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コンクリート診断士2024年度第2問解説

下図の鉄道高架橋の柱部材のコンクリート打継ぎ部において、断面を貫通するひび割れが発生した。 ひび割れがない場合と比較した際の、頂部水平力に対する構造物の剛性, 固有周期, 曲け耐力の大小または、長短の関係の組合せとして,次の( 1 ) 〜( 4 )のうち,適当なものはどれか。
なお、本構造物は柱が先行して曲げ破壊するように適切に配筋されているものとする。


ラーメン高架橋のひび割れと周期性に関する問題ですね。

剛性は、曲げ剛性とせん断剛性の2種類あります。
曲げ剛性:EI(E:縦ヤング係数、I:断面二次モーメント)
せん断剛性:K=GA /L(G:せん断弾性係数、A:断面積、L;部材長さ)
2つに共通して言えることは、曲げやせん断に対しての有効面積が大きいほど、剛性が高いということです。
※この記事が大変わかりやすいです(http://kentiku-kouzou.jp/struc-magegousei.html
今回の問題では、ひび割れが発生しているため、有効面積が減少しており、すなわち剛性が低下しているという整理になります。 

次に、剛性と周期性についてです。
建物の周期性に関する問題については、高校物理で習った
v=fλ=定数の波の方程式 vは速度、fは周波数、λは波長
角速度の公式 ω×T=2π ωは角速度、Tは周期
剛性と周期の関係式 f=1/T=1/2π√(k /m) k:剛性、m:質量
の3つを用います。
先ほどの話に戻しますと、曲げひび割れが発生すると剛性kが低下するため、周波数fも低下します。逆数である周期Tは大きくなります。(波としては、波長が長くなるイメージです)

最後に、曲げ耐力についてですが、コンクリート引張抵抗が非常に小さいため、鉄筋でもたせる設計思想になっています。ひび割れが発生しても、曲げに抵抗する鉄筋が耐力に関係することから、今回のひび割れと曲げ剛性には関係性がありません。

以上になります。何かご意見ございましたら、どしどしお申し付けいただければと思います。




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