『Words for Productionアウトプットのための英語語彙ワークブック』はお勧めです.

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