なぜ中小企業にこそ採用サイトが必要なのかを解説します。
最適な採用活動に必要な「求職者の心理や行動の分析」から効果的なサイト制作方法まで徹底解説します。
「仕事はあるけど人がいない」
このような声が上がる現代の雇用市場では、中小企業にとって効果的な採用サイトなどの自社メディアの構築が不可欠になってきました。
少子高齢化、仕事に対する価値観の変化、働き方の多様性、地方の過疎化や賃金格差の問題が重なり、採用活動は一層困難になっています。加えて、外国人労働者の減少や日本人の海外流出も影響しています。
特に、従業員数300人未満の中小企業では、有効求人倍率が高い傾向にあります。
リクルートワークス研究所による第38回ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒)によると、23年卒の有効求人倍率は1.58倍でしたが、中小企業ではそれを大きく上回る5.31倍にも達しています。
人気の職種や条件の良い募集以外は、従来どおり求人広告に頼るだけでは、採用は困難になっていくでしょう。
はじめまして。
千葉県柏市にあります採用支援サードウィンの矢島と申します。
私は求人広告会社に約20年勤務し、3,000社・10,000人を超える採用に関わってきました。
その経験も活かし、採用コンサルやWebサイト・動画制作など中小企業の採用支援を行っております。
採用までの流れとして、求人広告を通じて求職者の関心を引きつけた後は、自社メディアを活用してさらにアピールする戦略が必要です。
このアプローチにより、求職者は自社メディアのコンテンツを通じて多角的な視点から企業を知り、応募や問い合わせ、見学など具体的な「行動」に移すことが期待できます。
つまり、
求人広告=求職者への接点
自社メディア=興味を持った求職者への接点
と考えて差し支えないと思います。
20年にわたる求人広告業界の経験から見ると、かつては新聞折込広告やフリーペーパーのような紙媒体が中小企業の求人広告の主流でした。
しかし、今日では求人サイトや求人検索エンジン、SNSが主役を担っています。
紙からネット、そしてSNSと媒体は変わっていますが、広告の本質は「広く情報を知らせること」であり、その形態が紙媒体であれ、ネット媒体であれ、SNSであれ、基本的に変わりはありません。
求人広告の内容を工夫することは基本ですが、それ以上に重要なのは、広告を見た人々が実際に応募し、最終的に採用へと繋げる企業側の努力です。
特に今の採用が難しい時代において、人気の職種や好条件の仕事以外では、求人広告会社に全てを任せるだけでは、採用成功への道は遠のくでしょう。
求人広告で興味を引くコツ
採用サイトの構築と並行して、求人広告を通じて応募数を増やすことも重要です。
なぜなら採用サイトを作ったとしても最初のうちは誰も見てくれないからです。広告を打つことで初めてサイトに人が訪れるようになります(他にも方法はありますが、わかりやすくするために端的にしています)
求人広告で求職者の興味を引くためには、給与や休日といった条件の良し悪しを明示することが基本です。さらに、以下のポイントに注意することで、効果的な広告を作成できます。
1. ターゲットを明確にする
求職者は特定の条件やエリアを基に情報を絞り込みます。
例えば、ドライバー職の求人なら、経験者か未経験者か、男性か女性かといったターゲットに合わせて、使用する写真や文章を変えることが重要です。
ターゲットに応じた内容にすることで、不要な情報を排除し、求職者にとっての魅力を高めます。
2. 情報はわかりやすく、丁寧に
求職者は御社のことを知らないため、基本情報も丁寧に説明する必要があります。
給与の表記方法なども、求職者にとって理解しやすい形で示すことが求められます。
A.月給20万円〜35万円以上
B.月給20万円〜35万円以上
試用期間3ヶ月は月給20万円
その後23万円+各種手当+残業代+交通費
※各種手当(皆勤手当・資格手当・家族手当・役職手当等)
※残業は月平均20時間程度あり(約4万円程度)
※交通費はガソリン代を規定により支給(例 片道10キロの通勤 約2万円支給)
(月収例)
⚫︎入社1年32歳 子供2人の場合
285,000円+交通費 (年収420万円)
⚫︎入社5年35歳 主任 子供2人の場合
323,000円+交通費 (年収500万円)
⚫︎入社10年40歳 課長 子供3人の場合
420,000円+交通費 (年収620万円)
AとBを比べたら、もちろんBの方が圧倒的にわかりやすくなりますし、求職者からしても安心感を持てます。
給与表記ひとつとっても、求職者が気にする点を考慮して、可能な限り伝える事で圧倒的に興味を引くことができます。
会社の魅力を見つけ出す
ターゲットを絞り、情報を明確にした後、次に考えるべきは「自社の魅力とは何か?」です。
一見デメリットのように思える点が、実はターゲット次第でメリットになることもあります。
たとえば、「残業なし」という条件、人によって受け取り方が異なります。
独身で実家住まいのターゲットには、この条件がメリットとして映る可能性が高いと想定できます。
一方で、30~40代の既婚者で子供がいる収入重視のターゲットには、逆にデメリットと捉えられることもあります。
過去に私が担当した金属加工工場の求人では、残業がかなりあり、それがネックになり応募数が伸び悩んでいました。
しかしこれを逆にメリットに変換して打ち出したところ、応募数が10倍以上に増加しました。
求職者にとって魅力的な点は様々です。この点を適切に把握し、求人広告でアピールすることで、応募数の増加はもちろん、ホームページや採用サイトへの関心も高まります。
求職者が求人広告を見るタイミング
「求人広告を出すベストなタイミングはいつか?」
よく頂く質問です。
年末年始は求人サイトへのアクセス数が減少を示めすなどのデータがありますが、同時に掲載される中小企業数も減るため、一概に悪い時期とは言えません。
重要なのは、時期のメリット・デメリットを把握することと求職者が求人広告を見るタイミングを理解することです。
1. 今の仕事や職場に不満を感じた時
仕事内容や給与、人間関係に不満を持ち始めた時が、他の仕事を探すタイミングです。
2. 辞めたいと思った時
さらに進んで退職を強く考える段階。ここではより真剣に転職先の探索が始まります。
3. 辞めると決意した時
辞める決意を固めた人は、積極的に転職活動を開始します。
4. 退職の意向を伝えた後
辞める意向を伝えた後は、さらに真剣に仕事探しをしますが、同時に引き止められたりして内定辞退も発生し得ます。
5. 退職した後
金銭的なプレッシャーが増すため、仕事探しに非常に真剣になり、面接や職場見学への申込みに積極的になります。
求職者の多くが、これらのタイミングで求人広告を見ることが分かります。
初期段階の求職者は「薄い見込み客」と言える一方で、退職後の求職者は「濃い見込み客」と言えます。
求職者の行動
中途採用希望の求職者が御社に応募するまでの一般的な行動パターンを論理的に解説します。
1. 求人検索エンジンや求人サイトを使う
多くの求職者はGoogleなどの検索エンジンを使用し、職種、エリア、条件を入力して求人を検索します。
または、求人検索エンジン(Indeedや求人ボックスなど)や求人サイトにアクセスし、条件をさらに絞って求人情報を探します。この段階でSEOの最適化や上位表示も重要になります。
2. 面接候補の会社を絞る
求職者は数百〜数千の中小企業の求人情報から、最終的に1〜5社程度に絞ります。この段階に残るためには、求人広告の情報を工夫・改善する必要があります。
3. ネットでリサーチする
中小企業は大企業ほど知名度がないため、求職者は興味を持った会社についてネットでリサーチを行います。
社名検索をして、ホームページや採用サイト、SNS、口コミなどを調べます。この段階でホームページがない、古い、または気になる点があると、求職者は他の会社へと移る可能性があります。
逆に、この段階で求職者の心をつかむことができれば、他の候補より優先して応募や問い合わせを行う可能性が高まります。
つまり、求人広告の工夫と採用サイトなど自社メディアの整備が応募に至るまでの重要な要素であることが分かります。
採用サイトのメリット
中小企業にとってホームページや採用サイトの重要性は非常に高いです。ここで、採用サイトを適切に整備するメリットを紹介します。
今一度、
求人広告=求職者への接点
自社メディア=興味を持った求職者への接点
ということを念頭においてお読み下さい。
1. 採用率の向上
求人広告に興味を持った求職者に対して、採用サイトでさらに強力にアピールすることで、採用率を高めることができます。
2. ミスマッチの防止
詳細な仕事内容や会社情報の提供により、「思っていた仕事と違う」といったミスマッチを防ぐことが可能です。
3. 動画コンテンツの利用
自社サイトである採用サイトなら制限なく動画を掲載できます。動画は写真やテキストに比べて情報量が圧倒的に多く、採用率の向上やミスマッチの防止に効果的です。
4. 自由度の高いカスタマイズ
求人内容の変更や職種追加、戦略変更など、サイトのカスタマイズが自由に行えます。WordPressなどの簡単な操作を覚えれば自社運用ができコストをかけず運用も可能です。
5. 発信力の強化
採用サイトやホームページは単なる情報提供手段に留まらず、SNS運用や記事更新を通じてサイトの評価を高め、発信力を強化できます。これにより、採用だけでなく集客にも寄与し、中小企業にとって貴重な資産になります。
採用サイトで発信すべき情報
中小企業が採用サイトを制作する際には、求職者に響く効果的なコンテンツを作成することが重要です。
求職者は通常、求人広告やハローワークなどで御社の求人情報を見た後に、御社のメディアを訪れます。したがって、同じ情報の繰り返しではなく、以下のようなコンテンツが効果的です。
1. より詳しい仕事内容の提示
仕事内容を文章だけでなく、写真や動画を交えて伝えることで、より具体的なイメージを持ってもらうことができます。例えば、「オンライン職場見学」や「オンライン仕事体験」などの動画コンテンツを作成するのが理想的です。
2. アピールポイントの再アピール
求職者が求人広告で見た内容や条件に興味を持って訪れるため、採用サイトで自社の魅力を再度、わかりやすくアピールすることが大切です。
3. 職場の雰囲気を伝える
職場の雰囲気は多くの求職者にとって重要な判断基準です。動画でのスタッフ同士のやり取りや日常の様子を見せることで、リアルな職場の雰囲気を伝えることができます。
これらのコンテンツにより、求職者に自社の魅力を視覚的にもアピールし、求職者の心を掴むことが可能です。
まとめ
中小企業にとって、人材採用は企業の成長と持続に欠かせない要素です。まずは自社の求人情報、特に求人広告の見直しから始めましょう。この一歩が、応募者の増加や採用率の向上に繋がることがあります。
次に、採用サイトの制作やホームページのリニューアルを検討し、興味を持った求職者に対してより強力にアピールするための自社メディアを構築しましょう。
今後、採用がより困難になることが予想される中小企業にとって、人材採用に対する意識と方法を大きく変えることが生き残りのためには不可欠です。
弊社サードウィンでは、求人広告の書き方・選び方からホームページ・採用サイト・動画制作、問い合わせシステムの構築などトータルで採用サポートをさせて頂いております。
この記事に書いた内容も含めて、応募数・採用率を上げる方法をまとめてみましたので、ぜひご参考ください。
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