オステオパシーの基本原則

 オステオパシーを支える原則は力学的生体調整という言葉で表現される。オステオパシーとは何か?その言葉通り、オステオパシーの原則が普遍的法則として適用される調整原理とすれば、オステオパシーは次のように定義されるであろう:オステオパシーは体液と体力の適切な生成と配分及び体内機序としての協調と調和を促進するため、構造調整の矯正分野で身体という自然的資源を活用する治療の方法または科学である。そうすると、人体は1つの機序ということになる。即ち、それは機序という共通の善のために、全部分が協力して働く機械の秩序である。加えて、身体そのものが兵站(食料基地)である。換言すれば、身体は自然の原野から原料を取り入れ、その基本物質を使って新しい物質と力を作り上げる。身体は活性機序、即ち生体である。しかし忘れてはならないことは、身体を活性機序と言わないで、機械とか機序と言うのは間違いということである。身体は原料を採取し、それを活性物質に変換する。活性化されずに身体に同化されるものはない。体内で起こる全過程は活性化の過程である。我々が体内で発見する全病変は患者の活力に比例する活性の病変である。例えば、体内に見られる病変が骨の異常だけの場合、矯正後、再発はしないかもしれない。しかし、実際に再発するとすれば、患者の活力が矯正後の正常状態を保持できないからである。

 組織異常のため脱力状態に陥ると、体内から修復作用が起こる。例えば、血液循環が変わると、あらゆる力が集中されて呼吸が激しくなる。発熱作用が起こると、神経系が介入して矯正する。心臓の負担が過剰になった場合、抑制剤や安静剤を使っても役に立たない。心臓を沈静できるのは心臓神経機序だけであり、それにはその機序の中で心臓を酷使する要因を対抗的に平衡させねばならない。

 身体を活性機序とする概念は生体の全部分に循環血液と神経的力が供給されていることを意味する。この2つがオステオパシーの治療で矯正手段として用いる身体のバランス機能である。身体が機序、兵站、そして生体であるとすれば、次の質問は「健康とは何か」、そして「病気とは何か」となる。健康は完璧な構造調整を意味する。これは、骨、筋、靭帯、血管などを含む。どれを仲介に活性関係は実現されるのだろうか?また、健康は神経的力、即ち心を基盤とする活動の調整、そして生体と環境との調整も意味する。健康と対照的に「不健康」がある。それは健康の3条件の欠落または変化を意味する。健康は病気とは対照でなはい。健康は「不健康」と対照である。病気は全く違うものである。それは、健康の3条件への妨害や支障の結果である「不健康」の状態である。それは、骨、筋、または靭帯の病変のような解剖的状態の影響かもしれないし、不適切な食餌による生理的不調和の結果、あるいは興奮または沈静の要因として作用する環境的状態の影響かもしれない。

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