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海洋酸性化からの守り方(SDGs14.3その6~海の豊かさの守り方3-2)

海の酸性化の元凶である二酸化炭素。その二酸化炭素の生みの親であり、悪の親玉である化石燃料を駆逐するため、水素やアンモニアといったヒーローが立ち上がってきたわけです。そしてさらに次世代燃料のヒーローも増えてきました。電気をバッテリーに充電して動力とするEV、バクテリアを使って燃料にするバイオ燃料、二酸化炭素排出が少ない液化天然ガスのLNG。悪の親玉、化石燃料を倒し、No.1ヒーローの座を勝ち取るため、壮絶な次世代燃料戦国時代の様相を呈してきたのでした。

こんな構図が現在の海の脱炭素の動きです。ちなみに、海で使われる燃料として今のところ有力な見方は、国際航海をするような大きな船にはアンモニア燃料か水素燃料。国内をぐるぐる回るような中型の内航船には水素燃料。フェリーや沿岸漁業のようなちゃんと繋留場所(※1)が決まっているような船にはEV。といったところです。

海の脱炭素の取り組みにフォーカスしてきましたが、海の分野から排出している二酸化炭素は全体に比べれば、実は3%にも満たない状況です。二酸化炭素の多くは、エネルギー生み出すためだったり、工場から排出されるものだったり、土地広げるための森林破壊によって生み出されていたりしています。(※2)さらに深刻なのが家畜です。人間に食べられるためだけに生まれた生き物で、人間と家畜を合わせた哺乳類の割合は全哺乳類の95%にも及びます。地表面積の42%は畜産業に使われて、2030年には二酸化炭素効果として49%が畜産業から排出されるとも言われているのです。どんどん明るみになっていく現状に、もはや人間が二酸化炭素を増やしているのは疑う余地はなくなってしまったのでした。(※3)

でもこれは大きな一歩です。自分たちが悪影響を与えているからこそ、自分たちの持つ英知とテクノロジーを集めて、何とかしていかねばならないと決意させたのです。例えば、代替肉です。大豆を加工して肉っぽくしたものです。昔はぼそぼそしていましたが、今や味も豊富で肉汁もしたたって、本物と見分けがつかないくらいです。通常の家畜の肉と比べ、水も、土地も、二酸化炭素を含む温室効果ガスも90%以上を削減してくれる夢の食材です。

人間が今の生活を続ける限り増え続ける二酸化炭素。とはいえ、馬で移動して、人の力で畑を耕して、モノ作りも1つ1つを手作業といった時代に戻るというのもそう簡単に受け入れられません。このジレンマを解消する策なんて今まではありませんでした。まさに手も足も出ない究極の選択でしかありません。でも今、人間の叡智がこの大きな問題をも克服しようとしています。次世代燃料や代替肉といった形で少しづつではあるものの生まれてきているのです。つまりできないなんてことは何1つ無いのです。

とここまで二酸化炭素を中心に問題や解決策を見てきましたが、本題は海洋の酸性化です。「海洋酸性化を食い止める=二酸化炭素の量を減らす」という方程式があっての解決方法です。この章ではだいぶ化学や物理といったお勉強な感じに寄ってしまいましたが、結局、海洋酸性化の問題は海の中の炭酸カルシウムが足りなくなることが問題です。逆を言えば炭酸カルシウムを増やしたり、水素イオンを減らしたりするといった解決策を見つけられるのであれば、海の豊かさを守ることもできるのです。その具体的な方法はまだ見つかっていません。14.3のターゲットの「あらゆるレベルでの科学的協力」と書いてある通り、人間の叡智を結集すれば、二酸化炭素ばかりではなく、違う視点からも海洋酸性化を食い止めることができると私は信じています。

※1、船の駐車場みたいなもので必ず帰ってくる場所
※2、全国地球温暖化防止活動推進センター(通称、JCCCA)「4-4 日本の部門別二酸化炭素排出量(2019年度)」
https://www.jccca.org/download/13335
※3、国連気候変動に関する政府間パネル(通称、IPCC)第 6 次評価報告書
http://www.env.go.jp/press/109850/116628.pdf


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