見出し画像

0.1 漸進主義

さて、0.0で述べたとおり、本投稿は日本の政策形成における、“国家から個人へ”というある種のパラダイムシフトを要請するものであるが、実際のところ、そこまで過激な主張を行うものではない。原理主義的な議論も行うつもりであるが、基本的なスタンスは漸進主義的である。
ここでいうところの漸進主義には、二つの意味を込めている。
第一に、そこには国家か個人か、という二者択一の思想は存在しない。あくまで政策形成における軸を国家に置くか、個人に置くかという点について、その比重を議論するのであって、単にどちらかを選択をすればよいという議論は行わない。もちろん、議論の組み立てとして、前者を否定し、後者を肯定するという流れにはなるのは事実であり、一見筆者が徹底した個人主義を主張しているように読めるかもしれないが、実際には異なる。
第二に、あくまで私は近代の枠組みの中でしか議論しない。日本のこれからを議論するといいつつ、実際には、主に国家と個人という、近代的装置を用いた議論に終始する。ときに、その先を見据えた議論について、色気を見せる場面はあるかもしれないが、基本的には踏み込まない。
しかしながら、筆者はこの近代的なスキームを無条件に是認するわけではない。むしろ、そういったものを乗り越えることで、新しい可能性が開け、この世界は変容するのだろう。ただ、ここではあくまで日本という一国家の運営について意見を述べるわけであって、そこから大風呂敷を広げる必要はない。
以上のような判断から、一連の投稿ではあくまで限定的な議論を行う。それを乗り越える新たな議論については、また別の機会に試みることとしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?