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現在、世界必聴のディーヴァに成長!ジェシー・ウェアを聴き逃すな!

どうも。

先週末から僕がよく聞いてるアルバムはこれですね。

先週の金曜に出たばかりです。ジェシー・ウェアのニュー・アルバム「That!Feels Good」。もう、こればっかり聴いてますね。

もう、この「Pearls」1曲あるだけで、今年この人、かなり勝ちですね。今年のフィーメール・アンセムだと思います。

 曲がもう、いかにもファッション業界大好きな、ジョージ・マイケルやカイリー・ミノーグに延々と歌い継がれてきたディスコ風UKソウルの超王道であるのに加え、声の高低のダイナミクスを生かした立体的な曲構成。そして、「パールが落ちるまで行かせて、踊らせて」という、自由な女性のパワーの象徴とも、かなり直球にセクシャルな表現とも取れるサビでの力強く伸びやかな歌いっぷり。今年ずっと大事にしたい1曲ですね。

そして、これも去年から先行で出てる曲ですけど「Free Yourself」。これも王道中の王道のガラージ・ナンバーですけど、このテのガラージってパワーにものを言わせるゴスペル・シャウト一発みたいなタイプも少なくないんですけど、スケールの大きさは保ちつつも、よりメロディックに美しく歌いあげてますよね。もちろん、「どんな困難があろうと魂を解放して。山の頂上まで止まらないで」の歌詞にふさわしいパワーを込みでね。

この2曲があったんで、もう楽しみで仕方なかったんですよ。

そして、それに加えてですね、僕の場合は

昨年の11月に、このプリマヴェーラ・サウンド・サンパウロでのライブ体験してたので、尚更だったんですよね。この日のことは

このレポートにも実際に書いてあるんですけど、僕にとっては発見だったんですよ。彼女の時間帯、本当は夕飯休憩のはずだったんですけど、出店で商品受け取るときとか、食べてる時に彼女の伸びやかな美声が否応なしにガンガン耳に入ってきたんですよ。これがあまりに心地よいものだから気になってしょうがなくなって、思わずステージ近くまで寄って見ちゃいましたからね。

「ああ、こんなにいいんだ。やっぱライブ見てじゃないと、本当の実力ってわかんないね。次のアルバム、楽しみだね」と、もうこの時から、今回のアルバム、僕の中では準備してましたね。

でも、そうではありつつも、ジェシーのこの開花、不思議ではあったんですよね。

だって、彼女自身はもうだいぶ前から知ってる人だったんで。

存在を知ったのは2012年の事です。今年に彼女は本国イギリスでデビューしたんですけど、この時に彼女が期待されていたのは「ポスト・エイミー・ワインハウス」、ズバリそれでしたね。エイミーはこの前年に27歳の生涯を閉じていました。だからその代役を世間が欲しがった頃ですけど、ジェシーもこのころから歌唱力に関しては頻繁に言われてましたね。

 ただ、歌、うまいのは確かだったんですけど、「地味だな」と思っていたことも確かです。こう改めて見返しても、パッと華がないし、年齢にしても、まさにエイミーとは1歳違うだけで、27〜28歳の時に遅咲きデビューとなっってますね。

あと、方向性も一定してなかったんですよ。2012年のデビュー作こそはオルタナティブなR&Bテイストがあったんですけど、2014年のセカンド、2017年のサード・アルバムはサウンド的にどっちつかずの印象で。中途半端なエレクトロな曲とかもありましたね。

ただ、シングルになって今でもストリーミング数強いの、圧倒的に彼女の自慢のソウル・ヴォーカルを生かしたものなんですよね。だからこそR&B、ソウル・ミュージックにこだわるべきだったと思うんですが、自信がなかったんでしょうね。

 ところが


2020年に発表した、この「Whats Your Pleasure」、このアルバムで彼女は、今作にもつながる大胆なディスコ、ハウス、UKソウル路線に舵を切るんですよね。

これ、タイミング的にも絶妙だったんですよ。

ちょうどデュア・リパ、BTSがこう言うディスコ回帰みたいなサウンドを展開した時期と全く時期、重なってタイムリーだったんですよね。しかも、ジェシーの場合、元からの圧倒的な歌唱力もあり目立つわけですし。これが功を奏し

このアルバムは、イギリス人アーティストには極めて冷たいことで有名なピッッチフォークでBest New Musicに選ばれたほか、各メディアで大絶賛。この年を代表するアルバムとなりました。

この時のアルバムのプロデュースはジェイムス・フォード。アークティック・モンキーズのプロデュースでお馴染みですけど、元はシミアン・モバイル・ディスコ名義でクラブ系に非常に強い人。想像ですけど、「せっかく歌うまいんだから、もっと開き直ってソウルのアルバム、作ろうよ」
って感じになったんじゃないかなと思います。

 そして今回のアルバム「That! Feels Good」なんですが、こちらでは、かのマドンナ、ザ・キラーズのプロデュースでもお馴染み、スチュアート・プライスが全面参加して、前作での路線を一層強める感じに仕上がってます。

 でも決定的に違うのは、今作の方が意図的に「アンセム」を狙って作ってることですね。この投稿の最初の2曲。これを目立たせた作りにしつつ、他の曲でも、このテのサウンドのルーツである、ドナ・サマー、チャカ・カーンが活躍して1978、79年くらいのディスコ・ソウルの現代版を徹底して表現してますね。

このラテン・ソウルなんて絶妙ですね。あの時期のスティーヴィー・ワンダーとかあーす・ウィンド&ファイアみたいで。ちょうどマイリー・サイラスが「Flowers」でこれっぽいことやってますけど、うまいことトレンド掴んでると思います。

あと、この辺りはイギリス人大好きな、ミレニアム近辺のフレンチ・ハウスみたいでここもこの国のクラブ、ソウルの伝統マナー守ってて好きですね。

あと、初期ヒップホップの、まだラップが珍しかった時代の80sのファンク・ラップ調の曲も数曲あったり、もう、UKソウルの醍醐味をこれでもかとつぎ込んでますね。

これ、去年にビヨンセが「ルネッサンス」出した時にいみじくも近い路線だったんですけど、それのイギリスからの回答として聞くのも良いかと思います。

でも、そういうことより、ジェシーが時間かけて、自らの音楽的なアイデンティティを確立したこと、これが大きいですね。30歳後半、今年で38ですけど、普通、女性のアーティストなら、「ピーク超えた」と思われがちな年齢ですよ。加えてジェシーの場合、決して華のある人では元々ないわけで。
そんな人でも、30になろうが40になろうが輝ける。そういうメッセージを発してるアルバムであることに、すごく現代的な意義を感じさせます。

このアルバムも


本当に異例ですけど、ピッチフォークでイギリス人にして2枚連続のBEST NEW MUSICを獲得したのを始め各メディアで大絶賛。いよいよ現代を代表するディーヴァですよ。

いみじくも

「Pearls」が「セックス・アンド・ザ・シティ」の続編「ANd Just Like That」のトレイラーの音楽に使われていることでもすごく象徴的です。もう、似合いすぎですね。

でも、僕としては

やはり彼女はライブを見て楽しんでほしい!もっと言うならフェスの大観衆の前で聞いてほしい!

このライブとかでも見事ですよ。歌う時のマイクの口からの距離、見てやってください。すごいですから。

ということもあり、新作、本当にオススメです。


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