パラレルワールドからこんにちは!

「千と千尋の神隠し」、知らない方はほとんどいないであろうスタジオジブリ制作のアニメーション映画で、2020年に「鬼滅の刃」に抜かれるまで約20年間日本の映画興行収入ランキングでずっとひたすらトップを走っていた名作である。
ところでこの映画には幻のラストシーンがあることをみなさんご存じだろうか?いや、実際は幻のシーンはないんだけれども。こう書くと「何を言っているんだ、お前は」と突っ込まれそうだが、つまり「幻のラストシーンがないのにネットを中心にこんなラストシーンじゃなかった、当初はこうだった」という意見が溢れているという。

千と千尋の神隠しのラストシーンは、異世界での冒険を経てトンネルを抜け、豚から人間に戻った両親と一緒に車に乗り込んだところで幕を閉じる。

ところがネットでは劇場で公開された時にはその後のシーンが存在していた、という意見がとても多いのだ。
どんなシーンかと言うと、両親と一緒に車に乗り込み、その後新居に到着した一家。新居にはもう引っ越し業者が来ていてあわただしく引っ越し作業を始める。新居の裏手には川が流れていて千尋はハクのことを思い出したような表情をして物語が終わる、といった感じ。

何を隠そう、僕もこのラストシーンを見たことがあると思っている一人なのである。皆さんはどうだろう?ちなみにスタジオジブリの大ファンである僕の妻は「そんなシーンはない!」と言い切っていた。
そしてジブリも公式でそのシーンに関して否定しているし、フィルムや色々な証拠も出ているのでおそらく本当にそんなシーンは存在していないのであろう。このように事実と違う記憶を不特定多数の人が共有している現象をマンデラ効果と呼ぶらしい。
南アフリカの指導者、ネルソン・マンデラ氏に関して実際は亡くなっていないのに、2000年代に入って「ネルソン・マンデラは1980年代に獄中死した」という誤った記憶を持つ人が多く現れたことに由来する、とのこと。
僕は高校生当時、人生で初めて出来た彼女と千と千尋の神隠しを劇場に見に行って、先に挙げたような幻のラストシーンを見た気がしていたんだけれども、どうやらマンデラ効果にかかってしまっていたようだ。
このマンデラ効果、原因ははっきりしていないようで、パラレルワールド間の移動を体験したものによる、なんて説もあるらしい。つまり今僕たちが生きているこの世界線とは別に1980年代にネルソン・マンデラが獄中死したり、千と千尋の神隠しで千尋が最後に川を眺めてハクを思い出すシーンを採用している世界線があって、世界線を移動したことによって記憶に齟齬が生じているってことだ。なんだかロマンチック。

と、ここまで書いていて最後にとんでもない事実が判明した。この記事を書くにあたって千と千尋の神隠しとか鬼滅の刃の映画公開日を調べたりしたんだけど、千と千尋の神隠しは公開が2001年の7月20日なのね。僕に人生で初めての彼女が出来たのが2004年。一体僕は誰といつこの映画を見に行ったのだろうか。
もしかしたら「千と千尋の神隠し」が2004年に公開された世界線が存在するのかも?

#映画にまつわる思い出

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