観光収入の守り方(SDGs14.7 その7～海の豊かさの守り方7-2)地域らしさ
ハワイやバリ島の例から考えると小さな国でも外貨を獲得することは不可能な話ではない気がしてきます。ハワイのリピーター率は94％。その理由として「ビーチがきれいだから」「日本語が通じる」「ショッピングが楽しめる」「温暖な気候」といった項目が上位を占めます。（※１）ましてや一番大きな海の太平洋のど真ん中にポツンとある島にもかかわらず「気軽に行ける」という評価さえあるのです。日本人目線での海外旅行の楽しみ方ではあるものの「日本語が通じる」以外の項目は小さな国でも楽しめる要素がばかりです。なんの違いがあるのでしょうか？もう一度観光客数ランキングを見てみることにします。
実は観光客の1位はフランス、2位がスペイン、3位がアメリカとなっています。ここで注目したいのが8位のタイと29位のシンガポールです。ともにアジア圏にあり、同じ仏教国で歴史もあるカンボジアやラオス、ミャンマーといった国は後発発展途上国に囲まれている同じ文化のタイと自身が小島嶼開発途上国とされていて、国土面積も小さいシンガポールが観光来客数の上位に食い込んでいるんです。そればかりかともに世界のGDPの上位にランクインしているのです。（※２）観光客数ランキング1位のフランス、後発発展途上国囲まれたタイ、小島嶼発展途上国のシンガポールの人気の理由をまとめてみると意外な共通点がありました。
つまり、集客力のある国にはそれぞれその国ならではの地域らしさがあるのです。（表の赤い部分）フランスと言えば美術館や宮殿などが思い浮かんできて、国中が深い歴史に包まれた芸術のというイメージがあります。タイと言えば長い付け爪を付けて踊る伝統舞踊や円錐の屋根をしている仏教寺院などが思い浮かんできて、異国情緒あふれるエスニックで素朴な雰囲気がただよってきます。シンガポールといえば海でも空路でも中心となる場所にあって、小さなきれいな街並みに高層ホテルがあって、様々な文化が入り混じっている情景が思い浮かんできて、活気に満ちてきらびやかな情景が目に浮かびます。しかし、多くの小さい国はきれいな海がありそうとは思い浮かぶのですが、そこにどんな文化があってどんな雰囲気の国かということはなかなか思いつきません。とはいえ、アンティーグア島には300年前に作られた造船所があったり、（※４）クリスマス島のあるキリバスは世界で最も早く日付が変わったりと素晴らしい地域らしさがあるのです。もちろん観光アピールはしているものの、ただ単に私たちがその情報に触れられていないだけなのです。
ではどうすれば私たちまで情報が届くようになるのでしょうか？インフルエンサーにサクッとアップしてもらうことも今の時代はありかもしれません。でももう1度観光客数ランキングを見てみてください。もう1つヒントが隠されています。よくよく見てみるとほとんどの上位ランキング国に共通しているものが見えてくるはずです。フランス料理、スペイン料理、中華料理、イタリア料理、メキシコ料理、タイ料理、和食。そうです。その国オリジナルの『料理』です。上位の国の多くの料理は世界的にも有名な料理になっているのです。食は人間ばかりか生物にとって最も重要な営みの1つです。やっぱり「胃袋をつかむ」ということは世界で通用する近道になるのかもしれません。
星野リゾートの星野佳路さん曰く、「今、世界の旅行者が求めているのは“地域らしさ”だ」。（※５）ここに答えがあるのだと思います。
※１、We ♡ Expedia リピーター率なんと94％！ハワイの魅力はいったいどこにある？
https://welove.expedia.co.jp/destination/usa/7187/
※２、2019年度GDPランキングで、タイのGDPは62兆円で24位。シンガポールのGDPは43兆円で35位
※３、マップルのオススメの理由を取りまとめたもの。参照記事は下記の通り。
まっぷる フランス旅行をオススメする11の理由
https://www.mapple.net/global/column/c_france/11-reasons-to-visit-france/まっぷる タイ旅行をオススメする10の理由
https://www.mapple.net/global/column/c_thailand/10-reasons-to-visit-th/
まっぷる シンガポール旅行をオススメする10の理由
https://www.mapple.net/global/column/c_singapore/singapore-10-reasons/
まっぷる ハワイ旅行をオススメする10の理由
https://www.mapple.net/global/column/c_hawaii/hawaii-10-reasons/
※４、Nelson's Dockyardは300年前に建てられた造船所で、ジョージ王朝様式のボートヤードとしては世界最古とされている。世界遺産に登録されている。
※５、東洋経済新聞 ハワイと沖縄､2大リゾートの意外にも大きな差
https://toyokeizai.net/articles/-/294478?page=2
参考、国土交通省 観光白書 令和３年版
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