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ヘビイチゴで作るかゆみ止め

8年前、私は横浜の古民家へ引っ越して来て、憧れの庭を持つことができました。そこには既に立派な梅や金木犀の木、生命力の強いドクダミなどの薬草がたくさん生えていて、とても嬉しかったのを覚えています。植物たちの生きる力は底知れず、圧倒されるような勢いで成長していくので見ていて元気になります

小さな庭ではありますが、ものすごく多様な動植物が共生していて、様々な蝶や小鳥たち(苦手な虫さんたちも居ますが……)時には猫さんが遊びに来ます。植物たちは、たった一週間でも違うお花が咲き始めたり、新しい葉っぱが出て来たり。めまぐるしく状況が変わっています。

なかなかお手入れは行き届いていませんでしたが、お庭があることで季節を四季から二十四節記七十二候のように細かくたくさんの要素から感じ取れるようになりました。植物たちが近くにいてぐんぐん成長していくだけで、不思議とこちらも元気が出ます。

初夏のある日、庭でヘビイチゴを見付けました。食べても美味しくないけれど、かわいらしい赤い実です。

何か良い使い方はないものかと調べて行くと、かゆみ止めの薬になることがわかりました。もともと、人が作った化学的なものはあまり好きではなかったので、これを気に塗り薬も手作りしてみることに。

最蚊に悩まされる季節になりましたし、本格的な夏の前に作っておくと役に立つかもしれません。

ヘビイチゴのかゆみ止めの作り方

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【材料】
・ヘビイチゴの全草(実、葉、茎、根など全部位を使用):適量
・ホワイトリカー(焼酎やウォッカなどでもok):ヘビイチゴの2倍量

【作り方】
1.ヘビイチゴを摘み、軽く水洗いをして水気をきる
2.煮沸した瓶などの清潔な容器に①を入れ、アルコールを入れる(容器に入りやすいように適度な大きさに切っても大丈夫です。)
3.最低2週間 寝かせてから使用する
※しっかりエキスが出たら植物は取り除いて、液だけ保管すると長持ちします。スプレーなどに入れると使いやすいです。

保存が利きますが、1年間で使い切る分だけ作り、毎年作るとちょうど良いかと思います。冷蔵庫で冷やしておくと、虫さされやアトピーなどのかゆい時にひんやり気持ち良く使えます。ヘビイチゴの全草を水洗いして乾燥し、かゆい時に深く煎じて(*1)(レシピの1/21/4量だと作りやすい)ローション代わりに塗ったり、コットンに染み込ませて湿布にしたりできます。

*1)参考:からだを温める「深く煎じる」薬草茶の記事

このレシピはアルコールがしっかり入っているので、お肌の弱い人はノンアルコール抽出液もオススメです。
もちろん、人によって感じ方や効果は違います。すべての人に効果があるとは限りませんから、もしお肌に異常が出た場合は、すぐに使用をやめて専門医の方に診ていただきましょう。

ちなみに私はというと……蚊に刺された時に塗ると、1530分ほどでかゆみがおさまり、ぶり返しませんでした。即効タイプではありませんが、きちんと治ってくれました。自然由来のものであれば、使いたい分だけ作って、自分で自然に還せます。

お肌も喜んでくれる自然育ちのヘビイチゴのかゆみ止め。我が家の薬箱が、少しずつ手作りのものに変わっていきそうです。

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新田 理恵 (Lyie Nitta)
TABEL株式会社の代表/薬草使。
管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師。東洋と西洋、現代と伝統の両面から食を提案する。日本各地のローカルや海外の伝統ハーブの使い方をめぐり、伝統茶{tabel}(タベル)を立ち上げる。
薬草大学NORMや、オンラインコミュニティの薬草のある暮らしラボなども手掛ける。著書に「薬草のちから(晶文社)」がある。

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