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DXの前に、UXの話をしよう。

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DXは、Digital Transformation のことです。したがって、ここでの「X」は「trans」もしくは「transform」を意味しています。
一方、UXは、User eXperience です。 
なので、DXとUXでは、Xの意味が違うんやから並列に並べてうまいこと言った感醸し出してるじゃねぇよ、というツッコミがあるかもしれないんですが、そんな些細なことは置いておいて、とにもかくにも、DXの前にUXやろがいっ! って話なんですよ。いやほんとに。

DXは「デジタルへの転換」

もう、別に皆さんご存知でしょうし、わかんなかったらしれっとググればいいんですけど、念のためにザックリ書いておくと、DXとは、デジタルへの転換です。アナログ(オフライン)でやってたことをデジタル(オンライン)に切り替える、というのもそうですし、アナログ(だいたいこんな感じ?)でやっていたことをデジタル(データに基づいてルールベースで判断)に切り替える、というのもそうです。

UXは「顧客経験」

続いて、UX。ご存知通り、顧客経験、顧客体験です。ユーザーなりクライアントなりコンシューマーなりが、その商品、サービスを使った際に「お、いいね」「なるほどね」「ふぅっふー」「へぃへぃへーぃ」みたいになることです。

僕は、昔から、利用シーンという表現をよく使いますが、ユーザー(クライアント、コンシューマー)が、どういう目的で、どういう状況で、どういう使い方をするのかということを考えると「何が嬉しいの?」「どういう風に感じるの?」「競合商品・サービスと比べて、何が違っているの?」がクリアになるんですよね。それが、まさにUXです。

DXは目的じゃない

で、大事なことなんですが、DXは目的じゃありません。手段です。

例えば「包丁を買うことを推進しよう」っておかしいでしょ?せめて、もう一段目的側に進んで「自炊しよう」ならわかりますし、もっと進んで「栄養バランスのとれた食事をしよう」とか、さらに先の「健康になろう」とかならしっくりきます。

推進すべきは目的なんですよね。そして、目的を定めると、手段は色々ありますし、それがベストか?という議論ができます。(そうすると「健康になるために包丁を買うって、ちょっと手段と目的が離れてない?」ってなりますよね。それ、正しい感覚です。)

だから、「DX推進」っていう旗印をみると、「ん?」ってなるんですよね。

RPAとBPRも同じ

似たような話としては、RPAとBPRもあります。

RPA=Robotic Process Automation。ソフトウェアロボット(まぁ、別に物理的なロボットが居てもいいんですけど)によって、業務プロセスを自動化しよう。というお話ですね。

いや、ちょっと待て、と。自動化する前に、その業務のあり方をちゃんと考えなさいよ。あなた、自動化が目的になってませんか?それ、手段ですよ。包丁です。何でもかんでも包丁で解決しようとしてません?色恋沙汰に包丁持ち込んじゃうと、たどり着くのは、断崖絶壁で刑事さんに推理を披露されちゃうバッドエンドですよ。

RPAするまえに、BPR(Business Process Re-engineering)です。業務プロセスの再構築、つまり、無駄な業務をやめちゃう、複数回やってることを1回にする、いろんな場所でやってることを集約する、そういうことを先にやらずに「非効率なままで、とりあえずロボットにやらせとけ」ってのは乱暴です。ロボットに人権を、って話になり、ロビタが大挙して溶鉱炉に突入する集団自決エンドまっしぐらですよ。

同じ匂いを感じるのよね・・・

ということで、UXの話をしないでDXだと騒ぐ人たちは、BPRの話をしないでRPAの話をする人たちと同じ人種だと思ってます。本来あるべきものを見定めず、とりあえず、新しいキーワードに飛びついてる感が凄い。そういう意味ではPDCAじゃなくて、OODAだ!って叫ぶ人も本質的には同じなんじゃっておっと誰か来たようだこんな時間に誰だろう

そんなわけで、ちゃんとUXの話をしようよ、って思うんです。

顧客は何を望むのか

もう、当たり前すぎてこんなこと書くのも気恥ずかしいんですけど、顧客が望んでいるものを提供し、その対価を頂くのがあらゆる仕事の基本構造じゃないですか。

皆さんよくご存じの、この図を思い出してください。

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DXの話をする前に、右下の「顧客が本当に必要だった物」をちゃんと理解しましょう。当たり前ですが、事後ではなく事前に。(なので、正しい表現は「顧客が本当に必要モノ」であるべきです)

どういう便益を得たいのか?どういう風な使い方を想定しているのか。それがあると、何が嬉しいのか?

この話をすっ飛ばしてDX!DX!!と絶叫する人は、口にシルバーのスプレーをぶっかけてるんだなって感じですよ。(参考資料

ドリルが欲しい、という人は、ドリルを使って穴をあけたいんです。
ハサミが欲しい、という人は、梱包を開けて中身を取り出したいんです。
当選したい、という人は、世の中をより良くしたいんです(多分)。

そんな中で、ドリル!ドリル! とか ハサミ!ハサミ! とか 議員の椅子!議員の椅子! とか言ってる人は信用できないじゃないですか。

顧客の求めるものを突き詰めていくと、DXなんて必要ないかもしれないんですよ。それを、無理やりDXしちゃってもうまくいきません。

ハサミよりカッターの方が良いこともあります。議員になるよりビジネスでガン勝ちして稼いだ大金を寄附した方が良いこともあります。

何を目指すかが決まらないと、DXが良いかどうか判断できるはずがないんです。

だから、まずはUXなんですよ。

もちろん、DXは凄いパワフルな手段

いや、だからって、DXが悪だっていうつもりはありません。RPAも同様です。ちゃんと使えば、めっちゃめちゃ強力な武器です。

顧客の行動を理解し、そこから何を望んでいるのかを類推する。それに合わせて、タイムリー*に情報を提供し、最も幸福度の高い意思決定をしていただく。その後も、その意思決定が正しかったとご満足いただいて、また買いたい・使いたいと思っていただく。そういうコミュニケーションをしていこうと思うと、バックエンドの仕組みやビジネスプロセスも含めて広範な領域で、広義な意味での「デジタル」を避けて通ることはできません。

しかし、強力な武器は、それに頼ろうとする精神を生みます。強い武器を持つと、全てをそれでねじ伏せたくなります。でも、それじゃダメなんです。あの妖刀紅桜だって万事屋銀ちゃんには勝てなかったじゃないですか。一事が万事、そういうことなんですよ。

強力な武器を正しく使うために、その目的を、曇りなき眼(まなこ)でしっかりと見定めていきたいものですね。おろろ


*:場合によってはリアルタイムも選択肢になりますが、これも同じ話で「なんでもかんでもリアルタイム」ってのは思考停止です。ベストなタイミングを追求した結果、たまたまリアルタイムになるだけなんですよね。

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