「アメコミビブリオバトル」に参加してみた

6月22日、Zoomにて開催された第17回オンライン・アメコミビブリオバトルに参加した。

「ビブリオバトル」とは、参加者が決められた時間内で自身の持ち込んだ本を紹介し、観戦者の投票によってどの本が一番読みたくなったかを決めるという競技。これのアメコミ版こそがアメコミビブリオバトルというもの。自分はこの前偶然存在を知ったところ、これまた偶然開催日が今月だったので「アメコミ好きによるアメコミトークが聞けるなら行くしかない!」と観戦で参加させていただいた。

実際にZoomに入ると、すでに何度か参加されている方々が楽しそうに雑談をしている最中だった。しかし、雑談は雑談でもこれはオタク同士の雑談。「まだこれ始まってないよね?」と疑ってしまうくらい濃厚なアメコミトークをしていて、思わず聞き入ってしまう。画面に映る参加者の方々の姿もまさに歴戦のオタクという感じで、開始前から「これはとんでもないイベントだぞ…!」と(別に自分がバトルするわけでもないのに笑)身震いしてしまった。

今回の参加者の方は4人。今回の大会では「雨の日に読みたいコミック」というテーマが決められていたものの、実際に雨のシーンがあるコミックから、雨の日だからこそ読みたい心が晴れるようなコミックというように、紹介された作品の内容は多種多様なものだった。ラインナップもマーベル、DC、IDW、インディーズがそれぞれ一作品ずつ紹介されて、まさに広くアメコミ好きが語り合う場になっている。原書のリーフを1号分紹介する方もいれば、最近の邦訳作品を取り上げる方もいたので、知識の有無問わずアメコミが好きなら誰でも参加できる非常にフレンドリーな空間(オンラインだけど)になっていた。

各々の発表を聞いていて真っ先に思ったのは「みんな楽しそう」というところ。ビブリオバトルと言ってもそんなに難しいものではなくて、各々が好きなコミックの好きなところをひたすら語るものだ。かなり貫禄のあるアメコミマニアでも、一度発表が始まると「このアクションかっこいい」とか「こんな展開がすごい」とか、ただ純粋に好きなシーンの話をしているのを聞くと、何ともいえないような熱い気持ちになった。

ネットでは、たまにアメコミの「知識」だけを語っている人をたまに見かける。アメコミ原作の実写映画のファンに対して「原作ではこのキャラは〜」と知識を語ることで、原作コミックの話をまるでトリビアのように扱う人も多い。確かにマニアックな知識を聞いたりするのは楽しいけれど、でもそれはアメコミ本来の魅力なのだろうか。

作品の展開やネタバレはネットで調べればいくらでも出てくる。でもそれを読んでどう感じるか、その物語を通してライターからのメッセージをどう受け取るか、別に有名なシーンではないけれど「このシーンのポーズなんかかっこいいな」と思ったりするページがあるのか。そういう知識を超えた感想は、やっぱりアメコミを実際に読んだ人の言葉からしか伝わらない。今回ビブリオバトルに参加されていた方は、みんな一目で「これはマニアだ…」とわかるくらいの貫禄があったけど、それでも作品について語るときに出てくるのはややこしい背景知識やマイナーな設定ではなく「このシーンがかっこよかった」だった。単にオタク語りを聞けて楽しかった以上に、自分にとってアメコミを読む姿勢、作品本来の価値についても深く考えさせられるイベントになったと思う。

ビブリオバトルの後は、懇親会のような形でトークの時間となっていた。アメコミを読み始めて約10年になるけれど、リアルの友人とコミックの話をしたことは全くないので、オンラインといえども人の顔を見ながら好きな作品の話ができるのはやっぱり楽しい。

雑談の中でベン・ユーリックの話題が出たので、「ベン・ユーリックといえばデアデビル:ボーン・アゲインが良いんですよ…!」と言ったら、何人かの方が「お!」と反応してくださったのが最高に嬉しかった。ボーン・アゲイン最高なんですよ…!デアデビルの話に共感してもらえたことなんて人生で初めてで、これだけでも本当に参加してよかったと思う。

トーク中に「泥酔ビブリオバトル」という形で突発的に大会が開催されたので、初観戦だったのに自分も参加させていただいた。僕の推しコミックは「アルティメット・インベージョン」、つい最近noteで記事も書いたし、割と感想もまとまっている。即興でもこれならいけるのでは?という感じで初のビブリオバトルに挑んだ。

実際にやってみるとこれが難しい!話したいことが山ほどあるからこそ、5分という時間にまとめたときに何を話すか決められない。あらすじを2分で紹介して、好きなシーンを残りの3分で…と思ったけれど、メイカーの設定って細かく説明するとそれだけで5分に収まらないし、短くしすぎると「悪者」で終わっちゃうし…とにかくありったけをぶつけて「カーンの素顔が明かされないのがオシャレなんですよ!」と、好きなシーンの美しさをなんとか語ってなんとか5分ちょうどくらい。やってる側も見てる側も、このあたふた具合がビブリオバトルの1番の醍醐味かもしれない。今回は優勝は逃してしまったので、次回はぜひ最初から参戦でエントリーしてリベンジしたいなと思う。

「ビブリオバトル」と聞くとなんとなくハードルが高そうに聞こえるけれど、実際に参加してみるとオタクが集って「好き」をぶつける、最高に楽しいイベントでした。他の人が楽しそうにアメコミの話をしているのを聞くと、やっぱり自分の中のアメコミ熱も燃えてくる。モチベーションを上げてアメコミを読みつつ、次は何を紹介するか考えていきたいな。

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