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2つの大人気マンガの「心の声」の違い

今日は、2つのマンガから感じた「心理描写」に関して気になったことを書きます。

最近はリモートワークにより時間に余裕ができたので、エンタメ観賞時間を増やしています。特にマンガ業界は、様々な作品が無料公開されているので読み込むチャンスです。

『ONE PIECE』ルフィの「心の声」は描かれない

少年ジャンプを代表する大人気マンガ『ONE PIECE』も、現在60巻分が無料公開されています。ところでこのマンガでは、主人公ルフィの「心の声」は、全く描かれていません。これは作者が単行本の中で明言しています。

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その理由は、読者に対して常にストレートな男である為に「考えるくらいなら口に出す」または、「行動に移す」という事を徹底しているからだそうです。

このような、作者の描き方へのポリシーってめちゃめちゃ面白いと思っていて。マンガ自体のストーリー以外に、「作品の作り方」という視点でも楽しめるので。

実際にマンガを読んでいても、こうして描かれることによって、ルフィの猪突猛進な生き方が際立っていて、彼に対する大きな憧れや期待が生まれるのを感じます。

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(他のキャラなら心の中でつぶやきそうな内容でも、とりあえず口にする)

『鬼滅の刃』炭治郎は、完全に真逆

一方、2019年の年間売上げランキングでついに『ONE PIECE』を抜いて1位になったのが『鬼滅の刃』。僕もやっと最近読み始めましたが、確かに面白い。(この売上の推移も面白い)

で、その面白さがどこにあるのかな?って考えてみると、いろんな要素があるんですが、1番際立っているのは、主人公である炭治郎の「心の声」なんじゃないかなと思うんです。

一瞬を争う戦いの中でも、焦りや葛藤や苦しみなどの心の声が、とにかくたくさん描かれている。それも、いかにも「リアルタイムな心の中」を感じさせるような、綺麗にはまとまっていない言葉で。

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声には出ていないありのままの思いが、強い緊迫感や臨場感を生み出し、感情移入を誘う面白さに繋がっています。そして、本音を深く知ることによって、読者に「炭治郎を応援したい」という思いを抱かせてくれるように感じます。

また、思い遣りや優しさの心理描写も細かく描かれていて、炭治郎は自分を殺そうとした相手ですら、慈悲を持って接します。彼を見ると、「こんな綺麗な心の人間になりたい」という、ルフィに対するものとは別の憧れが生まれてきても、おかしくはありません。

ありのままに惹かれる時代か

こうして、同じジャンプの、同じ大人気マンガなのに、ある意味で真逆の主人公が描かれているのは、すごく面白いなと思います。

共に大きな需要があるわけですが、今まさに『鬼滅の刃』の勢いが凄まじいのは、そのようなキャラクターの「ありのままの心理描写」が影響していそうだな、と読んでいて感じました。

ネットでは弱みを見せると知らない誰かに叩かれるような、優しさを求めにくくなったこの時代だからこそ、一般的なヒーローの強さを強調するのではなく、誰もが持つ人としての弱さや悲しみを見せることが、読者の心に刺さるのかもしれないな、と。

そんなことを、鬼滅の刃を読みながら考えていました。

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