【英文法の小径】過去完了形〈時制〉その二
〈過去完了形〉と呼ばれる[ had + 過去分詞 ]という形、これの使い方を改めて確認しておくことにしましょう。
まず、現在を基準とした場合には〈現在完了形〉を用いて述べるようなことを、過去のある時点を基準として述べるときには〈過去完了形〉を用います。〈現在完了形〉の基準点を現在から過去のある時点に移したものが〈過去完了形〉であると言ってもいいかもしれません。
I’m not hungry. I’ve just had lunch.
=> I wasn’t hungry. I’d just had lunch.
ランチを食べた直後のお腹の空き具合について述べた文。上が現在の状態、下が過去のある時点での状態を表している。
He is very nervous. He hasn’t flown before.
=> He was very nervous. He hadn’t flown before.
これは、飛行機に乗ったことがなかった人の、離陸前の精神状態を述べたもの。
The room is dirty. It hasn’t been cleaned for weeks.
=> The room was dirty. It hadn’t been cleaned for weeks.
いずれも、長期間掃除をしていなかった部屋の状態について述べている。
〈過去完了形〉には、もう一つの使い方があります。現在を基準とした場合には〈過去形〉を用いて述べるようなことを、過去のある時点を基準として述べる場合にも、〈過去完了形〉を用いるのです。
She didn’t sleep very well last night.
=> She hadn’t slept very well the night before.
上の文の 'last night' は今日からみて「前の日の夜=昨日の夜」を指す。一方、下の文の 'the night before' は過去のある日からみてその「前の日の夜」を指すので、この文は例えば、すでに行われた入試の前日の夜によく眠れなかったと言っている。なので、このような〈過去完了形〉の文は「過去の過去」を表していると説明されることもあるようです。また、このように過去からみた過去を表せるため、過去に起こった二つの出来事の時間的な前後関係を明確にするために〈過去完了形〉を用いることがあります(過去形・その五)。
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