トラウマへの向き合い方とは。
#45ザ・ホエール
ブレンダン・フレイザーという人を知って
本作で主演を務めているブレンダン・フレイザーと、彼が演じるチャーリーの人生はどこか類似しているところがあり、より演技にリアルさがあり、
作品に深みを感じる。
ブレンダン・フレイザーは業界人によるセクハラや、
過度なアトラクション演技により負傷した体、
愛する我が子は自閉症と診断、
子供のために必死に入れた仕事のせいで妻には離婚を告げらただけなく、
年間90万ドルという多額の慰謝料を求めらる
そして、仕事も減り、引きこもり状態になり、アクション俳優で容姿端麗の姿は一変し激太りしてしまう。という背景が実はあるのだ。
このことを知っていると、本作をさらに楽しめるのではないだろうか?
一部屋でしか進まないストーリー
本作は終始主人公チャーリーが住む一部屋のみで行われる会話劇。
一見すると彼は普通の引きこもりに見えるが、彼は、272キロの巨体であるため、大幅に動くことができない。
また、彼はアパートの2階に住んでいるため、
階段を自らの力で降りることができず、外に出ることもできない。
こうして彼は、なるべくして引きこもりになっている。
一部屋の閉じ込められた空間で
主人公チャーリーは最期の5日間
様々な人々が彼を訪れ、様々な出来事が起こることによって感情が揺れ動かされるのが、
本作の見どころでもある。
人は人を救えないけれども
本作では様々なトラウマを抱えた人物が描かれている。
そして、人のトラウマを他者は救うことはできるのかーという
問いが投げかけられる。
主教、お金、介護、様々な救いの形が出てくる。
結果は、どれも救うことができないという斬新な回答を告げられる。
しかし、本作では人は人を救うことができないが、
救おうと頑張る人の姿は美しいということが描かれている。
本作を観ていると、救えるかではなく、救おうとすることが大切だということに気づかされる。
トラウマへの向き合い方とは
本作を観ていると、トラウマへの向き合い方について深く考えさせられた。トラウマによって拒食になる者、過食になる者、宗教に依存する者、奇行に走る者、アルコールに依存する者など、様々な形で苦しむ人々が登場する。そして、彼らがトラウマから解放されるために原因にとことん苦しみながらも向き合う姿が描かれている。
彼らが実際に完全にトラウマから解放されたかどうかは不明だが、
少なくともラストシーンのチャーリーは、少しは解放されたように感じる。多くの人々はトラウマを抱えた者に「忘れろ」という言葉を告げるが、
忘れるのではなく、苦しみながらもしっかりと向き合うことが
大切なのではないだろうか。
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