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悪筆…

毎日同じ服を着る

生産性を語るとき、よく引用される逸話に、スティーブ・ジョブス、マーク・ザッカーバーグ、バラク・オバマ各氏が、毎日同じ服を着ていた、いうのがある。
一日いくつもの決断をする必要があるのだから、毎日の洋服選びごときに余計なエネルギーを使いたくない、と言う主旨。もっともだと思う。と言って、彼らにじぶんをなぞらえるほど傲慢ではないが。

余計なことに使うエネルギーをセーブしたいなら

だとすると、我々はもっと、能動的に効率を上げられるだろう。

  • レストランに行った時は、好き嫌いや値段は考えずに、必ず一番上から3番目の定食を注文する

  • 合コンの後は、相性とか好みなどどうでもいいので、左から2番目の子に告白する

  • 中途採用面接は、本人のやる気や資質はさておき、最後から2番目の人を合格にする

  • 部下からの相談には、奇数の日は、全部Yesと答えて、偶数の日は、全部Noと答える

とまあ、いくらでもアイデアは出てくる訳で、こういった目からウロコのいいアイデアを、さっさと取り入れないから、日本の生産性が低くなってしまう。そう、アイデアが上がった際に、「これを本当に採用すべきだろうか?」などと余計な考えを起こすのがいけない訳だ。
それか、上記と同じで、奇数日に起案されたものに対しては会議など待たずにYes、偶数日に提案されたものはNo、と決めるか。
どんなに大切だと思われることでも、まあ、実際どっちでもいいようなことばかりだし、選んでみて、初めて分かってくるもの。

無意識のうちの生産性改善

とまあ、国家レベルでの生産性の話を始めると、ややこしくなるので、個人レベルの話に戻すと、実は、無意識のうちに、ちゃんとやってる、とみんな自信を持っても良いと思う。

かく言う私も、幼少時から貫いている習慣があって、何を隠そう、字が汚い。習字なんてものに至る以前に、ノートに取る文字が、まず読めない。
友人から、ノート貸してくれ、と言われることがよくあったが、一様に「ごめん、返すわ。何書いてるか、全然読めんかった。」と丁寧に返却される。
中には、真面目に「すまぬ、お前、何語でノート取ってるの?」と聞くものも…

しかし、当時の私に言わせれば、「ノート、あるいはメモとは、人の話を聞いてこれはいいなと思ったこと、ふと思いついたアイデア、友人の顔を見た瞬間なぜか思い出した今日スーパーで買って帰ろうと思っていた野菜の名前などなどを、自分が後で思い出すために取るもの」であって、所詮、後で自分で読めれば良いのだ。

罫線の間に揃えようと気を遣ったり、馬鹿に思われないように漢字で書こうとしたり、文字と文字が重ならないように気を配ったり、など、そんなことにエネルギーを費やすなど、愚の骨頂。それ以前に、そんなことなどしてたら、せっかくの話も、アイデアも、思い出しかけた野菜の名前も、すぐにどっか行ってしまう

と言うわけで、自分にしか読めない字でいいので、とにかく速記、殴り書き。なんなら、ここ、てっところは、ぐりぐり丸やら四角やらつけておけばいいのだ。

字を綺麗に整える努力を捨てることで、自分の頭で考える時間を最大化する。

ただ、私が失敗したのは、あまりにも悪筆に開き直り、改善の努力を怠ったため、学生時代のテストの答案用紙にも、悪筆で解答せざるを得ず、畢竟、教師も「何が書いてあるのか分からん… 不合格…」、合掌…

最低限、人が読める程度の文字は書けるに越したことはない…

捨てていくこと

とは言え、人は、自分にとって大事なことに時間とエネルギーを割くために、自分にとってプライオリティの低い事項は、意識的無意識的に断捨離していく。
捨てていくことの重要性が問われるのもそのためだ。

生きていくためには捨てていくことも必要。それを学んだ時、我々は、同時に、「だから自分も捨てていかれることもある」と悟る。
ちょっと胸の奥に痛みを感じつつ、そうやって少しずつ人生を味わっていくのか。

人間万事塞翁が馬

いや、そこはわざと、一足飛びしてしまったが、何かを捨てていくこと、大切なものを遠い過去の駅のベンチに置き忘れていくこと、単調で面白みに書けることに開き直ってみせること、キラキラと輝いて見えるものから遠く隔たってみること、美しい・良いと思われるものからちょっと道をそれてみること、暗闇の中でそっと耳を澄まして見ること、そんな、一見すると、Negativeに思われるような行為たちにこそ、Inovationへのヒントがあり、それが新たな人生を切り開く鍵になることがある。

「人間万事塞翁が馬」とはよく言ったもの。視点をどこに置くか、によっても、世界は違って見える。

冒頭のバラク・オバマ氏の逸話について紹介している記事にも、"Boring is productive"とのタイトルが付されている。

悪筆、退屈、暗がり。自分にとって、本当に大事なものを探りつつ、大いに開き直ろうではないか…
そんな、Oppositeな気分の今日この頃。

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