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久住英二がN/thestoryと共に目指す、医療従事者がキャリアをデザインする世界

2023年10月よりthestoryの顧問に就任した内科医・血液専門医の久住英二氏に、看護師を始めとした医療従事者のキャリアと学びについてインタビューしました。幅広く活躍している久住氏が、いまの看護師の働き方に関する課題感、理想のキャリアデザインについて解説しています。
「N/thestory」は、久住氏のアドバイスのもとにさらなるサービスのクオリティ向上、そして「やりたい・学びたい看護」を軸にキャリアを歩む看護師をひとりでも増やすべく邁進してまいります。
現役看護師の方はもちろん、医療関係の方、キャリアや学びに興味がある方、多くの方々にお読みいただきたいです。


久住先生はこれまで、医師として、経営者として、看護師を始めとした医療従事者のキャリアや学びに関わってこられたと思いますが、どのような課題があると捉えていますか?

3年働いてからがキャリアの始まり

医療業界に限った話ではないかもしれませんが、「3年働いたら一区切り」という前提が根強くあります。看護師だと看護奨学金などの仕組みからも最初に働く勤務先は大きめの病院がほとんどで、そこで3年まずは働くんです。そうすると奨学金が免除になり、看護の仕事も一通りわかってくるので、なんとなく一人前になった気分になります。医師も似ていて、初期研修が終わって3年になると、大分経験を積んだように感じる。今思えば当時は何もわかっていないのに一人前と自負していたので、思い出すと恥ずかしいですけどね。
このタイミングで、転職するケース、プライベートのイベントがあって看護師自体を辞めることを選ぶケースなど、いくつか道が分かれてくると思います。
本当はここからが自身のキャリアのことをじっくり考えられるタイミングになるので、じゃあ次はどんなところで働いてみたいか、どんなスキルを身につけたいか、どんな看護をしたいかなど、自分の気持ちに丁寧に向き合って、ステップアップする道を探してほしいところ。でも実際は、主体的にキャリアを考える看護師や医療従事者はとても少ないと感じています。

看護のプロとして主体的に動こう

看護師の業務は、診療の補助と療養上の世話ですが、その業務内容は煩雑であり多岐にわたります。特に病院で働く看護師の方は医師の指示のもと行う業務も多いと思います。
一方で、専門・認定看護師や特定行為研修を受講しスペシャリストとして働く方、訪問看護師など常に医師がいない病院外での状況で働く方、副業したりする看護師も増えてきており、看護師のキャリアも多様化しています。
看護師って医療知識やコミュニケーションのスキルを育てていく専門職ですから、「自分の専門スキルを提供する」というプロフェッショナル意識が重要。学び続けないといけないですしスキルも極めていく必要がありますが、”やらされる”のではなく「自分が決めたこと」であればつらくはないんです。ぜひプロフェッショナル意識を高く持ち、必要なスキルも知識も自ら決めて動くようにしてほしいと思います。組織の中にいるだけだと、自分のスキルのプライシングが掴みづらいものです。ぜひ看護師としてのスキルや知識を自分のものとして積み重ねて、個として働く感覚を身につけてほしいと思います。そのためのリスキリングや情報提供は私も積極的に行っていきたいですし、主体的に自分の人生を組み立てられる人を増やしていきたいです。

クリニックの立ち上げなど、これまで雇用側として人を採用されてきたなかで、難しかったことや工夫されていたことを教えてください。

医学はエビデンス、医療はナラティブが大事

クリニックで働く看護師は、新卒はほぼいなくてセカンドキャリア以降の方々中心です。これまで出会ってきた方々は、何かしらでキャリアが思い通りに行かない経験をしたり、がむしゃらに働くなかで条件だけではない大切なことに気づいた経験を持つ方が多いです。つまり、人生経験が豊かでコミュニケーション力が高い看護師が多い。
私は、医療はナラティブ、つまり物語だと考えています。医学はエビデンスが基本ですが、医療ではナラティブが大切なのです。看護師としてどんなことができるのか、何をしたいのか、患者さんは何を求めているのか、なぜこのクリニックを選んで来てくれたのか。すべてに個別の物語があり、そこに寄り添う対応が求められています。

クリニックって、医師に会って早く症状を楽にしてもらうことを期待してやってくる患者さんが多いので、看護師は主役ではなく脇役になりがちです。これが病棟だと状況が違って、看護師が主役で医師の診察は頻度が少ないですよね。そこで病棟からクリニックに転職してきた看護師は、「私たちは本当に患者さんの役に立てているのか?」と不安になることが多いのです。患者さん、つまりお客様の顔色を見たり話を聞いて、どんな対応が必要とされているか想像し、いかに早くその対応ができるかが問われます。アドリブ力やコミュニケーション力が必要なのです。

お互いの根幹を知ることが出来る採用手法を取り入れたい

院長時代は採用も担当していましたが、履歴書をみて長くて30分ほどの面接で決めないといけません。たいていは人材紹介会社を経由しているので、早く採用可否を決めることが求められます。
でも、面接15分でその人の根幹の部分を見抜くのは至難の業です。ランチでもご一緒出来れば多くのことが理解できそうですが、なかなか難しいのが現実で、ミスマッチにもつながりやすい。
これまでに不幸な出会いもありました。看護師は責任感が強いのですぐ辞めてしまうことはあまりないですが、半年くらいで去るのはお互いにとって良くない。
ですから、相手のことを深く知る採用プロセスがあればどんどん取り入れていくべきだと思います。
以前、患者さんとして通ってくれていた方が実は看護師で、クリニックの雰囲気も理解したうえで応募してくれたケースなどはとても良かったですし、それくらいお互いを理解していることはその後の活躍にも繋がるので重要だと思います。面接では、相手の理解を深めるために、正解がない質問を聞くようにしています。正解を探して早く回答するのではなく、回答に辿り着くまでの思考プロセスが知りたいのです。看護と関係ないテーマについても聞きますね。

看護師の皆さんは、自身のキャリアについてどのように考えていくべきでしょうか?お考えをお聞かせください。

「私は看護師」と胸を張ってほしい
社長って、忙しいけど元気なんです。
なぜなら自分で仕事の采配をしているから。他者に決められていたら、それはどんな形であれストレスになります。
看護師は、知識とスキルを持つ専門職として、独立した存在として自分が主役になって働くことを考えていくと、おのずとキャリアが開けていくのではないでしょうか。
看護師って、バックグラウンドがとてもバリエーションに富んでいる職業なんです。専門学校から四大卒、都会田舎関係なくどの地域にも存在しています。どんな環境であれ、「看護がしたい」という生き方に向き合い、国家資格を取ってスキルと知識を身につけて積み重ねた自分自身に胸を張ってほしいと思います。

学び方もさまざまで、いまは個人事業主として青色申告を活用すれば自分の学ぶ費用を経費にも出来ます。少し税金の知識を得ればできることなので、恐れずにインプットを増やして、看護師として誇りを持って働いてほしいです。

医療従事者は常に学び続ける職業です。久住先生の学びの方法、決めごとなどはありますか?

2方向でインプットを重ねています。
ひとつは、医学的な知識です。複数の医学雑誌のニュースレターを受け取り、タイトルやサマリーを見て気になるものは詳細を把握しにいくやり方が効率が良いです。
もうひとつは、複数の新聞に目を通すようにしています。国内一般紙や海外紙などから、経済や一般常識についてインプットしています。ITの話題なども追いかけていて、ブロックチェーンは電子カルテに良いのでは?など発想をめぐらせています。

あとはリアルな交流ですね。お誘いを受けたらできるだけ参加させてもらって、多方面の刺激をもらっています。

「N/thestory」のサービスモデルに期待すること、今後さらに良くしていきたいことを教えてください。

マッチングアプリってこれからいろんな出会いの場で実装されていく方法だと思いますし、とても有効な出会いの方法だと感じています。こうして採用についても活用されていくのは素晴らしいと思います。
医療業界は人が財産です。相手を良く知って、新たな仲間に出会える手法は欠かせません。
今後自分がまたクリニックの経営をすることがあればぜひ使いたいですし、医師・経営者などのさまざまな視点から改善点を見つけて実装していきたいと考えています。
看護師の皆さんが自分の人生を生きられる社会をつくっていくことが出来れば、看護を受ける患者さんの人生を良くすることに繋がっていきます。人に奉仕する看護師に元気になってもらうサービスづくりや発信に力を尽くしていきたいと思います。

【無料オンラインセミナー】 久住先生と考える!『これからのウェルネス』

久住先生を講師にお招きし、看護師の採用マッチングアプリ「N/thestory(ジストリー)」を提供する株式会社thestoryがお送りします。
健康維持や健康増進、疾患の予防などより良い健康状態を目指すための視点からこれからのウェルネスについて考えます。
たくさんのご参加をお待ちしております!
*今回のセミナーはアーカイブ配信を行いません。是非リアルタイムにてご聴講ください。

★こんなこと話します★
・自立した生活を送るための日常生活動作(ADL)を維持する生活習慣の作り方
・インフルエンザシーズン到来!気になる感染症と予防接種 等
皆さんの気になるテーマについてお話しをお聞きします。
また、エントリー時にご質問をご入力いただければ、当日久住先生からご回答いただきます。

★こんな方にオススメ★
・予防医療に興味のある全ての看護師のみなさん在宅医療
・地域包括ケアに興味のある看護師の方
・リニックへ転職を考えている看護師の方/クリニック経営者の方
*画面オフ・ミュートでのご参加をお願いしております。

スマホからラジオ感覚でご聴講ください!
皆様のご参加お待ちしています!

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