カンム社_CS/オペチームの軌跡
カンムでCS(※)/ オペチームのリードをしてる平湯(ひらゆ)です。
※CS:Customer Success、Customer Support、Customer Satisfactionなどいろいろな言葉の略ですが、自分たちが目指すべき姿には全部含まれるので特別どれの略だ、とは決めてません。
今回は、カンムのCS/オペチームがどんな姿を目指し、何をしてきたのかについて紹介したいと思います。自分がカンムに本格的に関わり始めた18年10月からのお話。
はじめに
当社は全体で30名ほどの会社で、2016年から「バンドルカード」というプリペイドカードを発行している。バンドルカードはアプリで開設できる簡便さと後払いチャージの「ポチっとチャージ」を特徴とし、一般的なクレジットカードのお客様層よりも若い世代のお客様から支持をいただいている。
現在のCS/オペチームは4名。業務範囲は、問合せ対応・カード発行業務・メンテ業務・KYC(※)業務・サポートページ管理等、顧客対応全般を担っている。
※KYC:[Know Your Customer]顧客確認のための本人確認書類・手続きの総称のこと 。バンドルカードは一部のプラスチックカードで実施している。
18年10月 ~ 19年3月: カンム加入/チーム方針の設定 / CM準備
要約
- 100万DL突破
- カンムに加入する
- チーム方針が決定
- そして半年後に方針を見直す
正式に自分がチームに加わって最初にやったことは、メンバー皆で「ユーザーにとってどういう存在のチームになるか?」ということ。
当時はポチっとチャージのリリースや決済システム内製化等、会社単位のイベントに加え、CSチーム内でも問合せ外注化やCSメンバー増員を経て、やっと体制を整えられた時期だった。
(CSメンバー3名、うち元々リードしていた1名が自分と入れ替わりでマーケチームへ、残り2名は18年7月入社)
自分がプレゼンするかたちで、メンバーからあーだこーだ言ってもらう。
プレゼンで伝えたかったのは、ざっくり言うと、ルーティンや通常業務以外に「目指すべき姿を決めたうえでそこに向かっていく活動をしていきたい」ということ。
以下がチームmtgで話した内容の一部。(実際のスライド)
まず、体制が整えられた今だからこそ考えるべきだ、という話をした。
会社におけるCSチームの役割を大枠で整理した。
当たり前のことだが、『満足度向上 / プロセス管理 / コスト削減』が自分たちが求められていることだということを改めて共有したかった。
そして、ユーザー目線でチームがどういう状態であるべきかを以下のように立て、それに紐づくかたちでアクションプラン(AP)を作っていく方式をとった。
上記内容でコンセンサスをとり、微修正を経て方針を固めた。
決定した方針に沿ってAPを各メンバーに割り振り、チームとして新たなスタートを切った。週次のチーム定例で進捗管理もするようにした。
以降はAPを進めていくわけだが、進捗も悪くなく、何より皆がルーティンや通常業務以外の「チームが目指す姿に向けた動き」に、精力的に取り組んでいることが嬉しかった。
計測すべき指標を定期的に観測し、サポート体制を普段から意識することで、急な事態にも対応できるチームにレベルアップできたと思う。
例えば、委託先のCPH(※)の限界を決めて年内の人員計画を練ったり、カード発送にかかるコストを他社比較して価格交渉したり。この頃に皆がたくさんの業務がある中でも意識して取り組んでくれたおかげで、今は当たり前にできるようになった。
※CPH:[Call Per Hour]オペレーター1人が一時間あたり応答したコール数のこと。(たぶん業界用語。CSの仕事になって初めて聞いた。)
ただ、数ヶ月経過したくらいにふと「あれ、、AP進めてるけど数字が大きく変わってないな…」と感じた。以前はできてなかったTEL応答率やCPH等の数字を細かく管理するようになったのだが、改善は微々たるもの…。
数ヶ月かかって、これは完全にAPが多すぎて各施策が半端になっているせいだと気づいた。春頃にCMを予定しており、問合せ体制やKYC業務の調整が佳境を迎えていたこともあり、気づくのが遅くなってしまった。(これは言い訳、猛省。。)
そして、19年3月に「目標に近づけているかもっとわかりやすくしたい」という想いで、方針とAPの紐付け方の見直し・KPI自体の見直し・APのカット(優先順位付け)を行って、新たな年度を迎えた。
(実際のスライド一部)
19年4月 ~ 9月: チーム構成・APの再設定 / CM放映 / メンバー追加
要約
- 150万DL突破
- 5月にCM放映が開始
- TEL応答率が大幅に改善される
- 業務プロセスの改善(KYC外注)
- サポート体制強化が課題に
- 9月に新メンバー加入
5月にCM放映が開始された。
万全な準備もあって特に問題は起きなかった。さらに、CM放映に向けた体制準備の過程で数値管理や体制管理を強化したおかげで、TEL応答率が大幅に改善した。
具体的には、CPHから時間がかかっている問い合わせを特定し、後続プロセス自体を見直す等、オペレーターの応対品質だけでなくプロセス自体の見直しを図った。
これは、19年3月の方針見直しから、各メンバーに明確な役割分担をしていて、コールセンター委託先管理を1メンバーに役割として割り当てたことも大きいと思う。彼は責任意識を持ってとても精力的に管理をしてくれた。
役割分担をすることで、「この問、誰が拾う?」みたいなことが激減したので、3人しかいないチームでも役割を明確化することはすごい大事だと感じた。同時に、職人化しないために情報共有は常に意識した。
また、キックオフmtgのときから、CSチーム内では「業務自体を減らすこと」が重要であると強く認識されている。「自分たちの仕事がなくなるくらいがいいよね」と会話によく出る。
「問い合わせゼロ」を目指すのはまさにそういう話だし、ユーザーの希望に答えるための後続プロセスは可能な限り短縮したいという気持ちが強い。
CM放映に連動したキャンペーンに合わせてKYC業務体制を強化したが、採用や教育、用度の準備等にかなりの工数を費やした。その反省を踏まえて、KYC業務を外注化した。結果、人的管理も任せられるし、コストも抑えられた。
当初は初歩的なミスが頻発して大変だったが、ここも役割としてKYC委託先管理を担ったメンバーが改善に走り回ってくれた。
一方で、この期間ではサポート体制として出来て当然なことがしっかりできていなかった。例えば、障害/メンテナンス検知からユーザー通知までが遅いことや、苦情の沈静化に時間がかかる、事務ミスが散見される、などである。
これらは、きちんとルール化されていないために起こっていた。ルールさえ決めればよいのだがなかなか時間が取れず、本来最もやるべきであるサポート体制が疎かになっていた。
上記の状況に加えて、反社/AML(※)/個人情報等のリスク対策の整備が急がれたことと、新規事業の準備が本格的に進んで自分のリソースが不足してきたこともあり、新たなメンバーを募集することにした。
そして8月に新たなメンバーを迎え、計4名でCS/オペチームを運営していくことになる。
※AML:[Anti Money Laundering]反社会的勢力やテロ組織、犯罪者集団などによるマネーロンダリングや詐欺を防ぐための一連の対策のこと。
9月に入り、本来のサポート業務を強化するべく、改めて方針/APの優先順位を見直した。具体的には、スライドで何度か記載されている「当たり前のことをちゃんとやる」の部分を最優先に進める方針とした。
ここはユーザーが直接的にサービス(サポート)に対して感情を持つところなので、早急に業務の標準化・仕組み化を進めた。
19年10月 ~ 12月: サポート体制の強化
要約
- 約200万DLへ
- サポート体制を強化(リスク管理周り)
- 顧客の声活用を手探りでやり続ける
- 業務プロセス改善と結果指標設定が課題
- OKR導入へ
おかげさまでバンドルカードのダウンロード数が190万DLに達した。(20年1月に200万DL突破)
前述の通り、19年10月からはサポート体制の強化に力を入れた。
決済業界のリスク管理に詳しい方をCS専属の顧問として迎え、第一線としてのリスク低減措置体制を強化した。
サポート体制のなかで特に課題としていたのは、苦情の管理(検知 ~ 再発防止)と障害/メンテ通知。
苦情管理については、既に社内に方針・規程・マニュアルは存在していたが、自分からすれば現場で十二分に機能している状態とは言えなかった。
マニュアルを更に噛み砕いて、チーム内で即検知→鎮火→要因分析→再発防止策立案→実行のサイクルを徹底させる必要があった。
ここは新しく加入したメンバーが尽力してくれて、CS専属顧問のアドバイスを受けながら整備してくれた。
すんなり決まったわけではなくて、苦情の定義付けや、即検知→鎮火の動きを委託先も巻き込んで整備するのはかなり大変だった。
このあたりは基本言い続けるしかないと思うが、苦情の定義を明確においたことで報告/相談の必要可否がすぐ判断できるようになったことは大きい。
顧客の声(=VOC [voice of customer])活用も手探りだが継続して進めていた。
VOCはシステム開発がボトルネックになりがちだが、当社は開発案件の進捗が公表されていて、提案があれば直ぐ管理者と調整できる環境が整っている。優先順位についても週次の定例会で確認している。
CSチームからも問い合わせの多かった内容について、改善提案を挙げる方針にし、毎週チーム内で確認会を開いていた。
また、苦情の定義付けを契機として、明確に苦情と判断しなかった「広義の苦情」も貴重なVOCとして改善に取り組んだ。
ちなみに、業務プロセス改善も継続的に行っていて、エンジニアリソースを使わず、足元の業務効率化ができるようGASの腕を磨いたりした。社内に「スパルタンGAS」と呼ばれる勉強会があり、カンム社のエンジニアが優しく教えてくれる。その成果の一部が書かれてるこちらも宜しければ。
1月年明けに、10~12月を振り返り自分たちの行動が数値においてどう貢献されたかを認識する機会を設けた。
結果として、サポート体制強化やリスク周りの強化ができたが、一方で数値的なひも付きがやはり見づらい状態が続いていた。
また、依然としてルーティン業務が社員の役割として残っていたので、いまいち目指すべき姿への活動に集中しきれていない現状も見えてきた。
あと、この頃に、会社全体の目標に対してチームの役割がはっきりしていないもやもやが顕著に現れ始めた。10月に全社OKRが出たこともあり(※)、20年1月からはCS/オペチームもOKRを設定して取り組むのであった。(続く)
※カンムの役員は各自OKRを設定して動いていて全社に公開されている
まとめ
今回は18年10月 ~ 19年12月(15ヶ月間)のCS/オペチームにおける軌跡の話。
方針を何度か修正しつつも、当然果たすべきサポート体制やリスク管理についてはチームとしてかなり強化できた。また、役割分担はあれど、チーム内が同じ方向を見て役割を果たすチームになれたと思う。
一方で、目指すべき姿に向けた指標の持ち方がうまく連動してない状況が続いていた。振り返ったときに上手く成果を図れないのは、チーム運営するうえでかなり致命的なことである。
また、目指すべき姿に向けた活動にリソースを振り切れていない現状が明らかになっていた。
(20年1月以降は主にこれらの課題に立ち向かうことになる。)
おわりに
今回書いたこと以外にもたくさん試行錯誤をしてるのですが、かなり長くなってしまうので抜粋して書きました。何かの機会に少しづつでも紹介できればと思います。
既に長尺なので、20年1月以降の話はまた改めて書かせてください。
OKRの設定をしてみてどうだったか、そしてその振り返りをどう次に活かしたかなどを中心に書きたいと思います。
いま社会的に混乱が広がっている状況ですが、成長を止めずにチームとしてグイグイ強くなっていきます。
この話が1ミリでも誰かの参考になれば嬉しいし、興味をもってくれて一緒にCS話する仲間ができたらなお嬉しいです。
最後に、カンム社では一緒に働く仲間を募集しています。
ご興味ある方はぜひ一度カジュアルにでもお話しする機会をいただけませんか。よろしくお願いします。