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ヤモリくんは、雨男?

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最近、雨がつづくので、子どもたちは外で遊べずにいました。


だれかが言いました。


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「きっとヤモリくんがてん校してきたからだよ!ヤモリくんが来てから雨の日ばかりだもん!」


他のみんなも、なんとなくうなずきあいました。


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それをドアの外で聞いてしまったヤモリは、きょうしつに入ることができずにいました。そこへカエルがやって来ました。

「ヤモリくん、どうしたの?早くきょうしつに入ろうよ」

ヤモリはうつむいて言いました。

「うん…。でも、ちょっと入りづらいなあ。ぼくがてん校してきたせいで、雨がつづいているってみんなが話しているんだ」

カエルは言いました。


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「ヤモリくんはかんけいないよ!ぐうぜんさ。さあ、きょうしつに入ろう。ぼくがみんなに話してあげよう」


二人はきょうしつに入りました。


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カエルの話を聞いて、子どもたちはヤモリにあやまりに行きました。


「ごめんね、雨をヤモリくんのせいにして。ぼくたちは最近外であそべなくてうっぷんがたまっていたんだ。だれかのせいにすることで気を晴らそうとしてしまっていたんだ。ほんとうにごめんね」


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ヤモリは笑って言いました。

「だいじょうぶだよ。雨だけど、きょうしつでできる楽しいあそびを知っているから、休み時間はそれであそぼう!」

和やかなきょうしつの外で、雨がシトシトと見守るように降り続けました。



解説
物事が同時に起こっているとき、一方がもう一方の原因であると推定してしまうことを、「虚偽の原因の誤謬」といいます。この物語では、ヤモリが転校してきたタイミングと、梅雨のはじめのタイミングが重なったため、クラスメイトたちは梅雨がヤモリのせいで引き起こされているとしています。もちろんこれは偶然です。二つの事象の因果関係を推定するときは、きちんとした論理のもとで検証するようにしましょう。

参考:”false cause"



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