128人のみなさんへありがとうございます〜TOI 2020年の活動報告〜
こんにちは。問いと対話のプログラムThink Out!を主催するTOIのタガイと申します。2019年4月に活動を開始したTOIもお陰さまで2020年の活動を終えることができました。毎月1回のThink Out!を中心に、各活動を続けてこれたのも参加者はじめTOIに関わってくださったみなさんのお陰だと思っています。これまでTOIと出会ったみなさんに、この1年の活動報告と合わせて、お礼をお伝えできればと思い、本noteをお届けします。
オンラインを中心にした問いと対話を広げる活動
TOIにとって2020年最大の変化は、活動領域のオンラインへの移行でした。2月下旬、まだ今ほど新型コロナウイルス感染症の拡大がしていなかったころ、翌日に迫ったオフライン開催のThink Out!を感染拡大状況をみて急遽延期したのは、今でも覚えています。
この時は、「神経質になりすぎか」と思ったりもしましたが、今振り返ると正しい判断だったと思います。
日本全国から集まった51人の参加者
その後、毎月のThink Out!はオンライン開催へ移行し、その結果として参加者は日本全国に広がりました。今では、毎回半分以上の方が関東以外から参加されており、アンケートでも「地方から参加しやすい」という理由でオンラインでの開催を希望される方がほとんどです。オンラインだからこそ生まれる出会いの可能性を見つけることができました。
今年Think Out!に参加された方は51名。日本全国、大学生から定年退職後の方まで、幅広い年齢層の方に参加いただきました。昨年の活動開始から合わせて、これまでTOIに関わっていただいた方は128名まで増えました。
3人の仲間との出会い
また、今年はTOIの運営メンバーにも新たに3人が加わりました。これまで吉祥寺で開催していたThink Out!の参加者としてTOIに関わってくれていた方もいれば、オンラインで出会い、まだ実際にお会いしていない方もいます。
それぞれが個性的なバックグラウンドを持っており、その経験を活かしてTOIの活動に新たな一面をもたらしてくれました。
タニナカさんには、アカデミックな哲学の知見で毎回のテーマ決定の議論に深みを加えてもらうと共に、編集スキルを活かしてTOIマガジン第3号を形にしてもらいました。また、ほぼ毎回Think Out!に参加いただき、その度にファシリテーションの改善について議論ができたことで、Think Out!の場そのものがどんどん良くなっていると実感しています。
ナカダさんには、その「問いのセンス」によって毎回のチームMTGで新たな気づきを与えてもらっています。個人的にはなぜあんなに筋の良い問いが立てられるのか気になっており、2021年はナカダさんがどうやって問いを生うんでいるのか、そのメカニズムを明らかにしたいと目論んでいます。
みばさんには、それまでご自身や他のイベントでファシリテーターをされていた経験から、「TOIらしさ」がどんなところにあるか、気づきを与えてもらいました。レポートに書かれていた「ファシリテーターが黙っていても対話が進む」というのは、確かにTOIらしさのひとつだと、誇らしく感じています。
メンバーのみなさんとは毎回のThink Out!とは別に、毎月チームMTGで話をしているのですが、次回のテーマを何にするかといった議論や、最近気になっていることについての意見の交換など、対話的に話をすることができるその時間が、自分にとっては非常に楽しみなものになっています。
この場で、お礼をお伝えします。
問いと対話を深掘りするTOIマガジンの創刊
TOIでは、毎月の問いと対話のプログラムThink Out!の他にも、問いと対話の可能性を世の中に広げる活動をしています。そのひとつが、TOIマガジン。今年は全部で3号を発刊することができました。
年始にリリースした創刊号では「『問いの時代』がやってくる」と提言しましたが、この公開から約2ヶ月後にはコロナによる社会混乱が加速し、これまでの正解が正解でなくなる世の中で、問いの重要性が益々高まったように思えます。
5月には、我々がTOIを発足するきっかけにもなった哲学カフェ「ソクラテス・サンバ・カフェ」を主宰する哲学者の五十嵐沙千子さんのインタビューを中心にした第2号をリリースしました。オンラインでの活動が中心になる中で、実際に集い話すことでしか得ることのできない「現場の力」を考えることができました。
9月に公開した第3号では、『対話型授業のつくり方』の著者である大木浩士さんに「主体性」についてお話を伺いました。主体性が生きる実感をもたらすと共に、その主体性を引き出す上で対話が重要な役割を果たしていることに気づくことができました。
問いのトレーニング
そのほか、問いと対話の可能性を探求する試みとして、いくつか実験的な取り組みにも挑戦しました。そのひとつが問いを出し続けるトレーニング『TOIトレ』。
問いを出す力について、多くの方が普段意識することはないと思いますが、このイベントでは参加者によって出てくる問いの数が様々で、(あくまで勝数を出すという意味で)問いを出す力の違いを感じることができました。
メンバーからみなさんへのメッセージ
最後に、メンバーのタニナカさんとナカダさん、そして私タガイからそれぞれ、メッセージをお届けします。
「答え」のない問いに出会わせてくださった皆さんに感謝です!(タニナカ)
「恋愛対象は、異性でなければならない」
「大人になればずっと働き続けなければならない」
「良い大学に行かなければ良い人生は歩めない」
こんなステレオタイプの価値観が世の中には蔓延している。
しかし、このような誰かから、何かから影響を受けた価値観は自分にとって「真実」なのだろうか?
上記のような思いがある中、出会ったのが哲学対話「Think Out!」でした。
「なぜ働かなきゃいけないの?」「なぜ同性を愛してはいけないの?」「学歴がそんなに大事か?」と疑問に思っているのは自分だけではないのだと、私にとって安心感と価値観の広がりを得る場所。
自分の問いを相手に伝わるように伝えるから考えが整理され、自分以外の視点から疑問をもらえるから凝り固まった価値観から脱出できる。こんなご時世だからこそ、「Think Out!」で毎月色々な人と話せる機会は本当に貴重だと感じます。
これからもたくさんの方と、色々な価値観に出会いながら、人生を楽しめたら嬉しいです。来年もどうぞ宜しくお願いいたします!
オフラインの一体感を求めた試行錯誤(ナカダ)
こんにちは、TOI運営メンバーのナカダです。
振り返ってみて私と「TOI」との出会いは吉祥寺にある、「バツヨンビル」で開催された12名ほどの対話型の哲学会でした。
当時はオンライン、オフラインといった言葉を耳にする事があまりない頃でしたのでそれぞれの方が持ち寄った「問い」に対して直接表情を見て取り巻く空気を感じて対話をすることが出来ていました。現状を踏まえると贅沢で貴重な経験だったと改めて感じているところです。
そんな中、参加者としての立場から運営メンバーとなりました。
また、吉祥寺開催からオンラインへと変わり、だからこそできる事、オフラインで感じる一体感をどのようにしたら参加された方が体感できるのかなど試行錯誤をしています。まだまだ「これだ!」という答えにたどり着いてはいませんが今後もわくわくするような企画を提供したいと思っております。
そして、「TOI」の哲学対話にすでに参加をして下さっている方、初めての参加を考えてくださっている方、ピンときたがあるテーマがありましたら「Think Out!」でより考えを深めてみませんか。
皆様と対話できる日をメンバー一同楽しみにしております。
「ひとり×128」へありがとうございます(タガイ)
7月に開催した12回目のThink Out!(オンライン)で、終了後にある方からこんなことを言われました。
「タガイさんのnote読みましたよ。なんでこの人哲学をやってるわけじゃないのに哲学対話やってるんだろうと思って。」
そのnoteは2019年7月、わたしが友人のマツイシ、きのしと一緒にThink Out!をはじめたときに書いたものでした。
これは当時、哲学対話をはじめるにあたって何も実績のないわたしたちが「なぜ哲学対話をやるのか」という考えを伝えることで、はじめて参加いただくみなさんの不安が少しでも払拭されればとの考えで書いたものでした。
友人を集めたトライアルで手応えを感じながらも第1回の開催を前に「本当に参加者が集まるんだろうか」と少し心配しながら書いたのを覚えています。
このnoteを書いたその日、緊張しながら臨んだ第1回には9名の方にご参加いただきました。
参加いただいた方からは、こんな感想をいただきました。
「普段考えもしないようなことをいろんな方と考えることができて、自分の考えが広がった」
「いろんな人とコミュニケーションをすることの豊かさ、広がりがあった」
「思考の幅が広がる感じがする」
「全く異なる視点を知ることができる」
「自分の考えに執着しないことを知れた」
「自分ひとりでは思いつかなかった新たな気付きが得られた」
これはまさに私自身が参加者として哲学対話に参加していた時に「これは面白い!」と感じていた感想で、自分の体験をもっと多くの人に広げたいと思いやってみたことが参加者に伝わった気がしてとても嬉しかったです。
当初抱いていた不安は自信に変わり、それ以降、毎月開催するたびにその自信は確信、そして喜びへ変わっていきました。
TOIに関わってくださったみなさんおひとりおひとりの参加、問い、対話、そしてその対話の背後にある人生が、TOIの活動、そして私自身の希望になっていることを、ここに強くお伝えします。
売上やSNSのフォロワー数など、数が強者となるこの時代に、決して数で測ることができない、みなさんとの出会い、そして問いと対話の場を持つ意味を感じられることは、本当にありがたいことです。
本noteのタイトルに書いた「128人」という数は、この想いと矛盾すると思われるかもしれませんが、ここにはTOIからみなさんおひとりおひとりへの、128通りの感謝の形があります。少しでも、この感謝がみなさんへ伝われば幸いです。
これからも、みなさんが安心して参加できる問いと対話の場を目指して、TOIは活動を続けて参ります。2021年も、よろしくお願いいたします。