「起業家に選ばれる起業家」ということ(前編)
EOという団体をご存知でしょうか?
EO( Entrepreneurs' Organization )は、「起業家の可能性を最大限に引き出し、世界を前進させる」ことを目的に、アメリカで生まれた世界的なネットワークで、年商$ 1 million 以上(日本では1億円以上)の起業家のみが参加でき、世界中で約19,000名、日本では約1,100人が参加。日本には16のチャプターがあり、EO Tokyo チャプターは約400人のメンバーがいます。
ありがたいことに、その中で、私は「起業家が選ぶ起業家」として、本年度のEO Tokyo チャプターのNo.1に選んでいただきました。本当にありがとうございます!
今回は、EOの魅力を語るとともに、どのように私がEOの価値を享受したのか?も合わせてお伝えできたらと思っています。
2024年7月。私は参加しているEOにおいて「EO of the Year 2024」を受賞しました。この賞は、「起業家が選ぶEOを体現している起業家」に贈られるものであり、名誉ある受賞です。
「EOを体現している起業家」というのがどのようなものなのか?それは、EOが大切にしている価値観を見てみるとお分かりいただけると思います。
EOが大切にする4つの価値観
(以下、EO WEBより引用)
1. 信頼と敬意
「誠実さを基盤に、深く永続する人間関係を築きます。」
2.学びへの渇望
「新しいアイデアや視点を追求します。」
3. 大きく考え、大胆に
「革新し、リスクに挑み、違いを生み出します。さらなる難題に立ち向かい、ポジティブな変化をつくり出します。」
4.共に成長
「違いを受け入れ多様性を尊重し、お互いの経験を共有し、ともに成長することにコミットします。」
これらの4つの価値観を体現している人が「EO of the Year」に選ばれるのです。
受賞プロセス
まず、平均8名ほどのメンバーで構成されている各フォーラムから、候補者を1人ずつ推薦します。次に、推薦されたメンバーに対して、EO Tokyo チャプターの約400人がオンライン投票を行います。その結果、ファイナリスト3名が選ばれ、最終的には当日のプレゼンテーションでリアル投票が行われます。つまり、受賞者は、その場で決定されるのです。
ありがたいことに受賞させていただいた理由の一つとして、私のフォーラムメイトがプレゼンテーションで語ってくれた内容がありました。
「彼は貧しい家庭に育ち、裕福ではないものの、ハングリー精神と向上心を持ち続けてきました。学生時代には幕末の志士たちに影響を受け、日本と世界を変えるという強い意思を持つようになりました。数社を経て独立し、自らの会社を成長させてきましたが、組織の崩壊や右腕の突然の死去といったハードシングスにも直面しました。しかし、それらを乗り越え、起業から10年で会社を上場させました。これからも世界を変える男です。」
この心震えるプレゼンテーションに続いて、私自身も1分間プレゼンを行いました。
「私は、EOの価値を最も享受している起業家の一人です。20年来の仲間を失い、どん底に落ちた時、経営どころか自分の未来も、いまも見えなくなりました。そんなぼろボロの私を支えてくれたのが、EOのフォーラムメンバーでした。緊急で集まってくれて、共に泣きながら話を聞いてくれたのです。EOは、ひとりの起業家を救ったのです。
今、私はとてもハッピーです。日々切磋琢磨しあえるEOのメンバーと共に、事業も起業家としても成長することができました。そして、気づきました。起業家はもっとハッピーでいてもいい。茨の道を自ら選んでいるけども、それでもハッピーでいていいのです。EOの価値をもっと享受して、もっとハッピーになりましょう!」
おかげさまでたくさんの拍手に包まれ、賞を受賞させていただきましたが、実は参加当初は、EOとうまく向き合えていませんでした。
EOとの向き合い方
最初は、どこか「やらされ感」のようなものがありました。月に一度集まって経験をシェアする「フォーラム」に、ひとまず参加していたものの、EOのことをよく理解していない自分…。ただ、せっかく参加しているのに、このままでいいのか?とも思っていました。
フォーラムに参加していくことで、EOが大切にしている「個人の責任」というルールに触れることで、自ら動くことの重要性に気づきました。EOは、受け身で参加するものではなく、自ら積極的に参加するジムのような存在だったんです。
自分の参加スタンスが変わることで、アウトプットも変わり、入ってくる情報の質や出会う人も違って見えてきました。起業家だけが集まっているからこそ、ここでしか得られない価値があると気付いたのです。
完全に安心して何でも話せる場所。これは大きな価値のひとつですが、それを生み出すためのルールがあります。
大切にしている3つのルール
(以下、EO WEBより一部引用)
1. 個人の責任
まず、ひとつ目のルールは「個人の責任」です。これは、各メンバーが自己の行動や発言に対して責任を持つことを意味しています。
2. 守秘義務
二つ目のルールは「守秘義務」です。これは非常に厳格で、個室の会議室で話された内容は、一歩外に出たら一切口外してはならないというものです。この「会議室での話は会議室でだけ」というルールのおかげで、メンバーは安心して話をすることができ、全員が集中して質の高い議論を行うことができます。会議の開始時には、集中を阻害するものがないか確認することから始まります。このような環境だからこそ、起業家たちは悩みを率直に話すことができ、守秘義務のおかげでメンバーは会議室を出た後はその内容を良い意味で忘れることができるのです。
3. ゲシュタルト・プロトコル(フォーラムマインドセット)
最後のルールは「ゲシュタルト・プロトコル(フォーラムマインドセット)」で、「アドバイスをしない」というものです。
なぜアドバイスをしないのか?と気になる方も多いかと思います。
アドバイスをすると上下関係が生まれたり、責任が発生してしまうからです。EOでは、解決策を提供するために参加するのではなく、「起業家としての成長」を目的としています。仲間の経験を聞き、自分の経験もシェアすることで、自分自身で気づきを得て学び、それを経営に活かすことで成長していくのです。
EOの考え方に触れれば触れるほど、価値が少しずつわかっていき、自分をさらけ出すことができるようになり、アウトプットも変わっていきました。すると、得られるものも自然と大きくなり、成長を自分自身でも、実感することができました。こんなにも自己成長できるのなら、さらにEOにコミットしようと決心しました。
後編に続く
次回は、EOでどのように自己成長していけるのか?ということをお伝えできればと思います。