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企画とは、「問い」を洗練させる作業
推理小説の一幕
探偵が「もしかしてあの部屋にいた人物ではなく、屋上にいた人物こそが疑わしいのではないか。」と気付く。
これって、まさに「新しく問い」を発見することで、「新しい答え」が浮かび上がってくるという例なんだと思います。
質問は常に研ぎ澄まされる
以前も「様々な質問が物事を明らかにしていく」という記事を書きました。
あらゆる仕事において熟練するということは、「言語化されているかいないかは問わず、物事を良いと判断できる質問を用意する」ということではないでしょうか。
今回は「質問」を常に研ぎ澄ましていく必要があるという話です。
ゴールは常に曖昧
企画開始の段階で「プロジェクトのゴール」が明確なことは稀であり、多くの場合、検討を進めながら「プロジェクトのゴール」を明確にしていくことになります。
検討のプロセスにおいて「ゴールが次第に明確になっていく」とするならば、裏返すならば、検討のプロセスにおいて「質問が次第に明確になっていく」ということです。
順番でいうならば、検討で私たちが行っているのは「質問を次第に明確にしていく」プロセスなのかもしれません。
当初コンセプトの賞味期限
検討の途中で、次第に「ゴール」が明確になっていくということを考えると、途中の検討では「最終ゴールとは異なっていた」ということも頻繁に発生します。
企画途中にコンセプトに立ち戻って、コンセプト自体をブラッシュアップする、変更することになります。
「企画」というプロセスにおいては、ウォーターフォール型で「コンセプト決めて、デザインして実装して」という一直線の流れは構造的に難しく、常に「螺旋(らせん)」 のように初期の検討に立ち戻ることになります。
初期コンセプトというのは、意外と賞味期限は短いものです。
ピントを合わせる
ゴールは「常にぼやけたピントが合っていない状況」から検討が開始されます。
例えば「世界最高のパンを企画して。」と言われても、「どうなったら世界最高なのかな。。」ってすぐには答えられません。
目を細めると遠くにぼんやりと「世界最高のパン」が見えるような気がしますが、それが何かはわかりません。
企画というのは、そのぼんやりみえる「世界最高のパン」にピントを次第に合わせていくプロセスであり、企画の途中も「問い」はゴールを明確にするために常に更新をつづけていきます。
「問い」を洗練する
「問い」を洗練する方法として、いくつかの考え方があります。
仮の「世界最高のパンを企画する」というゴール・お題から考えてみます。
明確にする・解像度を高める
プロジェクト中に何度も振り返ることになりますが、「問い」自体が曖昧に感じた場合、さらに明確にできないかを考えます。
「正解最高のパンってどういうこと?美味しさ?万人にとっての美味しいパンを作るってこと?」
枠を外す
私たちは思考の「枠」に囚われることを避けられません。いまこの瞬間も何かの思考の制約によって、思考が狭められているかもしれません。その枠自体を外せる可能性を考えてみます。
「世界最高のパンだけど、世界最高の朝食って定義してみたらどうだろう。世界最高の食事とかはどう?」
問い自体の誤りを考える
初期に設定されてる「問い」自体が間違っている可能性もあります。「問い」自体の誤りを考えてみます。
「なぜ世界最高のパンが必要なんですか?」
解像度を高める
「答え」というものが常に「問い」に規定されるならば、「新しいアイデア」というものは、常に「新しい問い」の発見によって行われることになります。
私たちは何かを考える時に、アイデアやアウトプットばかりに目がいってしまいますが、本質的に大事なのは「問い」を常に洗練させていくことです。
解像度が引くぼんやりしている「ゴール」を次第にピントを合わせる問いの存在です。
企画に行き詰まったときは、一旦落ち着いて「問い」を洗練させるということに、時間を割いてみて下さい。当初のゴールが曖昧になっていたり、そもそも何を検討しているのかも自分自身がわかってない場合も考えられますよ。
サポートいただいたら、それで美味しい珈琲を飲みます。 ありがとうございます。