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沖ノ鳥島(SDGs14.5 その3)

海の国境は陸から200海里ということはわかりました。では陸はどこからが陸でどこからが海なのでしょうか?

海に囲まれた日本では色々な場所で幻の道とか幻の島とかが現れます。潮が引いた時にだけ道が現れたり、神社が現れたりとすごく神秘的で、ロマンチックですよね(※1)。でもこれは月の引力がもたらしている潮の満ち引きです。海が月の重力に吸い寄せられて上がったり、下がったりしているだけです。世界で最も潮の満ち引きに差があるのはファンディ湾といわれています(※2)その差15m。4階建てのビルほどの差があります。日本では有明海が最大で6mもあります。こんなに差があれば、どこを陸と海の境にすれば良いのか迷ってしまいます。陸地と海の境を基線というのですが、どこに基線を引っ張ればいいのかわかりません。そこで世界共通の取り決めとして「潮が一番引いた時に現れるところを陸地としましょう。」ということになったのでした。(※3)

みなさんは「沖ノ鳥島」を知っていますか?言わずと知れた、日本最南端の島です。実は小学5年生の社会で勉強する島です。ドーナツ状に固められたコンクリートで囲まれ、さらにその周りにはテトラポッドで波を防いでいる写真が出てきたりします。ほとんどの社会の資料には載っている、だいぶ衝撃的な写真です。でもこの島だけで、日本のEEZ(排他的経済水域)の約40万km²をカバーしているのです。日本の国土の37万8000km²よりも大きい海をこの沖ノ鳥島がもたらせてくれているのです。でも写真だけ見ると「本当に島?」と思ってしまうかもしれません。でもこの沖ノ鳥島は紛れもなく島ですし、ちゃんと国際法に乗っ取った島です。

海にポツンと浮いて、コンクリートに守られた島のように見えている写真は満潮時の写真なんです。干潮時にはしっかり地上が現れて、その面積は全周11km、面積5.78km²もあります、東京ドーム換算で123個分もあるのです。そして島の基線は1番潮の下がった干潮時の線を基準とするので、
ちゃんとした島になっているわけです。あんなに厳重に守られているかというと、島の定義が国際的に決められているのです。
島の定義
1、自然にできた陸地
2、水に囲まれてる
3、満潮でも水面より出ている
ということになります(※4)。
沖ノ鳥島は東京ドーム123個分も広いのに、標高1m、満潮時は16cmしか無いのです。波で削られて島の定義に当てはまらなくなったら、東京ドーム123個分の土地も日本の国土分の海の面積も失うばかりではなく、誰でも資源を奪うことのできる公海となってしまうのです。守れるものも守れなくなってしまうのです。それほど重要な沖ノ鳥島。疑う余地のない日本の国土であるからこそ、40万km²にも及ぶ海もしっかり守らなくちゃいけないわけです。

※1、小豆島のエンジェルロード、西伊豆の堂ヶ島、東広島の大芝島、壱岐の小島神社など。
※2、北アメリカ大陸のケベック州にある湾。干満差世界最大と謳っているケベック州のアンガヴァ湾やイギリスのセヴァーン川河口などと競っている。
※3、基線については日本の法律にも定められていて、領海及び接続水域に関する法律 第2条に「基線は、低潮線、直線基線及び湾口若しくは湾内又は河口に引かれる直線とする。ただし、内水である瀬戸内海については、他の海域との境界として政令で定める線を基線とする。」とある。
※4、海洋法に関する国際連合条約(通称、国連海洋法条約)第121条第1項「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。 」
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/unclos2.htm

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