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海の観光業(SDGs14.7 その6)

海と言えば皆さんはどんなイメージを持ちますか?楽しい海でしょうか?冒険の海でしょうか?癒しの海でしょうか?時には牙をむく面もありますが、ほとんどはエンターテイメントとしての海を思い浮かべると思います。例えば、海水浴や磯遊び、バナナボート、シュノーケリング、釣り、サーフィン、SAPなどもあれば、ロマンチックな砂浜、海辺のバーベキュー、浜辺の花火、最近ではグランピングなども人気です。海は私たちに様々な楽しみをもたらしてくれます。豪華客船のクルーズに出かけるのもまた一興です。小さな島々を巡る7泊8日のクルーズとなれば存分に海を堪能できます。日中は島に渡りその土地ならではのビーチや史跡、ショッピングやアクティビティを堪能。船に戻って、大きなカジノやショッピングモールで豪遊するもよし、ショーやドレスコード付きのディナーでしゃれこむもよし。朝起きれば水平線のかなたに次の島が見えてきて、新たな冒険に心躍らせる。思いで作りにはもってこいです。こういったクルーズ船で巡る島々はカリブ海クルーズにしろ、太平洋クルーズにしろほとんどが小島嶼開発途上国になります。とはいえ、島も街並みもきれいにしていて、食べ物もおいしいし、来ている服も私たちと何ら変わりのない服装をしています。その土地ならでは文化にも触れさせてくれて、きれいな海でわくわくするようなアクティビティを提供してくれます。金額だってそこそこしっかりしています。それはもちろん、その島の人にとっては貴重な外貨獲得手段となるビジネスなのだから当たり前と言えば当たり前の話です。陽気な地元の人との交流をしているかぎりでは、小島嶼開発途上国だとは思いもよりません。しかし現実問題として、こういった観光では外貨を獲得するのは難しいようです。

観光客ランキング

表:GROBAL NOTEより2019年の観光客数ランキング及びGDPランキングより

この表は2019年の外国人旅行客数をランキング順に並べたものにそれぞれの国内総生産(※1)での順位と金額を付け加えたものです。赤で囲っている国が日本になります。その他の色を塗っているところが小島嶼開発途上国と後発発展途上国になります。その中でも水色で囲っている国は日本と同じく海で囲まれた島国を表しています。順位が低いところに小島嶼開発途上国と後発開発途上国が固まっていて、それぞれの国の国内総生産を見てみるとほとんど収益をあげていないのです。171位のドミニカ国はアメリカの50,000分の1しかなく、GDPに至っては202位に位置しています。ドミニカはクルーズ船も立ち寄る大きな港もあって、パイレーツオブカリビアンのロケ地となった秘境もあり、町も十分きれいだし、人もフレンドリーだし、アクティビティだって充実していた見どころも国の雰囲気も申し分ない国です。にもかかわらず、年間の収益が700億円です。

この差はいったい何なのでしょうか?小さな島国だからでしょうか?たどり着くまでに遠いからでしょうか?色々問題は出てきそうです。でも小さな島でたどり着くのにも飛行機や船でしか行けないような島であれば収益が低いかと言えばそうでもありません。例えばハワイ。ハワイの2018年の年間来島者は1000万人、観光収入で1.9兆円にもなります。バリ島だって負けてはいません。2019年の年間来島者は630万人、観光収入で9300億円。インドネシア全体の観光収入の4割を占めている島なのです。(※3)こう考えると海を観光で売り上げを作るということは島の大小や距離の遠い近いという問題ではなさそうに思えてきます。

※1、国内総生産、通称GDP。国が1年でどれだけ利益を作ったかという金額のこと。
※2、東洋経済 ハワイと沖縄、2大リゾートの意外にも大きな差
https://toyokeizai.net/articles/-/294478?page=2
※3、朝日新聞 東南アジアにリゾート旅行はいかが? 外国人受け入れ再開に各国注力
https://www.asahi.com/articles/ASPBG5HGXPBGUHBI01F.html


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