顧客の断り文句を鵜呑みにしてないか?


自分用のメモとして法人営業について言葉に残せればと思い書いてみました。人材育成施策を提供しているためその前提で書いていますが、お暇な方は読んでみてください。

本日のテーマ:必然性を取りに行く

営業を続けていれば失注というのはつきものですが、市場に対して価格やサービスが適切であれば、イチローの生涯打率(3割2分2厘)位の受注率にはなると言われています。https://nipponbaseball.web.fc2.com/personal/batter/ichiro.html
イチローの生涯打率すげーな、と思わず見入ってしまいますが、イチローが打ち取られる確率と同じくらい、我々営業マンも案件の7割位は失注(凡打)なわけです。シビレルぜ。。

凡打のままではいけないのでここで営業が取り組むのが失注分析ですが、
「ちょっと予算が...」(価格要因)
「導入イメージが...」(サービス要因)
「時期的に今じゃ...」(タイミング要因)
という報告を聞くことは少なくないと思います。
これを聞いてのアクションは概ね、
・値引き
・カスタマイズ
・時期をずらしての追いかけ
となりがちです。しかし私はここに落とし穴があると思っています。
これらは多くの場合断り文句として言われているだけで、真因は別のところにあると考えます。それが「顧客にとっての必然性」を取りに行けていないというケースです。

課題を抱えていない事業者などいないわけですが、”どの課題を認識しているか”は担当者、決裁者、ステークホルダーと千差万別です。そのため、こちらの提供できるサービスが顧客にとって“今”必要であるということや、“今後も継続的に”必要になるということを、強く印象付けなければ営業は受注に至りません。
顧客が既に必然性を認識している場合はいいですが、そういったケースは非常にまれです。多くの場合、必然性を自分から作りに行く必要があります。これにはそれなりのスキルが必要ではないでしょうか。

■コンペリングイベント

この必然性というのが何を指しているかというと、“顧客が自社のサービスを「今」導入する理由”を指しています。
私は知らなかったのですが、これについては専門用語として「コンペリングイベント」という言葉があるようで、いつも参考にしているDJ141さんのnoteに詳述がありました。(めちゃくちゃ勉強になります)

いわゆる差し迫った状況というものです。
これを握ることは法人営業において最も重要なポイントだと思っています。
ここが取れていないと、前述のような断り文句でいとも簡単に失注します。つらい。。

顧客はなかなか本音を語ってくれないですし、当たり前ですが失注の理由をいちいちちゃんとは教えてくれません。また仮に必然性を取らずにプロセスが進んだとしても、後で下記のようなトラブルも発生しかねません。

■受注前
・先方社内が通らず、打ち合わせやすり合わせの工数が増える
⇒担当者レベルだけでなく部内、決裁者のニーズやメリットの違いを取りに行けていないことで、「〇〇が懸念なんだよなー」とちゃぶ台返しにあう(これけっこうキツイ)
■受注後
・後行程(CSや設計)を困らせる
⇒短期的なニーズは満たせたとしても、事業理解が甘いことで中長期に関わる後工程の部署が困る
・途中解約
⇒失注よりキツイ。一度受注した後の解約はまず戻ってこないと思うべし。


これでは誰もハッピーにならないのです。ハッピーになりたい。
そのため、このコンペリングイベントを確実に取りに行く(担当者・決裁者と認識を揃える)ことが法人営業の肝になるかなと思っています。

■そうは言ってもなかなか難しい

よく言われることですが、前述のとおり担当者や決裁者が課題を認識しているとは限りません。ヒアリングの中で「気づいてもらうこと」と「認識の優先順位を上げてもらうこと」が重要です。
コツとしてはAs is To be Gapのフレームワークを上手く質問に織り交ぜながら、営業側でコントロールできるといいと思っています。
必然性というのをもう少し要素分解すると、

1.事業上の必然性
組織として現状どこに課題があるのか、なぜその課題を改善しなければならないのか、改善されたあるべき姿をどう描いているか、いつまでに課題をクリアする必要があるか

2.事業部の必然性
その組織のあるべきを実現するために事業部のあるべきはどう描くか、現状はどうか、あるべきとのギャップに何があるか、マイルストーンをどう打つか、いつまでにやる必要があるのか

3.サービス(施策)の必然性
その課題に対して施策はどうあるべきか、課題を改善できるとどうなるか、いつまでに課題を改善する必要があるか

というレイヤーで分けられると思います。
中計などで売上目標やいつまでに〇〇をするといったことが書いてあれば非常に分かりやすいですが、そうでないケースではヒアリングでじっくり聞いて紐づけていくしかないでしょう。
エンタープライズ向けではこれくらい大上段からブレイクダウンしていくと、顧客内でのずれも起きにくく、提案は格段に受け入れられやすくなると思っています。
一度の商談で全ての情報を取り切れないケースもありますが、ここを取らずにいると「なぜ自社サービスが今顧客にとって必要なのか」という最も大切なポイントが訴求できません。
エンタープライズ向け営業では顧客内の上申プロセスとして、
担当者→上長(部内)→役員→稟議という工程があることは押さえておかなければなりません。そのためマネジメント層の課題認識からブレイクダウンして現場の改善(サービス導入)をするというプロセスを提案書のストーリーにできると受け入れられやすいのではないでしょうか。

SMBや個人事業主向けだと、代表商談であることや、ステークホルダーが複雑でないこともあるため、ヒアリングの設計はもう少し簡易になるかもしれません。ただし、大枠はこのようにヒアリングが進めるという意味ではどちらも変わらないと思います。

ただしいきなり「課題はなんですか?」と聞いても出てこないため、事前準備としての仮説構築は別で必要になります。その辺りはまた別の機会に。

少しでも参考になったという方がいれば嬉しいです。

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