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見た目は昭和、中身はニュージェネ?マーベル版「ウルトラマン」の魅力を語りたい

みなさま、ウルトラマンはお好きでしょうか?

ウルトラマンといえば言わずと知れた国民的特撮ヒーロー。つい先日も今年の新しいウルトラマンとして「ウルトラマンアーク」が発表されて話題になってましたね。

自分は子供の頃ウルトラマンを通らずに育ったので、ウルトラマン遍歴は正直かなり浅い。友人の勧めで「ウルトラマンZ」を見たのを皮切りに「ウルトラマンX」を見て、去年は「ウルトラマンブレーザー」に激ハマりしてた。映画だと「大怪獣バトル」「ベリアル銀河帝国」「ウルトラマンサーガ」でゼロを追いかけ、「シン・ウルトラマン」で初めて昭和のエッセンスに触れた。

まだまだファンとしては未熟な自分でも、世代を超えたウルトラマンの掛け合いとか、シリーズ通して何度も登場する怪獣の魅力に突き動かされ、気づけばイベントでウルトラマンと写真を撮りに行くくらいにはハマっているコンテンツだ。

ところで、我らがマーベル・コミックスが円谷プロダクションとコラボし、ウルトラマンのコミックを出版していたことはご存知でしょうか?今回紹介したいのは、そんなマーベル版「ウルトラマン」の話。

1966年、地球に接近した謎の物体を調査するため、秘密組織「USP」は精鋭のモロボシ・ダン隊員を派遣。しかし彼の乗った飛行機は謎の物体と衝突し、ダンは消息不明となってしまう。

それから54年後の2020年。USPの新人隊員であるフジ・キキと、キキの幼馴染でUSPの隊員になれなかった過去を持つ一般人ハヤタ・シンは、再び地球に飛来した謎の物体の調査に向かう。墜落現場で物体に接触したハヤタは、その中に眠る謎の存在「ウルトラ」と対話し、これから世界を襲う脅威と闘うために融合する。「ウルトラ」と「人間(マン)」が合体し、2人は「ウルトラマン」へと変身する。

マーベル版ウルトラマン最大の特徴は「ウルトラ」と「マン」で「ウルトラマン」というところ。本家テレビシリーズでもウルトラマンと人間は融合するけれど、あくまで一時的なもので、普段は融合せずともウルトラマン単体で闘えてしまう。中には融合しないで地球に住むウルトラマンも存在する。

それに対してマーベル版では、光の国に住む超人種族の名前はウルトラであり、見た目も全身銀色。彼ら自身も強い宇宙人ではあるが、作中に登場するウルトラは皆様々な事情で人間と融合している。そして彼らが2人で力を呼び起こすことによって、ウルトラマンとして現世に現れて力を使うことができる。

戦闘中はもちろん、普段の生活やミッションの中でも脳内で人間とウルトラが会話したりするから、本作は初代ウルトラマンのリメイクでありながら、ハヤタとウルトラマンがほとんど会話せずほぼ同一視されていた初代より、変身者も戦闘中にガンガン喋る最近のウルトラシリーズ、いわゆる「ニュージェネ」にかなり近い雰囲気かもしれない。

精神世界でめっちゃ喋るハヤタとウルトラ。この2人がこんなに会話してるのは本家テレビシリーズでは見られないレアなシーンかも。

ただ、ベースになる物語はやっぱり昭和のウルトラシリーズ。物語の主人公は言わずと知れた初代ウルトラマンだし、ムラマツキャップやイデ隊員と言ったお馴染みの科特隊メンバーも登場する。

さらにはウルトラセブンことモロボシ・ダンや、「帰ってきたウルトラマン」で活躍した防衛隊MAT。他にも光の国ではウルトラマンエースやウルトラマン80、ウルトラの父の姿もあり、まさに昭和ウルトラマン全員集合の豪華なリメイクであることは間違いない。

けどリメイクはやっぱりリメイク。マーベル版ウルトラマンはところどころ本家を大胆にアレンジし、ここでしか見られないウルトラマン像を見せてくれる場面がある。

大きな改変点は「ウルトラセブンとモロボシ・ダンが別人である」というところ。本家の方では、光の国からやってきたウルトラセブンが地球で人間に擬態するために使っていた名前がモロボシ・ダン、つまりセブンとダンは同一人物だったわけだけど、マーベル版では地球人のダンが「第七使節」と名乗るウルトラと融合した姿がウルトラセブン。つまりダンとセブンは全くの別人である。

正直ウルトラセブンというキャラクターの個性を壊しかねない大胆な設定変更だけど、そこまでしてマーベル版は「人間とウルトラの協力」というテーマを強調したいんだなと思う。マーベルにとってウルトラマンとは2人で1人の合体ヒーローであり、よりその特性を際立たせるためにウルトラセブンの設定そのものを変えてしまったと思うと、その解釈への情熱を感じてワクワクしちゃうものだ。

シリーズ三作目ではついにウルトラセブンが登場。ウルトラマンと闘ったり共闘したりで超楽しい。これほんとにマーベル?

もう一つ、そしておそらく本作で一番インパクトがある改変は「ジャックがウルトラマンではなくロボット」というところ。これに関してはもう「え?」って感じ。まあジャックって初代ウルトラマンと見た目ほとんど同じだから、そのまま出すとコミック映えしないんだろうな…だからとりあえずロボットにしとけば目立つだろってことなのかな…ちょっとよくわからない。

ジャックファンは色々思うところがあるかもしれないけど、MATは登場してるのに何故か郷秀樹は出てきてないから、これからロボとは別にウルトラのジャックが出てきて郷と合体、ウルトラマンジャックが登場…するかもしれない…しないかもしれないけど。

MATの戦闘機が合体して生まれたロボット「ジャック」、見た目は普通にいいし、MAT隊員みんなで操縦するのもかっこいいと思うけどなあ…

でも自分は好きですよロボジャック!なんたってこの作品で唯一「これはマーベルならでは」って言える見た目のウルトラマンだもん!マーベル版は初代やセブンのリメイクだから、出てくるウルトラマンもそのままの名前だけど、本当は「ウルトラマン○○」って呼びたいじゃないですか!好きなウルトラマンの話になった時に「推しはウルトラマン○○!」じゃなくて「推しはウルトラセブンで…あっそっちじゃなくて、マーベル・コミックスのザ・ミステリー・オブ・ウルトラセブンに出てきたウルトラセブンで…」みたいなのって、なんか…嫌じゃないですか!

その点ロボジャックはまさにマーベルの完全オリジナル!ウルトラマンじゃない「ジャック」が見れるのはマーベル・コミックスだけ!最高だロボジャック!次はもっと活躍してくれ!

というわけで今回はマーベル版ウルトラマンの紹介と感想でした。今後はなんとアベンジャーズとウルトラマンのクロスオーバーも予定されていて、まだまだ盛り上がること間違いなし!…なんだけど、これも最初の発表から2年近く音沙汰がない。けれどマーベルが新たに描いたウルトラマンたちの物語は、ウルトラシリーズとマーベル・コミックスのファンどちらも楽しめるものだ。人間とウルトラの絆と、彼らが徐々に繋がって巨大な陰謀に立ち向かう様を描いた、快活ヒーローものなので是非おすすめしたい。

アベンジャーズとウルトラマンがクロスオーバーして、ウルトラマンタロウも登場するという次回作。この絵だけ見せて音沙汰ないのはずるいよ…

さすがウルトラマン生誕の国日本だけあって、シリーズ3冊全て邦訳が出てます。「ウルトラマン好きだけどアメコミは読んだことない」という人も、これを機に気軽にダイブしてみては?



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