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藻場の守り方(SDGs14.2その5~海の豊かさの守り方2-2)

干潟は増やすことは難しいものの、現状維持を守ることはできそうだということで、地元の人たちが頑張り始めてきています。あとは魚が増屋していかないといけません。魚を増やすには卵を産む場所、「生命のゆりかご」である藻場をどう増やそうかということがカギを握っています。この藻場を増やす活動は様々行われているのですが、国も藻場再生を後押ししてきました。

藻場は魚の産卵場所ばかりではなく、CO₂を吸収するという機能も持っています。排出されるCO₂の約26%は海に吸収され、そのうち、約4割は藻場にいる海洋植物が光合成のために吸収してくれているのです。(※1)国はここに目を付けました。そこで出てきた案が「ブルーカーボンオフセット制度」です。

この「ブルーカーボンオフセット制度」とはCO₂を吸収してくれる藻場を増やした人に「この人は地球に〇〇Ha分の藻場を間違いなく増やしました」という証明書を発行することにしました。そして国はこの証明書を転売できるという仕組みを作りました。つまり、この証明書を持っている人が地球のCO₂を減らした本人ですよという証明になるわけです。(※2)この証明書をのどから手が出るほど欲しいと思っているところがあります。大企業です。大企業は社会的貢献をしなくてはいけないと義務づけられていて、その中にはもちろんCO₂を減らすことも入っています。今まで大企業はCO₂を減らすため、森林の植林など補おうとしていましたが、なかなか目標値まで届きません。そこでこの証明書をお金で解決できるのであれば、ぜひ欲しいということになるのです。

「じゃ、CO₂の吸収量が高い藻場をふやせばいいじゃん。」と誰もが思うかもしれませんが、陸上で苗を植えるように簡単にはいかないのです。海にはもちろん、波というものがあります。波の高さは風が強く吹けば吹くほど高くなります。これを時化(しけ)といいます。台風や低気圧が近づいてしまうと大きな時化となります。水というのは空気の800倍の力がかかるとされているので、大きな時化の時は海中でも大きな流れが出てきてしまいます。そこに細い海藻などの苗を植えたとしても根付く前に時化にあってしまうと荒されて流されてしまうのです。

ではどうやって根付かせるのか。ヒントは自然の力です。自然が持っている本来の力を引き出してあげることが最大の効果を生みます。この自然が持つ本来の力を「レジリエンス(日本語にすると強靭力、回復力といった言葉になります。)」食害であるウニを駆除して(※3)、海草類がちゃんと繁殖できるような場所に設置さえすれば自然の力でちゃんと海草の子供たちをしっかり残してくれるのです。それを証明してくれているのがYou Tuberのスイチャンさんです。

スイチャンさんは本当によく考えていらっしゃって、定期的に観察と行動を行っています。それ以上に地元の海の生物への愛情が止まりません。その行動力が生んだ結果なんだろうなと思います。まさに「海洋および沿岸の生態系の強靭力(レジリエンス)の強化や回復取り組みなどを通じた持続的な管理と保護」を実践している1人だと思います。私たちが少しでも海の生物の手助けをするだけでも海の生物がちゃんと増えてくれるのです。結局海に対する愛が海の世界を救ってくれるのかもしれません。


※1、生物のゆりかご(SDGs14.2 その3)
https://note.com/theruleofoceans/n/n6c4385d539d5?magazine_key=m59b7fd6021e3
※2、ブルーカーボン
https://note.com/theruleofoceans/n/neada9c092faa?magazine_key=m638faba69508
※3、ウニの駆除といっても一般人がそう簡単にやっては密漁などの違法行為になります。それなりの承諾や許可などの申請が必要です。決して無断では行わないでください。


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