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漁業の守り方(SDGs14.b その10~海の豊かさの守り方b-5)地産地消

大量生産・大量消費・大量廃棄は今の現実の世界では主流な商売形態ということに間違いはありません。でも「持続可能」とか「サステナブル」といった言葉が当たり前の世界になってしまうとそうはいかなくなっていくかもしれません。そんな1つの解決方法が地産地消です。地産地消とは地元で獲られた食材を地元で食べましょう。(※1)もちろん、地元だけでは食材は集まらないので、他の地域とも連携していきましょうといった地方創生の1つです。地元でとれた旬の食材を生産者の生活も考えた正しい価格で販売して、旬のおいしい食材をおいしいときに食べることで、その食材へのファンを増やすことができるのです。特に魚は季節によって味も見た目も変わります。地域の特色も特別感もでてきて、観光客増加にもつながっていくかもしれません。一石三鳥の秘策なのです。とはいえ消費者にとっては安い海外の食材に比べて高かったり、漁師にとっても今まで考えたこともない売り先まで神経を配らなくてはいけなくなります。結果、今まで漁にだけ集中できた漁師にとっては新しいことを覚えることはめんどくさいし、今までやってきた方法で何とかなってきたんだから別に変えなくてもいいっかとなってなかなか手をつけられません。そこで背中を押してくれる制度がでてきました。それが地産地消向けの補助金です。(※2)

新しいことをするというのは、今まで以上の労力やコストがかかってしまいます。漁に出かけるのでやっとの生活をしていたにもかかわらずこれ以上のコストは増やせません。ましてや高齢化が進んでいる海の現場では気力と根性だけで乗り越えられません。人を雇うにもお金が必要です。そこで国は積極的に地産地消に取り組む事業側に補助金を出して積極的に地元の食材を使う取り組みを進めています。例えば、直売所をつくってみたり、観光資源としての売り出したり、大手量販店で地産地消コーナーを作っていたりなど成功事例がたくさん出てきています。(※3)その中でももっとも代表的な地産地消が学校給食への提供です。一挙に大口受注となり、何より定期的な注文が入ることは漁師としてもありがたいお得意先となります。生徒としても地元のおいしい旬の食材に触れられたり、地元の取組や特産物などを語れる貴重な機会を与えてくれるまさにうってつけの教材です。とはいえ、地産地消が万能というわけではありません。もちろん単に高くておいしくもないものを提供したりしたら一番支えてくれる地元の人にマイナスなイメージを植え付けてしまいますし、そもそも過疎化が進んでいる地域では学校自体が少なかったりします。何でもかんでも地産地消が助けてくれるわけではないのです。しっかり地産地消の仕組みを知って、目的をもって計画的に進めていくというのはどの商売でも同じです。

いろいろ書きましたが大事なことは、漁師の生活も豊かになってほしいと考えている人たちがいるということです。そして、そう考えている人がこのSDGsの流れの中で増えてきているということです。そのためにもいろんな人との交流が必要です。いつものメンバーでいつもの苦労話では期は休まるかもしれませんがなかなか発展しません。新たなアイデアというのは新たな人からもらえるものです。まずは居酒屋に行って隣の人に声をかけてみましょう。新しい味方が増えるかもしれません。しっかりしているものです。そこで必要になってくるのが多様性です。

儲かる漁業へということでいろいろ見てきましたが、結局いつの時代も考える力、創意工夫というのが必要なのだと思います。そのためにも1人で抱え込まず、周りにいる人たちと競争じゃなくて共創していくことが持続可能な漁業になっていくのだと思います。持続するべきものは魚という水産資源やその文化、産業です。今までの苦労まで持続させる必要はありません。生物もそうですが、商売や産業にも多様性が求められる世界が来ているのです。

※1、地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律。通称、六次産業化・地産地消法と呼ばれ、法律として地方促進を謳っている。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/6jika/houritu/attach/pdf/index-11.pdf
※2、農林水産省 補助事業参加者の公募
https://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/
学校給食地産地消推進事業補助金交付要綱
https://www1.g-reiki.net/inagawa/reiki_honbun/k324RG00001183.html
※3、地産地消 優良事例
https://www.e-toroku.jp/eatlocal2020/chisan_chisho_koubo/download/cases_list_r01.pdf

参考文献
COE LOG 【地産地消とは】メリット・デメリット、おうちでできることは?
https://coelog.chuden.jp/local/local-production-local-consumption/
マイナビ 農業 地産地消3つの落とし穴。「なんとなく地産地消」からの卒業! 総ざらい編
https://agri.mynavi.jp/2020_11_06_137776/
社会人の教科書 地産地消とは?代表的な4つの取り組みとメリット・デメリット12選
https://business-textbooks.com/chisanchishou/


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