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外来種からの守り方(SDGs14.2その7~海の豊かさの守り方2-3)

バラスト水(※1)の中には外来種という猛者たちが潜んでいます。そのバラスト水は年間50億トンにも及び、世界中のあちらこちらで好き勝手に捨てられています。このままではまずい。ということで我らが国際組織の国際連合(通称、国連)も動き出しました。2017年9月8日、国連の海の専門機関である国際海事機関(通称、IMO:International Maritime Organization)がこのバラスト水について1つの国際ルールを作りました。そのルールこそ「バラスト水処理条約」といいます。内容は「バラスト水を捨てるなら中にいる外来種が外に出ないような仕組みを作って捨てるようにしましょう」というものでした。(※2)

ではどうやってバラスト水に外来種を入れないかというと、バラスト水の中にいる外来種を殺してしまおうということです。船にバラスト水を入れるにはシーチェストと呼ばれる海水を取り入れ口から取り入れることになります。このシーチェストにはそこそこ大きな魚は入らないように網が貼ってあります。問題はその網さえも通り抜ける稚魚やプランクトンです。現在、この小さな海の生き物を2重の装置を使うことで海外への進出食い止めています。まず第1段階はフィルター関門。シーチェストの網よりももっと細かいフィルターで小さな生き物をこしていきます。ここでほとんどの外来種がはじかれます。でもそのフィルターさえも通り抜けるさらに小さな生き物たちがいます。この小さな猛者たちに対しては紫外線関門で対応します。このサイズになればすでに微生物や菌レベルです。紫外線を使って滅菌処理をします。人間の都合で勝手に運ばれて、勝手に命を奪われるのは本当に申し訳ないのですが、海上輸送がなければ人間も生きていけないのです。でも現在の人間の叡智ではこのバラスト水処理をすることでしか世界の生態系を守れないのです。

とりあえず、意図せず外来種が侵略してくるということは防ぐことができそうです。でも、もうすでに侵略をしている外来種はどうすればよいのでしょうか?最も一般に行っている対応策は駆除です。1匹1匹捕まえるしか今のところありません。でもその外来種としても自分の種族を次へつなごうと必死に生きている罪のない生き物です。1つの命には変わりありません。単に駆除するのではない方法で成仏させている人たちがいます。TOKIOさんです。日テレさんでやっている番組「鉄腕DASH」の中の「グルメ厄介」というコーナーがあります。この外来魚を使って地元の料理人がアレンジして、地域の名物料理にするコーナーです。今まで対象となった外来種は26種類。そのうち、19種類が水中にいる外来種です。(※3)締めの言葉に「人間の都合でやってきた厄介者。その命、いただきます。」と言っておいしくいただきます。本当にこの言葉に限ると思います。命のありがたみを感じながらちゃんとおいしくいただく。外来魚も単にゴミとして捨てられるよりも救われると思います。是非皆さんも食べてみてください。

何はともあれ、人間は知らず知らずのうちに、色々なバランスを崩していることがあります。それは人間関係だって、自然の生態系でも同じです。要するに相手のことを思いやる気持ちがたいせたです。自分都合で考えないで、少し相手のことを思いやる気持ちがあるだけでも、生命豊かな海へと繋がっていくのです。

※1、海の外来生物(SDGs14.2 その6)
https://note.com/theruleofoceans/n/ncba78843c4d5
※2、日本海事検定(CLASS NK) バラスト水管理条約
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/activities/statutory/ballastwater/index.html
※3、日テレ 鉄腕DASH グリル厄介
https://www.ntv.co.jp/dash/contents/grill/hunt/


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