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『Love Eve date ~愛になる前の話~』AI生成を用いたノベルゲームのシナリオ。
1.はじめに
この記事は上記の記事に関連があります。
シナリオが書けたので投稿しますという記事です。
5000文字前後。
2.本編
ぴぴ、ぴぴ……。
耳元に置いたスマホからアラームが流れる。まだ完全に目が覚めていない脳を動かしながら、スマホの画面をスライドさせる。
「ん…もうそんな時間か…」
俺はゆったりとした動作で起き上がる。
ぺたぺたとフローリングの床を歩くと刺すような冷たさを足元から伝わってくる。まるで床は外の寒さを報せるようだった。
「厚着しないとな」
洗顔と歯磨きをいつものように終えるとほどよく目が覚めてきた。あと数時間後には、隣にあの人がいる……と思うと……。
「……何だか実感がわかないな」
興奮して眠れないことはなかったし、朝もいつものように起きることが出来た。何も変わらない故に、本当の出来事なのかわからない現実と夢のような境目にいるように感じてしまう。
『……起きてるかな?』
『無理だったら来なくて大丈夫だからね……?』
そんなボヤっとした頭に実感を湧かせるように連続して通知が鳴る。送り主は、件のあの人。…ヤミコさんからだった。
「全然そんなことないです!そろそろ出ようかなと思ってたくらいで!」
元気さを出すために「!」を多用してしまう自分に辟易しながら、返信する。
そう、今日はヤミコさんとのデートの日。
……正確にはヤミコさんの調べものについていくだけ、という用事だが。密かに好意を寄せる俺にとってはデートと捉えてしまうのも仕方のないことである。
現実に引き戻された頭をぶんぶんと振り、かけてあった上着を羽織る。玄関のドアを開けると、冬の寒気が頬を撫ぜた。
いつの間にか、頬に熱を持っていたことに気付かされる。……耳も赤い気がするが、これはきっと寒さのせいだろう。
「いってきます」
◇ ◇ ◇ ◇
電車に乗り、数駅。
駅前につくとそれなりに人がいた。
休日なので当たり前なのだが、ヤミコさんの性格を考えると待ち合わせ場所をもう少し静かな方にしとけばよかったのでは……?と考えが過る。
まぁ今更どうしようもないわけだが。
きょろきょろと周りを見渡すと……
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待ち合わせ場所に着くとすでに彼女はいた。
人が林立する……その中でも、ひと際目立つ黒髪をなびかせながら立っている女性に話しかける。
「おはようございます、待たせちゃいましたかね?」
「お、おはようっ……ううん、私も来たところだから大丈夫……!」
話しかけると、びくっと身体を震わせる小動物じみたヤミコさんを見て少し笑ってしまう。
「な、なんで笑うの……?な、なんか変だった……?」
「あっ、いや……えっと、何か反応がかわいいなって」
「かっ!?も、もー!おだてたって何も出ないよー……?」
照れ隠しをするように、前髪をいじるヤミコさん。これで年上だというのだから、どんな人生を送ってきたのか興味がそそられてしまう。
……少なくとも俺にとっては、その一挙手一投足が破壊力抜群だ。
「じゃ、じゃなくて…電車きちゃうから早く行こ……?」
ヤミコさんは、手首の時計が視界に入ったのか思い出すように駅の方へと歩き出した。それに付いていくように俺も歩き出す。
◇ ◇ ◇ ◇
今日の目的地はここから都心に向かった場所にある。国立図書館……言ってしまえば、国内にあるめちゃくちゃ大きな図書館だ。
なぜこういうことになったかというと。
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「近くの図書館に行っても資料が見つからないんだよね……」
「まぁ……ここの図書館ってあんまり大きくないですもんね」
「……想像で書くわけにもいかないしなあ」
メガネをかけながらノートパソコンを叩くヤミコさんは、ため息をつく。タイミングを見計らってか、注文したコーヒーが机に置かれた。湯気で曇るのを嫌がったのか、ヤミコさんはPCを閉じその上にメガネを置く。
「あ……それなら、あそこどうです?」
「……あそこ?」
「国立図書館です。ヤミコさんが見たいやつあるかわかりませんけど」
「……なるほど、国立図書館かぁ……あー……」
ヤミコさんはコーヒーをすすりながら困った表情を浮かべる。その考えがなかったわけではない……というような表情だった。
「……ちなみに君は利用したことある?」
「いや、聞いたことある程度ですね。他の図書館とあんまり変わらないんじゃないですかね?」
「うーん、私も調べたことあるんだけどさ。何ていうかな……やれることが多すぎて逆に迷う……みたいな……」
「簡単に言うと……ちょっと1人で行くのは……って感じなんだよね。ほら私……あんまり喋るの得意じゃないし」
「あー……」
「あー……って。まぁそんな感じかなあ」
「じゃあ俺ついていきますよ」
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……と、本日の流れとなったわけだ。
「なんか悪いね? こんなつまらない用事に合わせちゃって……」
「自分も卒研関係で出てこない文献があったので……全然気にしなくておけです」
ここまでの経緯を思い出していると、隣でかすかに揺れるヤミコさんが申し訳なさそうに話しかけてきた。
卒論……というのは嘘ではないが、本音ではない。本音は、自分も国立図書館に行きたかったという気持ちが大きい。
それがヤミコさんと一緒ならなおさらだ。
「そ、そう……?それならいいんだけど…」
ヤミコさんにも分かりやすい理由と方便を使ってるだけ……。というのは少し伝わっているのかもしれない。不安や申し訳なさは拭いきれていない様子がそれを示していた。
「わ……」
都心に近付くと、駅に止まる度人が雪崩れ込んでくる。周りを見渡すとスーツ姿の人たちがたくさんいて。
満員電車……とまではいかないが、休日でもこれに揺られているサラリーマンの心境は計り知れない。あと数年で自分もその仲間入りとなるわけだが……。
少なくとも明るい感情ではないだろう…と意識を外に向けていると……。
どんっ!
誰かがよろけたのか、背中に強い衝撃が伝わる。倒れないように咄嗟に手をドアに伸ばしたのだが……
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「ひゃっ……」
目と鼻の先にヤミコさんの整った顔があった。
……いわゆる壁ドン、と呼ばれる体勢。
こんな状態になっているのに、頭では「息くさいとか思われてないよな…」と能天気なことがよぎってしまう。
「ご、ごめんなさい……っ!」
「あ、ぁ……ぇ、えと……だいじょうぶ……」
ちょうど詰まった隙間に人が入ったのかその状態で固定される。みるみるうちに頬が染まっていくヤミコさんに俺はお願いする。
「あ、あと数駅ですから……目、目でも瞑ってください……」
「ひゃ……ひゃい……」
◇ ◇ ◇ ◇
駅に着き、詰められた人たちが方々に散らばっていく。残された俺とヤミコさんの間に少しの気まずい空気が流れた。
「あ、あっ……えっと……あっちかな……?!」
スマホの地図を見ながら、早足で歩くヤミコさん。先程の出来事がなければ、楽しみで仕方がないと捉えられたが、どう考えても楽しみというよりは照れの方が勝っているという感じだろう。
かといって、自分から話しかけても忘れられるような会話が出来るとも思えない。一旦落ち着くまで素直に待った方がいい……と判断することにした。
◇ ◇ ◇ ◇
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「わ!本たくさんあるよ……!」
驚いたのはその広さ……ではなく、図書館の中身だった。頭の中では、大きめの図書館……という認識があったので、入ったらすぐに本!本!本!と思っていた。
その予想を大きく裏切り……初めて見た光景は市役所のような簡素な室内だった。専門書を除くほとんどの本は、書庫に所蔵されているらしくPCや司書さんを通して借りる……というシステムらしい。
……しかし、その気持ちはフロアを変えた途端に払拭された。自分の背丈の2倍ほどある棚に、本がずらりと並んでいる。背表紙の色や高さを合わせているせいか、かなり圧巻される光景だ。
「あ、ごめん……。こんなの本の中でしか見たことなかったからつい……」
「いやいや、ヤミコさんの気持ちも分かります。これ、すごいですね……」
本は、先人の知恵の塊……。本来100年しか寿命がない人間が、その知恵を授かれるものだ……と耳にしたことがある。
しかし、この量の本を見ると……この中だけでどのくらいの人がその人生を費やして後世に知恵を遺してきたのか……想像もつかない。それらが手続きをすれば、誰でも読めるというのだから破格のサービスだろう。
「ど、どうしよっか……私歩いてるだけでも楽しくなれそうなんだけど……」
ヤミコさんは遊園地でアトラクションを目の前にしたような輝いた目をしている。……本当に本が好きなんだろうな。
「俺は論文だったので、下で探してますね」
この場にいても、恐らくヤミコさんは俺のことを気にしてしまうだろう。目を輝かせるヤミコさんの動向に興味がないわけではないが、席を外すことにした。
「そ、そっか……!じゃあ、また連絡するね……っ!」
ヤミコさんは棚につけられたプレートを見ながら、上機嫌に歩いていく。そのうち、興味のある列を見つけたのか棚と棚の間にすっと消えて行った。
◇ ◇ ◇ ◇
ある程度の探索を終え、目的の論文…そして参考の文献から次の論文……と芋づる式に見ていると閉館時間が迫ってきた。
俺もヤミコさん程ではないが、かなり文章を読むのは好きな方だ。出発したのが昼下がり、というのもあってあっという間に時間が過ぎてしまっていた。
あれからヤミコさんからの連絡は来ず、連絡をしよう……とすると視界に黒のセーターを着た人が隣の椅子に座った。
PCから目を外し、隣に視線を移す。
「あ、あはは……。気付いたらもう閉館近いって。……どう?お目当てのやつは見つかったかな?」
「はい、俺はこれとこれを印刷しようかなって思ってます。ヤミコさんは?」
……また面白いと思った点として、基本的に貸し出しは行われていないらしい。複写……というよりは、原書を保存する場として存在しているのがよくわかるシステムだ。その証拠にコピーをするのも自分ではなく、職員さんに任せるという形をとっているようだ。
「ふふん、もち」
ぶい、と無邪気そうな笑顔でVサインを向けてくるヤミコさん。それに付け加える形で、あ、と口に漏らした。
「そうだ思い出した……。1個だけね、高いところにあるやつがあって……。よかったら手伝ってくれないかな?」
「いいですよ。場所は…覚えてます?」
「さすがにそれは覚えてるって……!たぶん……」
「たぶん、で笑います」
「だって、どこの棚見ても興味ある……!ってやつばっかりだったんだもん……」
俺はPCのページを閉じ、ヤミコさんと一緒に行くことにした。
◇ ◇ ◇ ◇
「そうそう、あの上の赤いやつ……!」
ヤミコさんが指を差す箇所に視線を向ける。下から6段目。ちょうどヤミコさんを半分にして足したくらいの高い位置にそれはあった。
「し、しっかり支えててね……。……っと……」
土台を持ってきたヤミコさんは恐る恐る一段、一段と登っていく。つい、心配になって上を見上げてしまう。
「……えっち」
偶然視界内に入った布地のことを言っているのはわかる。わかるけどそれは不可抗力というものではないだろうか。
「じょーだん、じょーだん……!そんな慌てなくてもいいから……って、うわっ……!」
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目線を下に反らし、早口で弁明を図っていると上からズルッと滑る音が聞こえてきた。その音共に、顔に大きな影がかかる。
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戸惑いながら目を開けると、俺を見下ろす形で近くにヤミコさんの顔があった。ヤミコさんの綺麗な艶のある髪の毛が鼻をくすぐる。
……頭に昼に電車であった出来事がよぎる。
「ご、ごめん!怪我無かった!?」
「だ、だいじょうぶです……」
気になっていた異性に壁に追い詰められる。早くしないと……変な趣味が目覚めてしまいそうだ。
「……おあいこだね」
……ダメだ。
たったいま目覚めました。
ヤミコさん、あなたのせいです。
本人は狙っているつもりはないのだろうが、その妖艶な笑みを向けられると心の奥がくすぐられてしまう。頬に熱がこもってくるのを感じる。恥ずかしくて目を合わせることが出来ない……。
閉館を伝える音楽が流れるまで、その状態は続いた。……まるで、そこだけ時間が止まったような感覚だった。
◇ ◇ ◇ ◇
夕暮れが過ぎ、視界はすっかり暖色から寒色に変わっている。ヤミコさんは隣で歩いているものの、会話が弾んでいると言われると絶対にそうではない。
「あっ……」とか「うん……」とか会話のようなキャッチボールがさっきから行われている。何度か目が合い、ヤミコさんは口を動かすが言葉が出てこない様子だ。
口が「お」の字になっているので「……ごめん」辺りだろうが、わかるだけに指摘しづらい。
その状況が続き。待ち合わせの駅を通り過ぎ……そして帰路のいまにいたる。
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「……ここ、曲がったら私の家だから……」
「はい……」
「……」
……気まずい。
何だかこのまま別れてしまうのはいけないような気がする。そう思い俺は歩いていくヤミコさんに声をかける。……と同時にヤミコさんは振り返った。
「……今日は……付き合ってくれてありがとね。思ったよりいろんなことあったけど…楽しかった。おかげさまで、行きたかったところもいけたし……」
「あぁ……そういうのを言いたいわけじゃなくて……。あのね、私、君との"デート"楽しかった!」
「も、もしよかったら……また誘っても……いいかな……?」
「……!もちろん……また、行きましょう!」
「……うん。絶対次もいこ。……今日はありがと……」
ヤミコさんはそういって、小走りで駆けて行った。耳にかすかに届いた鼻歌はきっと錯覚ではないはずだ。
一方で俺はヤミコさんが発した『デート』という単語が頭の中で響いて鳴りやまなかった。
……そういう意味で受け取って……いいんだよな……?
3.終わりに
今回はAI生成でスチル及び立ち絵を生成し、ノベルゲームを作る試みだった。このように『髪色』『目の色』『特徴的な服』が決まっていれば同一キャラの絵を生成することが可能だとわかった。絵が描けない自分でも、クオリティの高いスチルを生成し、全体の質を上げられるのはとてもありがたいことだ。
AIイラストの進展速度は凄まじく、ガチャをする回数を減る方向に動いている。同時にイラストの知識も必要な領域まで進んでおり、凝ったことをするには初心者レベルの知識を求められるようになりそうだ。
指定したキャラを生成するために、英語の語彙力を上げる…というのもスタンダードになっていくのではないかと思う。
4.ヤミコさんの立ち絵(おまけ)
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