マガジンのカバー画像

エッセイ

175
私が書いたエッセイ的なもののまとめです。
運営しているクリエイター

#記憶

フルーツケーキは嘘なんかじゃなかった

はるか大昔に私が幼稚園児だった頃、たとえば空になった食べ物のパッケージや色紙なんかを使っ…

茱萸の木は、今も。

子どもの頃、アパートの階段の横に茱萸(ぐみ)の木があった。 長くそのアパートに住んでいた母…

遠くまで

その昔、札幌の豊平川沿いにあったパチンコ屋さんの屋上に、それはそれは大きなライオンの像が…

本当に卒業できたのは、十五年以上後のことでした。

今でも時々私は、「やっと高校を卒業できる」と、ほっとしている夢を見る。 それくらい、私に…

人間関係とはどうぶつの森のお引越しの如し

その昔、まだ私がかなり過酷な環境に置かれながら日々ぜぇはぁと生きていた頃、私はとある友達…

父の生きた証は、ナポレオンフィッシュと兄と私

誰に訊いていいかわからないことが起きて、咄嗟に「兄に訊こう」と思った。 この異母兄と私は…

イノセント ワールド

初めて出逢ったのは確か、高校生の頃だ。 蜷川実花さんの撮る写真の表紙があんまり綺麗で、それについ惹かれて古本を買ってみたら、中身はけっこうセクシャルな内容で、私は「おお…、」と見知らぬ世界観に戸惑った。 桜井亜美の小説に初めて触れた瞬間だった。 彼女の作品のひとつ「イノセント ワールド」の「知的障害のある兄との性交」という内容に、私はなんだか前世での記憶でもかき混ぜられたような気持になった。否、おそらくそんな前世は持ち合わせていないし、そういう経験も無いのだけれど、「知

ずっと、兄の声を抱いて歩いている

スピッツを聴き始めた頃から、なぜか妙に「楓」という曲が好きだった。 自分でも正直、その理…

Holy ground

私が一番憧れるヴォーカリストというのは、元GARNET CROWの中村由利さんかもしれない。 もち…

夏の魔物

お金なんてあればある方がマシたぁ思いつつ、最近の自分は、本当にそういうこと「だけ」を望ん…